【キリマンジャロに登ってきた】#6 トイレとお風呂事情

さてここで。
気になる(?)登山中のトイレとお風呂事情についてご紹介いたします。

この岩場がすべてトイレに見えてくる
この岩場がすべてトイレに見えてくる

登山行程は6日間。その間、まずはお風呂に入れません。
正確に言うと、最後の3700mにあるキボハット以下なら、簡易水シャワー(ほぼホースみたいなの)や、野外の水道はあります。たぶん下山中の人なのでしょうが、果敢に頭を洗っている方も見かけました。

果敢に洗髪に挑む女子。今にも崩れ落ちてしまいそうな体勢で
果敢に洗髪に挑む女子。今にも崩れ落ちてしまいそうな体勢で

しかしここは高地。朝夕は気温が低く、水シャワーなんぞもってのほか。それに冷えると血流が滞り、高山病リスクが高くなるとのことで、6日間は風呂に入らず過ごします。
うへぇ、きったね〜とお思いでしょうが、非常に乾燥しているせいか、多少汗をかいてもすぐに乾いてしまい、お風呂に入りたくて入りたくて仕方ない、という気持ちにはなりませんでした。

それどころか、大量の水分補給と、食事が美味しいのと、良く寝ているので、お肌の調子は上々。運動もしているし、洗面器にお湯をもらって顔や手を洗ったり、持参した赤ちゃんのおしりふきで足や身体を拭いたりで、ずいぶんすっきり。日焼け止めだけてお化粧せず基礎化粧品も使わないのに、普段よりも調子が良いなんて! これはパーティの女性みんなで「これぞキリマンジャロビューティー現象!」と盛り上がったトピックです。

朝夕、そこらへんで汲んできたお水を沸かして洗面器で渡してくれるおにいさん
朝夕、そこらへんで汲んできたお水を沸かして洗面器で渡してくれるおにいさん

まあ普段から、私は皮膚が弱いほうなので(黄熱病予防接種でばっちり副作用が出たくらい)、あまり石けんでワシワシ洗う事はしませんし、日本の過剰な衛生観念には疑問を抱く考えの持ち主なので、人よりも風呂無しへの耐性が高かったとも言えます。

下山すると気温の高い場所になるので、やはり汗をかき、6日ぶりのシャワーは(あまり暑くならずジョボジョボの水流でも)非常に気持ちよかったですけどね!

そしてトイレのこと。
トイレは、各ハット(山小屋エリア)にありました。穴があいてしゃがむタイプと、洋式が2つずつとか。簡易的ではありますが、ちゃんと水洗で、おそうじもまめにされていました。紙はありませんので、持参したトイレットペーパーをを紐でぶらさげて使います。

これは1日目のマンダラハットのトイレ
これは1日目のマンダラハットのトイレ。だいたいこんな感じ

しかし気になることが。ほぼ99%、洋式トイレには便座がないのです!
あまりに、便座なし率が高いので、タンザニアではそういう習慣なのかと思ったほど。後で隊長に聞いてみたら、どうやら便座は盗まれてしまうらしく、それを補充していないだけなのだとか。でも、便座盗んでナニするの一体!? という疑問には答えてくれる人はいませんでした。今もってナゾです。

便座のないトイレにあたったときは、もちろん中腰で用足しです。まるでヨガです。修行です。
何度も書いていますが、高山病予防に一日2〜3リットルも水を飲み、利尿作用のあるダイアモックスを飲んでいるわけですから、一晩で2〜4回くらいはトイレにいきます。山小屋のトイレは、キリマンジャロ登山中、最もお世話になった施設と言えるでしょう。たとえ便座がなくても。

登山中も登山後も水分ばかりとっているもので・・・
登山中も登山後も水分ばかりとっているもので・・・

山小屋以外のトイレ事情ですが、だいたい日々の登山行程につき約1箇所は、トイレがあります。これが、簡易も簡易で狭い小屋の中に穴があいているだけのもの。ドアもなかったりしまらなかったりします。しかも、6〜7時間の行程内に約1軒ですから、おのずとトイレのタイミングとはあいません。

1日目の行程途中のトイレ。ここは最も大きくきちんとしていました。この後のトイレは見事に穴だけ
1日目の行程途中のトイレ。ここは最も大きくきちんとしていました。この後のトイレは見事に穴だけ

そこでどうするか? もちろん青空トイレです。
1日目は行動時間が短いので不要でしたが、2日目の草原では、トイレに行きたくなったら、登山道をそれて、できるだけ背の高い草むらにしゃがんで用を足します。キリマンジャロの頂から見下ろされ、アフリカの大地に腰を下ろして大自然の景色を眺めながらのトイレはまた格別なものがあります。この醍醐味を知ってしまったら、穴があいているだけのトイレなんてもう入れません。

こんな景色を眺めながらのトイレはサイコー!
こんな景色を眺めながらのトイレはサイコー!

苦労したのが4日目。最初のうちこそ岩場があるので隠れられましたが、4000mを超えたころからは砂漠地帯。隠れようにも隠れられない中、なんとか大きめの岩を見つけてがんばりました。といっても、もうここまできたらどうでも良いんですけどね。見えるとか見えないとかが、そもそもあまり気にならなくなるものです。

もう隠れるところがないけどトイレにいきたくなる
もう隠れるところがないけどトイレにいきたくなる

そして4700mの山小屋では、酸素が薄いあまりに、すぐ近くのトイレに行くだけで息が切れる体験をしました。ああ酸素があるってすばらしいことです。

高度4700m地点。トイレにいくにも全力投球
高度4700m地点。トイレにいくにも全力投球

#7 Day2 ホロンボハット(3720m)まで
#8 登頂へ導く毎日の「食」
#9 山小屋事情
#10 Day3 高度順応日のゼブラロック・ハイキング
#11 月明かりの影ができる場所で
#12 Day4 いよいよキボハット(4,720m)へ
#13 ガイド&ポーターのこと
#14 Day5 登頂アタック5895mへ
#15 Day5 頂上からのハードな下山
#16 Day6 さらばキリマンジャロ
#17 アルーシャへ移動
#18 Day7 サファリ〜帰国へ
#19(最終回) 持ち物いろいろ