山梨に位置する百名山、金峰山と瑞牆山の縦走に出かけてきました。
アルプスというわけでもないけれど2500mクラス。「行ったことあるわ」と言う方がちらほらいるけど、強力にレコメンドされるわけでも止められるわけでもない。メジャーではないけれど出発前に母に電話したら「あら一昨日テレビで観たわ」というくらいの知名度。
そんなに山の名前に詳しいわけではない私は、金峰山も瑞牆山も、存在すら知らない山でしたが、なかなかのアドベンチャーであり、山小屋のクオリティは高く、縦走二日目は意外に距離があるしで、想像を超えることがいくつも起こる二日間でした。いやあ楽しかった。
1日目
いつものように新宿からバスで、中央道の渋滞に巻き込まれながらの出発でした。心配していた雨の予報もなんのその、青空が見えて、でも快晴ではないという、山登りには絶好のお天気です。快晴だと今の時期暑いですからね。。
本日はまず、金峰山から登ります。ちなみに「金峰山」ですが、山梨の人は「きんぷさん」、長野の人は「きんぽうざん」と呼ぶそうです。Instagramの位置情報候補では「Mount Pinpu」になっていて、山小屋の手ぬぐいには「Kinpousan」と書かれていました。私は行く前から「きんぽうざん」としか読んでいなかったので、そう呼び続けました。
登山口でまず昼食。最近の私は、登山初日の昼食が定番化していて、プチトマト、ゆで卵、チーズ、おにぎりという、私なりの栄養バランスを考えかつ簡単なメニューにしています。前はバナナを持ってきていたのですが、登山中はゴミが捨てられなくて、ずっと黒ずんでいくバナナの皮を持ち運び続けなければならないので、やめました。バナナは速攻エネルギーになって良いんですけどね。速攻エネルギーといえば、登る前のアミノバイタルも忘れません。そうキリマンジャロのあの時からずっと。
トイレをすませて、いざ出発。まずは森の中を歩いていきます。道も広く、ずっと川の横を歩くので、水音が耳に涼しく、心地よいウォーキングでした。
本格的な登山道に入ってしばらくすると、「最終水場」と書いてある川の横に出ました。ここでみんな、川の水をもらっていきます。冷たくて美味しい。でのこの後は水が貴重になり、山小屋では雨水を大事に使うことになります。私は人より水を飲むほうで、3リットルくらい持って歩きます。重いのが玉に瑕ですが、以前、手持ちの水を飲んでしまってちょっと苦しい思いをしたので、多少重くても思い切り飲めるほうを選んでいます。
さらに今回は、ボトルホルダーを新調しました。いつも、リュックの横のポケットにボトルを入れていたのですが、自分で出し入れが困難だし、歩きながら飲めないしで、不便だなあと思っていたのですが、ハイドレーションシステム(太いストローみたいなのを常に口のそばにセットしておける仕組みのもの。大概リュックにはそれ用の穴があいていて、リュックの中のウォーターキャリーから直接飲める)はちょっと面倒だなあと思ったりしていて。やってみればそんなことないんでしょうけれど。そこで、以前、他の方がホルダーをぶらさげて歩きながら自由自在に飲んでいるのを見て真似しました。私の「山の知恵」はこうしてみなさんからの参考で成り立っています。
途中休憩をしながら、おやつを食べながら、写真を撮りながら、とにかく歩きました。この日はこうしてずっと樹林帯を歩いていきました。シラビソという白樺やシャクナゲの木を見ながら、ずっとずっと歩きました。
4時間くらい歩いて、ようやっと山小屋到着です。ちなみにこの金峰山と瑞牆山は、山小屋にしろ頂上にしろ「突然」現れるという特徴がありました。見えているけどなかなか到着しないのもつらいけど、前触れがないのも結構不安になるもので。そうして突然現れた山小屋は、プレハブの外観はいたって普通。しかし中に入ると、山小屋ベスト3に入るんじゃないかというハイクオリティ。まあその話は後にして、まずはリュックを下ろして、雨具と水だけを持って、歩いて30分ほどの頂上に向かいます。
そこまでは樹林帯だったのに、山小屋から頂上に向かう道はいきなり岩山。木が突然なくなるので、周り360度Viewです。素晴らしい眺め! そして明日向かう瑞牆山がえらい遠くに見えて、一気に不安になります。
足場を探して岩をよじ登る感じでずんずん進み、ようやっと頂上へ。頂上に到着すると、嘘みたいな青空! そして富士山がくっきりと! なんだか非現実的な眺めを楽しむことができました!
