【燕岳に登ってきた】北アルプスの女王は秋雨日和

北アルプスの女王「燕岳」に登ってきました。

登山口はまだお天気
登山口はまだお天気

今回のプランは、「燕・常念」縦走組に混ざって登り、私はそのままみなさんを見送って燕を下山するというもの。9月末に槍ヶ岳登山を控えていることもあり、足慣らしのために登ったので、あまり無理して疲れたくはなかったんです。結果的には悪天候で景観0だったので、縦走までして消耗しなくてよかったなーというところ。本番は月末ですから。

いつものように新宿を出発し、いつものように中央道は渋滞。おまけに高速出口から燕の登山口に行くまでの狭い狭い九十九折道路も前から来る車と鉢合わせをしたりで、なかなか進まず。登山開始は14時近くになってしまいました。

お天気はまだ持っていたので、元気に歩き出しますが、すれ違う下山の人々に「今から登るの?!」と言われる始末。そうです、登山は15時16時までに山小屋に到着するのが常識というもの。この時間から歩き出して、コースタイムでも4、5時間はかかる設定ですから、非常識と思われても仕方ないです。我々にはリーダーがいたため、そのまま登山しましたが、個人で来たら断念しているところでしょう。

あまり花は咲いていませんでした
あまり花は咲いていませんでした

燕岳の登山道は、急登で有名というだけあって、かなりの登り坂です。でも、1時間おきにベンチのある広場があって、おのずと良いペースで休憩をいれられるのと、時間の目安をつけやすいので、非常に登りやすい。しかも、急登と言ってもロープや鎖や足場の悪いところは少ないので、高度な登山技術は不要。やや歩き慣れている人なら余裕で登れると思います。

健脚な人たち。登る、登る。
健脚な人たち。登る、登る。

ただねー。この日はやっぱり、どんどん天気が下り坂で、雲も多くて、景観はあまり楽しめず、黙々としたトレーニング登山となりました。16時過ぎ頃からポツッと雨がきて、そこからはレインウェアを着ての歩き。なかなか修行です。

景色は残念ながらぼんやり
景色は残念ながらぼんやり
でも緑は気持ち良い色
でも緑は気持ち良い色
みずみずしい葉っぱ
みずみずしい葉っぱ
第一ベンチ到着!
第一ベンチ到着!
この辺りから、少しずつ紅葉が始まっていました
この辺りから、少しずつ紅葉が始まっていました
ほらだんだん赤くなってきましたよ
ほらだんだん赤くなってきましたよ
うっすらと遠くの山が・・・
うっすらと遠くの山が・・・

途中にある合戦小屋では、長野の美味しいスイカが振舞われることで有名ですが、到着時間が遅く、すでにスイカも売店も終わっていました。辺りが少しずつ暗くなってきまして、このくらいの時間になると、山関係者の方の視線が冷たくなってきます。確かに、こういうのが遭難事故で迷惑をかけることにはなるんでしょうけれど・・・。ここからはヘッドランプを用意して、暗さ対策をします。雨も少し強めになってきました。

合戦小屋。すでに店じまいあと。
合戦小屋。すでに店じまいあと。
この滑車で名物スイカが運ばれてくるらしい
この滑車で名物スイカが運ばれてくるらしい
スイカは終了。残念!!
スイカは終了。残念!!

合戦小屋を超えてしばらく歩くと、岩場を歩いたり、ちょっと足場が不安定になります。ヘッドランプで足元を照らしながら、注意深く歩きました。そしてテント場を抜けて、ようやく燕山荘が見えてきました。

燕山荘はお客さんがいっぱいで、遅く着いた我々は母屋から一番遠い離れの部屋となりました。先客が少し入っていて、その出入りを待っていたりして、なかなか中に入れず、寒さに震えながら外で待つこの時間がちょっと辛かった。。。しかしようやっと中に入ると、ストーブのついている乾燥室があり、山小屋の中もとっても綺麗で明るく、ほっと一息。濡れた服を脱いで着替えたりします。

クラシカルな照明がすてきな燕山荘
クラシカルな照明がすてきな燕山荘

ごはんまで少し時間があったのですが、離れよりも母屋のほうが暖かろうということで移動しました。母屋は長細い迷路のようになっていて、お客さんのベッドの間や階段をいくつもたどってキッチンへ。前の組が夕食をとっている間は、売店でグッズを見たり、写真をとったり。

