【北横岳に登ってきた】晴天の雪山は異次元の世界

キリマンジャロの記録はまだ続きますが、ちょっと脱線して。
この週末(2016/1/30〜31)、北横岳で雪山トレッキングを楽しんできました。

木の上に雪の十字架が!
木の上に雪の十字架が!

登山歴がまだ浅いワタクシですが、いつかは雪山を登ってみたいなーという乙女な夢を叶えるときがやってきました。
北横岳は、北八ヶ岳に位置する2480mの程々に高いお山でありながら、初心者に適しているコースということで、冬山バージンのオレ様でも大丈夫そうです。

行程はこんな感じ
行程はこんな感じ

普段と違う荷物としては、ホッカイロをちょっと多めに持ったくらい。
歩くときは、あったかインナー+メリノウール+インナーダウン付のウインドブレーカー。下はあったかタイツ+裏フリースのトレッキングパンツ+レインパンツ。ニット帽、フリースのネックウォーマー、手袋二枚、レインスパッツをつけて。冬山といえど歩くと暑くなってくるので、想像よりも薄着で大丈夫でした。
ただ、動いていないときは寒いので、山小屋では厚手のフリースと毛糸のレッグウォーマーでしっかり防寒対策を。
スノーシューとストック、軽アイゼンはレンタルで。また、標高があるのでと勧めてもらった冬用登山靴も借りてみました。この冬用登山靴、履いてみてわかったけれど、足の周りにクッションがあり、それが足を温めてくれるので、とても快適でございました。

スノーシューで雪の上を歩く
スノーシューで雪の上を歩く

さて、北横岳の登山が初心者にも向いている理由のひとつに、ロープウェィの存在があります。1771mの山麓駅から、2237mの山頂駅までひとっひとびで行けてしまいます。つまり、登る標高は200mちょい。これはお得でしょ、奥さん。
このロープウェイには、スキーやスノボのお客さんも一緒に乗ります。というか、登山客がマイノリティな存在です。

北横岳ロープウェイ山麓駅
北横岳ロープウェイ山麓駅

水はありません、が山小屋でお湯はもらえました(有料)
水はありません、が山小屋でお湯はもらえました(有料)

山頂駅に到着したら、まずはスノーシューを装着。曇っていますが雪は降っていません。薄グレーの世界を歩き始めます。

装着OK! なオレ
装着OK! なオレ

スノーシューで歩くのは、踏み固められた道よりも、積もってフカフカしているところが楽しい。たまにクマザサの上の雪を踏んでしまって、身体がゆっくり雪の中に落ちます。しかし、落ちるとわかっていても何もできず、最初はビビるのですが、スローモーションで落ちてはよじ上るを繰り返すと、テンションがあがってきます。

雪は降っていないけれど景色はこんな
雪は降っていないけれど景色はこんな

15分くらい歩くと、本日のお宿、縞枯山荘に到着しました。
ここに不要な荷物を置いて、また出発です。今日は短距離・短時間なので、必要なものだけサブバッグに入れて、リュックごと置いてきてしまいました。

今日のお宿 縞枯山荘
今日のお宿 縞枯山荘

キリマンジャロの山頂アタックで、身体の負担を減らすためにできるだけ荷物は持たないようにと隊長に言われ、子羊のように素直な私?は思い切ってポーチひとつで厳しいアタックに挑んだのでした。普段から「持たざる人生」を目指しているのものの、このときまた、余計なものを持たない身軽さを心身で実感してしまい、帰国してもしばらくは手ぶらな人になっていました。なので今回も、ちょっとのおやつと、テルモスと、カメラをポケットとサブバッグに入れてあとは置き去りに。

景色ほど寒くはない
景色ほど寒くはない

さて、身軽になって目指すは縞枯山の山頂です。曇りで空はどんよりし、雪は多いですが、気温は普段-10〜15度くらいのところが少し高めとのことで、快適に歩き出します。途中、雪の重みで倒れてしまった木の間をくぐったり、急坂を登ったりしながら山頂へ。

木々が雪で垂れ下がる
木々が雪で垂れ下がる

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
妖怪の手のよう
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
空が見えてくる

山頂は、狭いながら空が開け、木々に連なるたくさんのエビのしっぽを観察したりして楽しみました。

有名なえびのしっぽ現象
有名なえびのしっぽ現象

雪でぬいぐるみのようになった低木
雪でぬいぐるみのようになった低木

帰りは登った急坂をお尻で滑り降りたり(このときカメラを雪まみれにしてしまいしばらく写真がとれず・・・)、バフバフと新雪の上を踏みつけながら歩き回ったりと、スノーシューの醍醐味を堪能して山小屋へ。