頂上でひとしきり景色を堪能したら、山小屋へと戻ります。山小屋ではまず中に入って、二階の寝床へ。ここがまた広くて、毛布に加えて羽毛ぶとんまで用意されていました。外のプレハブとはうってかわって、中は木の感じを生かしたロッジ風になっています。いや本当のロッジか。雑魚寝でも、隣の人との距離がわりとあるので、何も気になりません。お客もとっても少なかったし。小屋の方曰く、8月初旬を超えるとお客さんが少なくなるんですって。こんなに良い山小屋なのに! もったいない! でもあんまり混んでほしくない!
トイレは離れの二階にあるのですが、バイオトイレながら、非常に綺麗なトイレでした。「紙は別に捨ててね」などの張り紙があるのですが、いちいち絵と英語が併記してあって、味わいぶかくセンス抜群。山小屋の雰囲気そのものです。
そして夕食がまた驚き。チキンソテーがごはんにのっかって、サラダが添えられたワンプレートごはんに、グラスワインがつきます! だいたい山小屋のご飯は、冷凍ハンバーグなどが主流ですが(それでも美味しいのですが)、シンプルながら手の込んだ、目にも楽しいお食事を、ナイフとフォークでいただくのです、山の上で! アンビリーバボー! さらにさらに、おかわりは別メニューで、カレーとごはんのお鍋が食堂の真ん中に置かれています。このカレーがまた、スパイシーで美味しいんです。おなかいっぱいでもつい味見してしまうほど。
残念ながら雲が出てきたので夕日は見られませんでしたが、夕焼けや、暗くなってからの星空はばっちり見えまして、外に出ては身体が冷えるまで空を眺め、中に入っては暖まりながら同行の人たちと静かにおしゃべりする。今回は人数が少なかったこと、一人で来ている人が多かったこともあり、マイペースで、ゆったりと過ごせました。そして朝早かったので、20時過ぎにはお布団へ。ああ極楽極楽。
2日目
2日の朝食がすごく楽しみでした。その期待を裏切らない、おかゆと、つけもの&お惣菜がたくさん。登山中の朝のおかゆって、消化にも良いし、お腹はあったまるしで、本当にありがたい。男性が二人でやっていらっしゃるのですが、ここのご飯や小屋の中のクオリティは本当にすばらしかったです。
小屋を後にして、まずは稜線歩き。岩をアップダウンしながら360度Viewを楽しみます。今日も快晴で、富士山がずっとずっと見えていました。今年の富士山は雪が少なく、グレーのシルエットが大きく雲に浮かんでいます。富士山だけではなく、アルプスの山々も全部見えて、本当に素晴らしい眺めの稜線歩きでした。
稜線を抜けると、再び樹林帯へ。どんどん、どんどん下っていくのが不安になります。いやほんと、どんどん下りました。ということは、その分また登るということです。急坂を下りながらだんだん無口になる私たち。
トイレ休憩ポイントの富士見小屋に到着して、まだ11時前だったのですが、お昼を食べてしまいました。なんたって朝ごはんも早かったしさ。お昼は金峰山小屋で作ってもらったおにぎりです。山小屋でよくお昼のお弁当を提供してくれるのですが、もれなく冷えてしまうので、おかずが入った幕内形式よりも潔くおにぎりと漬物だけのほうがありがたかったりします。包み紙も邪魔にならないしね。
お昼を食べたら、水場へ水をくみにいきます。ここの水は湧き水で、冷たくて美味しかった! 3リットル持っていた私も、結構足りなくなってしまったので、ここで補充です。
水を確保し、お腹も整えたので、再び出発です。ここからまた少し登りがあって、下って、を繰り返し、そのあと本格的な岩登りが待っています。
この岩登りが、永遠に続くのではないかと思われるくらい長かった・・・。岩をよじ登って、よじ登って、またよじ登って。途中で、切り立った岩山が見えて、すごい〜と感動していたら、すれ違った方に「頂上から見るともっとすごいよ! これを見下ろすんだよ〜」と言われ、この高い岩より上まで行かなくちゃならんのか・・と一抹の不安が。
そして岩をよじ登り続けて、ようやっと、頂上です! 頂上は岩ゴツゴツで、狭くって、反対側が断崖絶壁。恐る恐る覗き込んで、写真を撮ったり。そして登頂直後は白いもやがかかっていたのですが、少しすると景色が見えてきました。岩と緑の織りなす不思議な風景です。
さて頂上から下山開始です。登ってきたルートとはちょっと違って、少し岩を降りたところからは樹林帯に入りました。やや歩きやすい感じでしたが、沢歩きや、小川を超えたり、なかなかアドベンチャー度の高い下り道でした。しかも、この件が相当長い。コースタイムを大きくオーバーし、疲労困憊しながらかなり時間をかけて下山しました。いやあ、長かった!!
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