売店前の照明もすてき
売店前の照明もすてき

そしてごはんの時間です。ビールが飲めるお友達たちは、ジョッキのビールを頼んでいました。ごはんは暖かくておかずも充実。杏仁豆腐のデザートまでついています。(コレガ美味しかった〜) 夕食の間には、燕山荘のご主人によるホルンの演奏と山のお話を聞くことができました。こういうクオリティの高い山小屋が増えてきて、これまでハードルが高いなあと思っていた人たちも山を楽しめるようになるのは本当に良いことだと思います。我慢や忍耐が持てない人は登山しちゃいけない、なんてナンセンス。シャンプーできなきゃイヤ、なんてのはちょっと次元が違う話ですが(環境保護の観点から洗剤は使えないし水が貴重や山ではお風呂はさすがに沸かせない)、山小屋の清潔感は山に負担をかけなくてもできることですもんね。

夕ご飯。シンプルだけど美味しい。
夕ご飯。シンプルだけど美味しい。
小屋のご主人のホルン演奏
小屋のご主人のホルン演奏
夕食後外に出ると霧雨が
夕食後外に出ると霧雨が

その日は疲れたのでもう消灯前に熟睡でした。

さて翌日。5時に朝食だったので、4時すぎに起きて準備をして、4時半には母屋に向かいます。というのも、できるだけ早くご飯を食べたい人が多いものですから、すっごい行列をするんです。すでにキッチンから長い列かできていたので、その後ろにつきます。無事5時の朝食にありつきました。朝食もとても充実。こんどはゼリーのおやつまでついています。

朝ごはん。これもシンプルでおいしかった。
朝ごはん。これもシンプルでおいしかった。

朝食の後は、登頂アタック。雨が降っていましたが、風がそれほど強くないので、出発です。荷物は小屋に置いていったので楽チン。なかなか景色が見えないなか、岩場を歩き、猫のひたいのような狭い燕岳頂上へ。天気がよければ360度の素晴らしい景色なのだそうですが・・・一面まっちろ。次に来るときの楽しみにとっておくことになりました。

頂上に向かいます
頂上に向かいます
この天気の中でもテント泊の人たちがたくさんいました
この天気の中でもテント泊の人たちがたくさんいました
頂上への道は白い砂浜のよう
頂上への道は白い砂浜のよう
ゴツゴツした岩と白砂が対照的
ゴツゴツした岩と白砂が対照的
名物のめがね岩
名物のめがね岩
振り返るとなんだかマチュピチュのよう
振り返るとなんだかマチュピチュのよう
不思議な風景。山なのに海っぽい
不思議な風景。山なのに海っぽい
これが猫の額のような頂上です!
これが猫の額のような頂上です!
燕山荘全景。居心地良い山小屋でした
燕山荘全景。居心地良い山小屋でした

頂上アタックから戻ったら、することもないのですぐに出発です。常念縦走組を見送り、私ともう一人の同行者、そしてちょっと足の調子がよくないとのことで縦走を諦めたというお母さん、そして大学生のガイドくんの四人でこじんまりと下山しました。雨がどんどんひどくなってきたにもかかわらず、なぜかこの中を登ってくる人もたくさん。なぜこの天気で登ろうとする? あとでわかったのですが、この時間に登ってくるひとたちは、今日家を出てきたわけではなく、おそらく前日に家を出て登山口付近で宿泊した人たちなのではないかと。そしてそこまで来たわけだから、登れるなら登ってしまえと思ったのではないかと。でも一律みなさんあまり楽しそうではありませんでした。そうよね、登山はピーカンでないにせよ、この天気ですべきではないわよね。

下山道で振り返ると少し山が見えました
下山道で振り返ると少し山が見えました
見頃は来週以後??
見頃は来週以後??
雨の中下山していくと・・・
雨の中下山していくと・・・
なんと! スイカが食べられました!
なんと! スイカが食べられました!

お昼少し前には登山口まで無事下りきり、温泉とお昼ごはんを楽しんでから、のんびり電車で帰りました。来るときに渋滞した九十九折の道路をタクシーで下ったのですが、ドライバーのおっちゃんのテクニックが凄すぎて、四人とも鬼車酔い。この道路は何かと注意事項多しです。

なんだか「燕岳に登った」という事実だけが残ってしまいましたので、そこに「景色がすばらしかった」を付け加えるため、また来年チャレンジしたいと思います!

