北アルプスの女王「燕岳」に登ってきました。
今回のプランは、「燕・常念」縦走組に混ざって登り、私はそのままみなさんを見送って燕を下山するというもの。9月末に槍ヶ岳登山を控えていることもあり、足慣らしのために登ったので、あまり無理して疲れたくはなかったんです。結果的には悪天候で景観0だったので、縦走までして消耗しなくてよかったなーというところ。本番は月末ですから。
いつものように新宿を出発し、いつものように中央道は渋滞。おまけに高速出口から燕の登山口に行くまでの狭い狭い九十九折道路も前から来る車と鉢合わせをしたりで、なかなか進まず。登山開始は14時近くになってしまいました。
お天気はまだ持っていたので、元気に歩き出しますが、すれ違う下山の人々に「今から登るの?!」と言われる始末。そうです、登山は15時16時までに山小屋に到着するのが常識というもの。この時間から歩き出して、コースタイムでも4、5時間はかかる設定ですから、非常識と思われても仕方ないです。我々にはリーダーがいたため、そのまま登山しましたが、個人で来たら断念しているところでしょう。
燕岳の登山道は、急登で有名というだけあって、かなりの登り坂です。でも、1時間おきにベンチのある広場があって、おのずと良いペースで休憩をいれられるのと、時間の目安をつけやすいので、非常に登りやすい。しかも、急登と言ってもロープや鎖や足場の悪いところは少ないので、高度な登山技術は不要。やや歩き慣れている人なら余裕で登れると思います。
ただねー。この日はやっぱり、どんどん天気が下り坂で、雲も多くて、景観はあまり楽しめず、黙々としたトレーニング登山となりました。16時過ぎ頃からポツッと雨がきて、そこからはレインウェアを着ての歩き。なかなか修行です。
途中にある合戦小屋では、長野の美味しいスイカが振舞われることで有名ですが、到着時間が遅く、すでにスイカも売店も終わっていました。辺りが少しずつ暗くなってきまして、このくらいの時間になると、山関係者の方の視線が冷たくなってきます。確かに、こういうのが遭難事故で迷惑をかけることにはなるんでしょうけれど・・・。ここからはヘッドランプを用意して、暗さ対策をします。雨も少し強めになってきました。
合戦小屋を超えてしばらく歩くと、岩場を歩いたり、ちょっと足場が不安定になります。ヘッドランプで足元を照らしながら、注意深く歩きました。そしてテント場を抜けて、ようやく燕山荘が見えてきました。
燕山荘はお客さんがいっぱいで、遅く着いた我々は母屋から一番遠い離れの部屋となりました。先客が少し入っていて、その出入りを待っていたりして、なかなか中に入れず、寒さに震えながら外で待つこの時間がちょっと辛かった。。。しかしようやっと中に入ると、ストーブのついている乾燥室があり、山小屋の中もとっても綺麗で明るく、ほっと一息。濡れた服を脱いで着替えたりします。
ごはんまで少し時間があったのですが、離れよりも母屋のほうが暖かろうということで移動しました。母屋は長細い迷路のようになっていて、お客さんのベッドの間や階段をいくつもたどってキッチンへ。前の組が夕食をとっている間は、売店でグッズを見たり、写真をとったり。
そしてごはんの時間です。ビールが飲めるお友達たちは、ジョッキのビールを頼んでいました。ごはんは暖かくておかずも充実。杏仁豆腐のデザートまでついています。(コレガ美味しかった〜) 夕食の間には、燕山荘のご主人によるホルンの演奏と山のお話を聞くことができました。こういうクオリティの高い山小屋が増えてきて、これまでハードルが高いなあと思っていた人たちも山を楽しめるようになるのは本当に良いことだと思います。我慢や忍耐が持てない人は登山しちゃいけない、なんてナンセンス。シャンプーできなきゃイヤ、なんてのはちょっと次元が違う話ですが(環境保護の観点から洗剤は使えないし水が貴重や山ではお風呂はさすがに沸かせない)、山小屋の清潔感は山に負担をかけなくてもできることですもんね。
その日は疲れたのでもう消灯前に熟睡でした。
さて翌日。5時に朝食だったので、4時すぎに起きて準備をして、4時半には母屋に向かいます。というのも、できるだけ早くご飯を食べたい人が多いものですから、すっごい行列をするんです。すでにキッチンから長い列かできていたので、その後ろにつきます。無事5時の朝食にありつきました。朝食もとても充実。こんどはゼリーのおやつまでついています。
朝食の後は、登頂アタック。雨が降っていましたが、風がそれほど強くないので、出発です。荷物は小屋に置いていったので楽チン。なかなか景色が見えないなか、岩場を歩き、猫のひたいのような狭い燕岳頂上へ。天気がよければ360度の素晴らしい景色なのだそうですが・・・一面まっちろ。次に来るときの楽しみにとっておくことになりました。
頂上アタックから戻ったら、することもないのですぐに出発です。常念縦走組を見送り、私ともう一人の同行者、そしてちょっと足の調子がよくないとのことで縦走を諦めたというお母さん、そして大学生のガイドくんの四人でこじんまりと下山しました。雨がどんどんひどくなってきたにもかかわらず、なぜかこの中を登ってくる人もたくさん。なぜこの天気で登ろうとする? あとでわかったのですが、この時間に登ってくるひとたちは、今日家を出てきたわけではなく、おそらく前日に家を出て登山口付近で宿泊した人たちなのではないかと。そしてそこまで来たわけだから、登れるなら登ってしまえと思ったのではないかと。でも一律みなさんあまり楽しそうではありませんでした。そうよね、登山はピーカンでないにせよ、この天気ですべきではないわよね。
お昼少し前には登山口まで無事下りきり、温泉とお昼ごはんを楽しんでから、のんびり電車で帰りました。来るときに渋滞した九十九折の道路をタクシーで下ったのですが、ドライバーのおっちゃんのテクニックが凄すぎて、四人とも鬼車酔い。この道路は何かと注意事項多しです。
なんだか「燕岳に登った」という事実だけが残ってしまいましたので、そこに「景色がすばらしかった」を付け加えるため、また来年チャレンジしたいと思います!