登山友達が春先に怪我をしました。クライミングに出かけたのですが、クライミングではない場所で足を踏み外したらしく。
で、骨は無事だったのですが、もともと腰に故障がある人だったので、負担がかかったのかずっと調子が悪く。暑い夏が過ぎ、多少涼しい秋になったところで、軽めのお山からリハビることになりました。
で、八ヶ岳のにゅう。私が行ってみたかったというのもあって、びゅんとドライブすることに。ついでに山ごはんも食べようという企画です。
■関越から上信越道
長野へは中央道で何度か行ったことがありますが、今回はじめて関越から上信越道を通って行くことになりました。中央道はいつもいつも、いつもいつも、本当にいつも渋滞にはまるのですが、今回は和光ICあたりで混んだものの、比較的スムーズ(帰りも)。朝6時出発というのもよかった。道中見える山も、いつもと違って新鮮。青空の下で光を浴びる谷川岳や妙義山を眺めながらのドライブは気持ち良いです。中央道や東名を通っていると、日本列島を規則的に南下している気持ちになるのですが、関越や上信越道を通っていると、距離はそんなに変わらないのにジグザグとショートカットしている気分になります。たぶん、頭に叩き込まれた日本地図の「東日本」から「西日本」への見えない線に、軽〜くだけと反抗した感じで進むからではないかと。こういう感覚は、道に慣れてしまうと薄れてくるものなので、貴重な体験として記録しておきたい。
横川SAで休憩して、峠の釜飯を食べました。私は朝ごはんを食べてきたんだけど、同行のS氏が「余ったら持って帰ればいいじゃん」と買ってくれまして、せっかくだからと開けて食べ始めたら結局全部食べてしまった。美味しかった。ずっとずっと前だけど、鉄道最高地点の横川駅で食べたことがあります。土釜を持って帰って、小物入れにしていたけどいつかのタイミングで捨ててしまった。この土釜はなんと益子焼なんですって。一合のご飯が炊けるらしい。でも絶対やらないと思ったので回収場所に置いてきてしまいました。同じような種類の弁当グッズに崎陽軒のシューちゃん(醤油入れ)があると思いますが、これは未だにうちの台所の引き出しに数人が眠っています。やっぱり使われることはないけど、シューちゃんは小さくて場所をとらないし、かわいさがあるので捨てづらいのです。
■白駒池駐車場トラップ
順調に目的地に到着できそう、と思ったら、とんだトラップがありました。白駒池駐車場に行く道路は九十九折の「メルヘン街道」という道路を登っていくのですが、途中でなんとなく「満車」の看板が見えたような気がしました。でもカーブ地点だったのと、ちょっと斜めに置いてあったのと、朝も早かったので「そんなはずは」と思って進んでしまったら、まんまと満車でした。警備のおじさんに聞いたら、下のスキー場(満車看板が出てるよりもずっと前)に駐車場があるからそこに止めればシャトルバスがあると言われ、半ば無理やりにUターンさせてもらいました。しかしもう一つのトラップは、シャトルバスの最終時刻が15時までだということ。何がなんでも15時までに下山となると、案外時間はがありません。さあ番狂わせ。急いでスキー場まで戻って車を止めたら、タイミングよくシャトルバスは出発するところ。満席だったので補助席に乗せてもらって、再び白駒池駐車場へと向かいます。
■白駒池からにゅう
白駒池駐車場から白駒池までは10分ちょい。ここはまだ、パンプス軽装やスラックス着用の観光客スタイルの方々も歩いています。池は深い青色で、周囲の木々がほんの少しだけ紅葉はじめてました。三脚ごっついカメラおじさんがちらほら。標高も2000メートルを超えているので非常に涼しく、気持ち良い。冬にも来たことがあって、凍って雪が積もった池の上をスノーシューで歩いたのですが、時が変われば風情も変わるものです。
そして「にゅう」の分岐まで来たところで山に入っていきます。前日雨だったので道は結構ぐちゃぐちゃ。ただ道はなだらかで、途中で湿原もあって、苔むす森の中を歩くこと30分くらい、途中にまた分岐があって、そこから登山ぽい登りが始まります。
といっても、ここもそんなにきついわけではない。ただ、うっそうとした山道は、少し「登山道」がわかりにくくて、ちゃんと目印を確認しながら進まないと、すぐ道から外れてしまいます。道迷い誘発地帯、危険。
ところで「にゅう」の看板は、「ニュー」とか「にう」とか、表記ゆれがすごくて、これ私が日本語を解さない人だったら結構泣くところだなあと思いました。たとえば外国に行って、山に入って人もいなくて、目指す場所が「にゅー」という発音とわかっていても、「New」とか「niew」とか「NEAU」と道案内が立ってたら、本当にこっちで良いの?って思っちゃいますよね。一方で、この適当な表記感覚に微笑ましさも感じたりもします。普段から私は間違い探しのような仕事をしがちなので、このくらい適当でもわかればいいんだよな、と思ったりもする。たとえが悪いかもですが、日々時間を切り詰めて働いていても、災害とか電車事故とかで仕事ができない日が突発的に発生したときに、別に今日やんなくても死なないよな、と思い直すのに似てます。
■にゅう山頂で山ご飯
苔の森をずんずん登っていくと、パッと景色が開けて、そこが頂上でした。目の前、少し遠くにうっすらと見えるマウントフジ。ここを登ってきた人は全員が「あー、あれ富士山?!」と言います。私たちも言いました。一見、富士山が遠く薄くて、小さくみえるので、少し自信ない感じで。
にゅう山頂は道幅がなくて、登ってきた道から見て右方向は何もなし、左方面に行くと、高い岩があって、そこが本当の山頂ぽいです。ただ、山頂標のようなものはなく、一番高い所になんとなく登ってみると、270度くらいの景色が広がります。富士山の反対側には、登山起点の白駒池が小さく見えて、周りの山は緑からうっすら黄色に色づきはじめ。ド紅葉のシーズンになったら、この岩のあたりもラッシュしてしまうのかもしれません。
さて山ごはん。山ごはんは具材や調理器具が荷物になるし、行動時間にプラスして調理時間も必要になるので、基本は1000m級の低山限定にしているのですが、今日は人数も少ないし、行動時間も短いので、簡単なガーリック炒飯を作ることにしました。スープはお湯でとかすインスタントの卵スープ、前日にコンビニで買いました。おやつは友達にコーヒーを入れてもらい、ラスクやパイなど持参したものを食べました。なんでもかんでも山の上で食べると美味しさもひとしおです。
■割とすぐに下山
山頂には次々と人がやってきました。おにぎりを食べる人、やっぱり何か暖かいものを作っている人など。八ヶ岳の中でもコースが短く難所もないところなので、割と気軽な感じの登山者が多い印象でした。スニーカーとかジーンズとかではなく、装備はちゃんとしてる人ばかりですが、なんというか、遠足っぽい楽しい雰囲気のグループが多かった気がします。この山は気軽に登れるし森林浴もできるので、近くにあったらちょろっとコーヒー飲みに登りに来たい感じです。
下山後は白駒池を反対側からまわって、青苔荘のテント場を眺めて「あーこういうところで気軽にテントの練習したいな」と思ったりしながら駐車場に戻りました。15時には余裕で間に合った。
お天気もコンデションもよかったので、地図に書いてあるコースタイムより随分短縮した感じで登って降りてこられました。よい山行でした。