【蓼科山に登ってきた】山岳信仰の不思議な山頂へ

2016年9月は、勝手に「登山強化月間」にしましたため、まずは9月前半、蓼科山へ行ってきました。

山岳信仰の中でした
山岳信仰の中でした

蓼科といえば、避暑地のイメージ。白いワンピースに麦わら帽子という勝手なイメージを持っていましたが、そこに「山」がつくと、結構な急登の、岩だらけの山で驚きでした。

お天気はこんなでしたが
お天気はこんなでしたが

いつもの新宿出発で、中央道を走ります。そしていつもどおりの渋滞です。中央道はなんでこんなにいつも混んでいるんでしょう。その渋滞を作っている一人ではあるものの、この渋滞があるから、マイカーで行く気をなくします。渋滞の中運転して疲れて登山して、また帰るのに疲労困憊するよりは、みんなでバスに乗っていったほうが楽チンですから。運転手さんいつもありがとうございます。

そんな渋滞のおかげで、7:30に新宿を出たあと、蓼科山登山口に到着したのは11時。登山口には大きな鳥居があり、山岳信仰の名残が感じられます。後で調べたのですが、この八ヶ岳の北端に位置する蓼科山は、雪女とか山姥とか巨人とか、伝承にあふれた山なんだそうな。たしかにその片鱗を感じさせる厳しい自然に溢れていました。

登山口には大きな鳥居。これをくぐった人だけが登れます
登山口には大きな鳥居。これをくぐった人だけが登れます

鳥居から樹林帯を登っていくと、馬返しと呼ばれる急登が現れます。ここは、馬が登れずに引き返してしまいということからそう名前がつけられたんだそうな。馬じゃなくても引き返したくなる坂道です。まあ山登りに来たのでそんなこと言わずに登りますが。
すれ違うのは地元の人らしき人が多く、「これから登るの?」「今日は泊まりじゃないの?」と聞かれました。ええ、泊まりではなく日帰りですよ、登りますよ。

しばらくは整備された樹林帯の中を通ります
しばらくは整備された樹林帯の中を通ります
お天気があやしいです
お天気があやしいです

馬返からはとにかく急な登りが続き、パッと景色が開けて蓼科山荘に到着。山荘前でお昼ご飯です。
ここの山の山小屋は、外にTシャツや手ぬぐいなどのグッズをたくさん並べていて、売る気まんまんです。山小屋はだいたい、小屋の中に売店スペースがあるものですが、屋台のように外に出しているのは、ひょっとして宿泊客が少ないから? でも山小屋の方は親切で、「ここから先は岩ばかりだからストックしまったほうが良いよ!」と登山者にアドバイスしてくれていました。

蓼科山荘前。ここでたくさんの登山者がお昼を食べていました
蓼科山荘前。ここでたくさんの登山者がお昼を食べていました
山荘の前ではたくさんのきのこたちが干されていました
山荘の前ではたくさんのきのこたちが干されていました
山の上はもう赤とんぼが地上に降りる準備をしています
山の上はもう赤とんぼが地上に降りる準備をしています

山荘から上は、大きな岩がゴロゴロしていて、さらによじ登りになります。景色が開けてはガスに隠れ、白いもやの中登り続けます。転ぶとちょっとやばいかも。とにかく手足を使って、ゆっくり足場を確保して進みます。

結構な急登です
結構な急登です
あまり花は咲いていない山でした。唯一あったのがこれ。
あまり花は咲いていない山でした。唯一あったのがこれ。
山頂近くの、蓼科山頂ヒュッテに到着
山頂近くの、蓼科山頂ヒュッテに到着
ああ〜景色が〜〜
ああ〜景色が〜〜

そして頂上。ここの山の頂上は、ちょっと珍しい感じで、「山頂」というとんがりではなく、岩ごろごろの広い盆地のような山頂でした。そしてその中央に、蓼科神社奥宮があります。昔の人は、ここを目指してお参りに登ったのでしょうね。祈りの山であるところは、バリ島のアグン山なんかと変わらないんだなと思います。私が登山を好きになった理由のひとつに、昔の、山に登りながら祈りを捧げていたという、土着信仰の形跡をみつけられるということがあります。この山頂は、ガスがなければ360度の景観が楽しめるのかもしれず、そこは残念でしたが、このガスった雰囲気の中に見る奥宮の鳥居もまた雰囲気でした。

真ん中に小さく鳥居が見えるのわかりますか?
真ん中に小さく鳥居が見えるのわかりますか?
近寄るとこんな感じ
近寄るとこんな感じ
景色が見えないので写真を撮って遊ぶ
景色が見えないので写真を撮って遊ぶ
神秘的な奥宮
神秘的な奥宮

さて、山頂は思いの外寒かったので、すぐに下ります。よじ登った岩を今度は注意深く降り、山荘を超えた下りの道ではとうとう雨が降ってきましたが、15時過ぎにはまた登山口まで戻ることができ、温泉に入って帰りました。とはいえやはり中央道は渋滞して、新宿着は10時近く。バスの中で爆睡できたので文句などひとつもありません!