スノーシューに最適なコンディション
スノーシューに最適なコンディション

山小屋の中は薪ストーブが燃えていて、手をかざして暖まりながらしばし休憩。

山荘の薪ストーブ
山荘の薪ストーブ

夕方5時半には夕食です。大きな手作りハンバーグの美味しいお食事でした。

夕食はでっかいハンバーグ
夕食はでっかいハンバーグ

消灯は8時半。それまでランプの下で、山の話を語らいます。キリマンジャロのことを聞いてもらえたのがちょっと嬉しかったです。

山小屋のランプの光。なんだか物語のようだ
山小屋のランプの光。なんだか物語のようだ

お布団はブレスサーモというあったか素材で、とても快適。とはいえ、寝る姿勢が悪かったために、胸が苦しく非常にホラーな悪夢を見るはめに。途中何度か目をさましながらも、ゆっくり温かく眠りました。
朝型、トイレに起きたついでに外に出ると、しんとした雪山の景色に、ポツポツと星が出て、小さくて明るい月がこうこうと光っています。白い雪が青く浮かび上がる夜の景色があまり美しくて、寒いのも忘れて見入ってしまいました。すぐに寒いことを思い出すくらい寒かったですけど。

朝方の景色。夢のよう。
朝方の景色。夢のよう。

朝方ももう一度外に出てみると、東の空が明るくなっています。その明るい光が、正面の山に反射して、荘厳な360度ビュー。

東の空が明るくなってきた
東の空が明るくなってきた

こんな素晴らしい景色が見られるなら、リスクがあっても雪山に登っていく人の気持ちがわかります。

すばらしい日の出
すばらしい日の出

朝日が反射してキラキラ
朝日が反射してキラキラ

朝ご飯もほどよい分量で温かく、美味しかった。

あさごはんはやさしい味
あさごはんはやさしい味

さて7時過ぎに出発です。本日は昨日とまったく変わって雲一つない青空が広がっています! なんて幸運! 軽アイゼンをはいて、北横岳山頂を目指します。
まだ太陽が低いので、気温はマイナス14度くらいとのこと。手袋を外していると、あっという間に冷えてしまいます。
雪はまだ新しいところが多く、うさぎの足跡が見つかりました!

うさぎの足跡
うさぎの足跡

どんどん歩いていくと、火山が噴火したときに溶岩が落ちてできたという坪庭に出ます。ここの景色が非常に素晴らしく、白い雪をかぶった南アルプスが遠くにはっきりと連なっていました。普段は吹きっさらしで顔なんて出していられないらしいのてすが、この日はなんと無風。冷たい空気が気持ちよいほどでした。

アルプスがくっきり
アルプスがくっきり

朝日と雪がどちらも眩しく
朝日と雪がどちらも眩しく
これはきつねの足跡だそうです
これはきつねの足跡だそうです
木々が芸術作品のよう
木々が芸術作品のよう

坪庭を抜けるとやや登りが続きますが、進めば進むほど遠くの景色と、雪にまみれてキラキラする大地や木々が目に入り、ぜんぜんしんどくなんかなりません。まるでテーマパークです。
北横岳雪の世界1

北横岳
雪の世界 2
北横岳
雪の世界 3
北横岳
雪の世界 4
北横岳
雪の世界 5
北横岳
雪の世界 6
北横岳
雪の世界 7

途中、北横岳ヒュッテの前で休憩。遠くに浅間山が見えました。

ここには泊まらなかったけど北横岳ヒュッテ
ここには泊まらなかったけど北横岳ヒュッテ

遠くに浅間山。あの浅間山も美しい。
遠くに浅間山。あの浅間山も美しい。

そしてさらに急坂を登ると、頂上へ!
ものすごく長いエビのしっぽが、普段の風の強さを表しています。八ヶ岳のガイドさん曰く、通常は風が強くてすぐに降りなくてはならないとのことですが、超好天に恵まれたため、ゆっくり景色を楽しみました。

歩いてきた道
歩いてきた道

遠くの山がとにかく美しい
遠くの山がとにかく美しい
南八ヶ岳のやまやま
南八ヶ岳のやまやま
名物えびのしっぽ
名物えびのしっぽ
山頂票にもしっぽが
山頂票にもしっぽが

そして下山。登ってきたばかりのたくさんの人とすれ違います。混む前の時間に登ってきてよかった。

個人的にツボだった、木々の上の十字架
個人的にツボだった、木々の上の十字架

下山時には、気温が上がってきたのか、木々の雪がとけてつららに水がたまったり、つららが折れて雪にささったりしていました。昔、凶器のない殺人事件てあったよなと思い出したりしながら、下山です。

枝が白いだけでこんなに美しいなんてね
枝が白いだけでこんなに美しいなんてね

山荘まで降りたら、再びスノーシューに履き替えて、ロープウェィの駅まで歩きます。昨日とは違う、大地が開けたようなところを通ってきました。

サスペンスドラマでおいつめられるところのよう
サスペンスドラマでおいつめられるところのよう

単独の十字架
単独の十字架
北横岳ロープウェイ山頂駅まで戻る。あー短かった!
北横岳ロープウェイ山頂駅まで戻る。あー短かった!

あー本当に楽しかった。スノーシューとアイゼンの両方楽しめて、しかも2日とも雪には降られず、夜は星、昼間は青空の好天で。いつもこんなにコンディションが良いわけではないと思うけど、また雪山トレッキングを楽しみたいと思っています。

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