夕暮れの白樺湖
夕暮れの白樺湖

【金峰山と瑞牆山を縦走してきた】噂の岩山縦走と居心地抜群の山小屋泊

山梨に位置する百名山、金峰山と瑞牆山の縦走に出かけてきました。

晴天でアルプスの眺めもばっちり
晴天でアルプスの眺めもばっちり

アルプスというわけでもないけれど2500mクラス。「行ったことあるわ」と言う方がちらほらいるけど、強力にレコメンドされるわけでも止められるわけでもない。メジャーではないけれど出発前に母に電話したら「あら一昨日テレビで観たわ」というくらいの知名度。
そんなに山の名前に詳しいわけではない私は、金峰山も瑞牆山も、存在すら知らない山でしたが、なかなかのアドベンチャーであり、山小屋のクオリティは高く、縦走二日目は意外に距離があるしで、想像を超えることがいくつも起こる二日間でした。いやあ楽しかった。

1日目
いつものように新宿からバスで、中央道の渋滞に巻き込まれながらの出発でした。心配していた雨の予報もなんのその、青空が見えて、でも快晴ではないという、山登りには絶好のお天気です。快晴だと今の時期暑いですからね。。
本日はまず、金峰山から登ります。ちなみに「金峰山」ですが、山梨の人は「きんぷさん」、長野の人は「きんぽうざん」と呼ぶそうです。Instagramの位置情報候補では「Mount Pinpu」になっていて、山小屋の手ぬぐいには「Kinpousan」と書かれていました。私は行く前から「きんぽうざん」としか読んでいなかったので、そう呼び続けました。

滝や川がたくさんある水に溢れた山でした
滝や川がたくさんある水に溢れた山でした

登山口でまず昼食。最近の私は、登山初日の昼食が定番化していて、プチトマト、ゆで卵、チーズ、おにぎりという、私なりの栄養バランスを考えかつ簡単なメニューにしています。前はバナナを持ってきていたのですが、登山中はゴミが捨てられなくて、ずっと黒ずんでいくバナナの皮を持ち運び続けなければならないので、やめました。バナナは速攻エネルギーになって良いんですけどね。速攻エネルギーといえば、登る前のアミノバイタルも忘れません。そうキリマンジャロのあの時からずっと。

金峰山登山口にある小屋
金峰山登山口にある小屋

トイレをすませて、いざ出発。まずは森の中を歩いていきます。道も広く、ずっと川の横を歩くので、水音が耳に涼しく、心地よいウォーキングでした。

水音を聞くだけで涼しくなる
水音を聞くだけで涼しくなる

本格的な登山道に入ってしばらくすると、「最終水場」と書いてある川の横に出ました。ここでみんな、川の水をもらっていきます。冷たくて美味しい。でのこの後は水が貴重になり、山小屋では雨水を大事に使うことになります。私は人より水を飲むほうで、3リットルくらい持って歩きます。重いのが玉に瑕ですが、以前、手持ちの水を飲んでしまってちょっと苦しい思いをしたので、多少重くても思い切り飲めるほうを選んでいます。

岩場からにょっきり出た白樺
岩場からにょっきり出た白樺

さらに今回は、ボトルホルダーを新調しました。いつも、リュックの横のポケットにボトルを入れていたのですが、自分で出し入れが困難だし、歩きながら飲めないしで、不便だなあと思っていたのですが、ハイドレーションシステム(太いストローみたいなのを常に口のそばにセットしておける仕組みのもの。大概リュックにはそれ用の穴があいていて、リュックの中のウォーターキャリーから直接飲める)はちょっと面倒だなあと思ったりしていて。やってみればそんなことないんでしょうけれど。そこで、以前、他の方がホルダーをぶらさげて歩きながら自由自在に飲んでいるのを見て真似しました。私の「山の知恵」はこうしてみなさんからの参考で成り立っています。

樹林帯を歩く、歩く
樹林帯を歩く、歩く

途中休憩をしながら、おやつを食べながら、写真を撮りながら、とにかく歩きました。この日はこうしてずっと樹林帯を歩いていきました。シラビソという白樺やシャクナゲの木を見ながら、ずっとずっと歩きました。

シラビソという白樺の一種
シラビソという白樺の一種
星のような形の草が
星のような形の草が
アズマシャクナゲというそうです
アズマシャクナゲというそうです
可憐なシャクナゲの蕾
可憐なシャクナゲの蕾
ギンリョウソウという葉緑素のない草。地面の菌から栄養をとるそうです
ギンリョウソウという葉緑素のない草。地面の菌から栄養をとるそうです
晴天。汗だく・・・
晴天。汗だく・・・
ようやっと到着。金峰山小屋です
ようやっと到着。金峰山小屋です

4時間くらい歩いて、ようやっと山小屋到着です。ちなみにこの金峰山と瑞牆山は、山小屋にしろ頂上にしろ「突然」現れるという特徴がありました。見えているけどなかなか到着しないのもつらいけど、前触れがないのも結構不安になるもので。そうして突然現れた山小屋は、プレハブの外観はいたって普通。しかし中に入ると、山小屋ベスト3に入るんじゃないかというハイクオリティ。まあその話は後にして、まずはリュックを下ろして、雨具と水だけを持って、歩いて30分ほどの頂上に向かいます。

青い稜線が美しい
青い稜線が美しい
頂上。近いのか遠いのか
頂上。近いのか遠いのか

そこまでは樹林帯だったのに、山小屋から頂上に向かう道はいきなり岩山。木が突然なくなるので、周り360度Viewです。素晴らしい眺め! そして明日向かう瑞牆山がえらい遠くに見えて、一気に不安になります。

岩山の様相をかもしてきました
岩山の様相をかもしてきました
異次元のような景色が
異次元のような景色が
周囲も岩山ばかりです
周囲も岩山ばかりです
りんどうの一種だそう
りんどうの一種だそう
こけもも。すっぱかった
こけもも。すっぱかった
頂上の岩場が見えてきました
頂上の岩場が見えてきました

足場を探して岩をよじ登る感じでずんずん進み、ようやっと頂上へ。頂上に到着すると、嘘みたいな青空! そして富士山がくっきりと! なんだか非現実的な眺めを楽しむことができました!

山頂到着! 富士山が浮かんで見えるよ!
山頂到着! 富士山が浮かんで見えるよ!
頂上の先にある大きな岩。五丈岩というそうです
頂上の先にある大きな岩。五丈岩というそうです
2599mはけっこう寒い
2599mはけっこう寒い
360度Viewが美しい
360度Viewが美しい

頂上でひとしきり景色を堪能したら、山小屋へと戻ります。山小屋ではまず中に入って、二階の寝床へ。ここがまた広くて、毛布に加えて羽毛ぶとんまで用意されていました。外のプレハブとはうってかわって、中は木の感じを生かしたロッジ風になっています。いや本当のロッジか。雑魚寝でも、隣の人との距離がわりとあるので、何も気になりません。お客もとっても少なかったし。小屋の方曰く、8月初旬を超えるとお客さんが少なくなるんですって。こんなに良い山小屋なのに! もったいない! でもあんまり混んでほしくない!

雰囲気抜群の山小屋
雰囲気抜群の山小屋

トイレは離れの二階にあるのですが、バイオトイレながら、非常に綺麗なトイレでした。「紙は別に捨ててね」などの張り紙があるのですが、いちいち絵と英語が併記してあって、味わいぶかくセンス抜群。山小屋の雰囲気そのものです。

そして夕食がまた驚き。チキンソテーがごはんにのっかって、サラダが添えられたワンプレートごはんに、グラスワインがつきます! だいたい山小屋のご飯は、冷凍ハンバーグなどが主流ですが(それでも美味しいのですが)、シンプルながら手の込んだ、目にも楽しいお食事を、ナイフとフォークでいただくのです、山の上で! アンビリーバボー! さらにさらに、おかわりは別メニューで、カレーとごはんのお鍋が食堂の真ん中に置かれています。このカレーがまた、スパイシーで美味しいんです。おなかいっぱいでもつい味見してしまうほど。

感動的な夕食。ワイン付き
感動的な夕食。ワイン付き
おかわりのカレーを食べる私
おかわりのカレーを食べる私

残念ながら雲が出てきたので夕日は見られませんでしたが、夕焼けや、暗くなってからの星空はばっちり見えまして、外に出ては身体が冷えるまで空を眺め、中に入っては暖まりながら同行の人たちと静かにおしゃべりする。今回は人数が少なかったこと、一人で来ている人が多かったこともあり、マイペースで、ゆったりと過ごせました。そして朝早かったので、20時過ぎにはお布団へ。ああ極楽極楽。

夕日はなくても雲が美しかった
夕日はなくても雲が美しかった
左側に小さく月が写っています
左側に小さく月が写っています
光の点々はスキー場だそう
光の点々はスキー場だそう
小屋の中も豆電球がチカチカ
小屋の中も豆電球がチカチカ

2日目
2日の朝食がすごく楽しみでした。その期待を裏切らない、おかゆと、つけもの&お惣菜がたくさん。登山中の朝のおかゆって、消化にも良いし、お腹はあったまるしで、本当にありがたい。男性が二人でやっていらっしゃるのですが、ここのご飯や小屋の中のクオリティは本当にすばらしかったです。

山小屋から眺める朝もや
山小屋から眺める朝もや
おつけものとお惣菜
おつけものとお惣菜
おかゆをよそって・・・
おかゆをよそって・・・
全部乗せスペシャル
全部乗せスペシャル
小屋にいたワンさん
小屋にいたワンさん
心開きすぎだろオイ
心開きすぎだろオイ

小屋を後にして、まずは稜線歩き。岩をアップダウンしながら360度Viewを楽しみます。今日も快晴で、富士山がずっとずっと見えていました。今年の富士山は雪が少なく、グレーのシルエットが大きく雲に浮かんでいます。富士山だけではなく、アルプスの山々も全部見えて、本当に素晴らしい眺めの稜線歩きでした。

北アルプスの山々
北アルプスの山々
富士山もくっきり
富士山もくっきり
稜線とはいえハードです
稜線とはいえハードです
こんなふうに登っていって
こんなふうに登っていって
すぐそこは崖・・・
すぐそこは崖・・・

稜線を抜けると、再び樹林帯へ。どんどん、どんどん下っていくのが不安になります。いやほんと、どんどん下りました。ということは、その分また登るということです。急坂を下りながらだんだん無口になる私たち。

へっぴり腰で鎖場を降りる私
へっぴり腰で鎖場を降りる私
樹林帯に突入。ここからはひたすら下り・・・
樹林帯に突入。ここからはひたすら下り・・・
苔むす森を抜けて
苔むす森を抜けて
味わいのある林野庁の看板を抜けて・・・
味わいのある林野庁の看板を抜けて・・・
可憐なウメバチソウを愛でながら
可憐なウメバチソウを愛でながら
蕗の花の群生がひまわりのようでした
蕗の花の群生がひまわりのようでした
こんなふうに群れになっています
こんなふうに群れになっています

トイレ休憩ポイントの富士見小屋に到着して、まだ11時前だったのですが、お昼を食べてしまいました。なんたって朝ごはんも早かったしさ。お昼は金峰山小屋で作ってもらったおにぎりです。山小屋でよくお昼のお弁当を提供してくれるのですが、もれなく冷えてしまうので、おかずが入った幕内形式よりも潔くおにぎりと漬物だけのほうがありがたかったりします。包み紙も邪魔にならないしね。

富士見小屋到着!
富士見小屋到着!
お昼はおにぎりと梅干し。うまうま。
お昼はおにぎりと梅干し。うまうま。

お昼を食べたら、水場へ水をくみにいきます。ここの水は湧き水で、冷たくて美味しかった! 3リットル持っていた私も、結構足りなくなってしまったので、ここで補充です。

水場のそばにはキノコが。これはたぶんアカンやつやろ
水場のそばにはキノコが。これはたぶんアカンやつやろ
水場は賑わっています
水場は賑わっています
ここにも蕗の群生が
ここにも蕗の群生が

水を確保し、お腹も整えたので、再び出発です。ここからまた少し登りがあって、下って、を繰り返し、そのあと本格的な岩登りが待っています。

瑞牆山が見えました。と、遠い・・・
瑞牆山が見えました。と、遠い・・・
川を越えて・・・
川を越えて・・・
割れ目のある桃太郎岩を超えて・・
割れ目のある桃太郎岩を超えて・・
岩登りが始まるはしごへ
岩登りが始まるはしごへ
まだ余裕がありますね
まだ余裕がありますね
だんだん岩場が急になり
だんだん岩場が急になり

この岩登りが、永遠に続くのではないかと思われるくらい長かった・・・。岩をよじ登って、よじ登って、またよじ登って。途中で、切り立った岩山が見えて、すごい〜と感動していたら、すれ違った方に「頂上から見るともっとすごいよ! これを見下ろすんだよ〜」と言われ、この高い岩より上まで行かなくちゃならんのか・・と一抹の不安が。

とにかく登る登る
とにかく登る登る
これを見下ろすところが頂上と聞いて気分が萎える・・・まだまだやん
これを見下ろすところが頂上と聞いて気分が萎える・・・まだまだやん
とにかく登るのです・・・
とにかく登るのです・・・

そして岩をよじ登り続けて、ようやっと、頂上です! 頂上は岩ゴツゴツで、狭くって、反対側が断崖絶壁。恐る恐る覗き込んで、写真を撮ったり。そして登頂直後は白いもやがかかっていたのですが、少しすると景色が見えてきました。岩と緑の織りなす不思議な風景です。

そしてやっと! 2230m、縦走で百名山2座目!
そしてやっと! 2230m、縦走で百名山2座目!
もやがだんだん晴れてくると、周りも全部岩山だった・・・
もやがだんだん晴れてくると、周りも全部岩山だった・・・
その向こうは緑なのが不思議です
その向こうは緑なのが不思議です

さて頂上から下山開始です。登ってきたルートとはちょっと違って、少し岩を降りたところからは樹林帯に入りました。やや歩きやすい感じでしたが、沢歩きや、小川を超えたり、なかなかアドベンチャー度の高い下り道でした。しかも、この件が相当長い。コースタイムを大きくオーバーし、疲労困憊しながらかなり時間をかけて下山しました。いやあ、長かった!!

下りはアドベンチャー度満点
下りはアドベンチャー度満点
ケイバイソウ。花も緑の不思議な植物。
ケイバイソウ。花も緑の不思議な植物。
下山後に見上げた瑞牆山。すごい岩です
下山後に見上げた瑞牆山。すごい岩です
帰りのバスからもくっきり富士山のご褒美。
帰りのバスからもくっきり富士山のご褒美。

【富士山に登ってきた】#2 剣ヶ峰から砂走りは未知との遭遇

そんなわけで、3回目にして非常に快適な寝床を手に入れたため、トイレにも行かずぐっすり眠ることができました。おかげで体調万全で目覚めたのは夜中の1時。いよいよ登頂アタックです。

いよいよ山頂へ
いよいよ山頂へ

思い起こせば昨年も一昨年も、この時点で小屋全体がガタガタ揺れるほどの暴風雨。トイレに行くだけで全身ずぶ濡れになる状況では外に出ることすらできず、登頂を断念して寝直して早朝下山、というコースを辿りました。しかし今年は、風も雨もなく、ちょっと霧が出ていましたが、そんなのへでもありませんわ。外を歩けるというだけで、気分は上々。悲願の登頂アタックへ出発です。

キリマンジャロ同様、気温の低い深夜の登頂は体力を消耗するので、余計な荷物は山小屋においていきます。私はリュックも置いていくことにし、サブバッグにおやつと手ぬぐい、腰にカラビナをつけて水筒ケースとインナーダウンの袋をぶら下げます。これで両手と背中の負担がなくなり、かなり楽ちんです。キリマンジャロの学習を富士山で活かすことになりました。

目覚めたら気分は上々。ちょっとお腹が空いていたのですが、煎餅を一枚食べるとさらに元気がわいてきました。
服装は、頭はフリース帽(夜明け後用のツバ付きハットはポケットに入れて)、首にネックウォーマー、上はメリノウール+Tシャツ+薄手フリース+レインウェア、下は着圧タイツ+トレッキングパンツ+レインウェア。夜中は気温が上がらないので、それなりに厚着です。ストックをもって、剣ヶ峰への道を歩き出したのが午前2時。歩いていると徐々に空が晴れてきて、街の明かりが雲の間から見えています。

同じ時間に登頂アタック隊が多数出発するので、たくさんの団体が列を作っています。とはいえ、メジャーな富士吉田口出発ほどではなく、自分のペースで歩くことはできます。ヘッドランプの明かりが帯となり、山頂までゆらゆら揺れています。

ヘッドランプと遠くに町の明かりが見える
ヘッドランプと遠くに町の明かりが見える

とくに急勾配ということもなく、なんとなくキリマンジャロを思い出させるようなガレ場のジグザグ道を歩き続けていると、東の空が少しずつ赤らんできました。まめに休憩しながらのアタックで、途中途中でおやつも食べる元気っぷり。そしていよいよ、鳥居が見えてきました。御殿場ルートの頂上に到着です。

うっすら鳥居が見えます
うっすら鳥居が見えます

とりあえずは休憩。東の空は少しずつ明るくなっていますが、まだ真っ暗です。周囲には、くたくたな感じでバテている人もちらほら。私はといえば、かなり元気でした。三年前、はじめての富士山は、八合目までの登りも結構キツく感じて小屋では吐いてしまったり、昨年は登りはよくても下で足がガクガクになったりしましたが、私も少しは成長しているのか、傾斜も足場も気持ちにも余裕がありました。ちょうど一ヶ月前の白峰三山縦走で体力が足りてないと感じたため、スクワットと腿上げをコツコツやっていたのもよかったようです。とにかく何事もやはり、継続は力なりですね。

ここから、本当の富士山最高峰である剣ヶ峰に向けてもうひと頑張りです。富士山は火山なので、真ん中に大きなクレーターがあり、その周りはお鉢周りといってぐるっと一時間ほどで一周できます。しかし我々の目的は「剣ヶ峰でのご来光」ですので、お鉢周りはいたしません。まずは坂を登り、富士山奥の院の前に到着。だんだん空にグラデーションができて、少しずつ明るくなってきました。下山のころになると激混みするというトイレを済ませて、一路剣ヶ峰まで、最後の最も急な坂を、足を滑らせながら登り切りました。ここらへんは、キリマンジャロの登頂のふんばりを思い出しながら、一歩一歩進んでいきました。

少しずつ空が明るくなってきた
少しずつ空が明るくなってきた
月が出ています
月が出ています
剣ヶ峰に向かう私達のヘッドランプ
剣ヶ峰に向かう私達のヘッドランプ
空はどんどん明るくなり
空はどんどん明るくなり

そこから階段を上って、気象観測所の建物横にある山頂標を目指しましたが、なにせすごい人、人、人。「日本最高地点」と書かれている山頂標には、記念撮影する人が行列をなしていて、これを待っていたら肝心のご来光をみのがしてしまうと思い、心の目に最高地点を刻んだまま、少し下って階段の脇に陣取りました。

剣ヶ峰のてっぺんはこんな人だらけ
剣ヶ峰のてっぺんはこんな人だらけ

空は見たことのないくらい広いオレンジで、剣ヶ峰から少し見下ろす形になるお鉢の向こう側には、富士吉田口から上ってきた人たちのシルエットがギザギザに浮かび上がります。その間を登る太陽の美しさったら。いろいろなところでご来光を見てきましたが、視界が開けている分、富士山のそれはやはり圧巻でした。眺めている皆の顔もオレンジに染まって美しく。しかしながら、動いていないと歯がかみ合わないほどの寒さ! 腰にぶら下げていたダウンを大急ぎで羽織ります。
今年は申年ですが、富士山は申年にできたという言い伝えがあり、申年に登ると縁起が良いそうです。3年越しですから感激もひとしお。この最高の天気の中で見るご来光は、忘れられないものとなりました。

やったー! ご来光!!
やったー! ご来光!!
ご来光を浴びる人たち
ご来光を浴びる人たち

さて、太陽が昇りきったら下山ですが、途中、またもや影富士を見ることができました。それを眺め目ながら、上ってきた急坂を今度は下りていきます。案内のお兄さんがいて、「右側の手すり近くを歩いて! ここで骨折したら下山できなくなりますよ!」と。ほ、ほんまや。足も疲れている時間なので、お兄さんの言うことを聞いて用心深く下ります。

影富士を眺めながら下山
影富士を眺めながら下山
これが噴火口。クレーターになっています
これが噴火口。クレーターになっています
富士吉田から上った人たちのシルエットが見えます
富士吉田から上った人たちのシルエットが見えます
神がかった景色がみられます
神がかった景色がみられます
これが剣ヶ峰全景
これが剣ヶ峰全景
龍のような雲まで出現しました
龍のような雲まで出現しました

神社も売店も郵便局も、人でごった返していたのと、お腹も空いてきたので、早速下山開始。この時、雲海や空の様相がとても綺麗だったので、立ち止まって写真を撮ろうとしましたところ、交通整理のお兄さんに「そこ! 立ち止まらないで! 写真を撮るならすばやく!」と注意されました。渋滞していたわけでもないのに、こちらはやっとこさ登頂できた記念でもあるの。さっきの骨折注意のお兄さんとの親切度のギャップがかなり残念、富士山で唯一残念な出来事でした。

頂上浅間神社奥の院
頂上浅間神社奥の院
売店と国旗
売店と国旗
この写真を撮っていたら怒られたんだよ!
この写真を撮っていたら怒られたんだよ!
御殿場頂上口にある郵便局
御殿場頂上口にある郵便局
下山はこちらから
下山はこちらから

八合目までの下山は、太陽も上ってだんだん暑くなるので、着ているものを脱ぎながらずんずん下ります。眼下の景色は見た事もないようなパノラマ風景。緑のグラデーションが雲に沈んで、非常に美しかった。登りは夜中で真っ暗だったので、富士山ってこんな景色だったのかとまたしても驚きです。

鳥居をくぐって
鳥居をくぐって
朝日がのぼりきりました
朝日がのぼりきりました
眼下に見える山の形状の不思議さよ
眼下に見える山の形状の不思議さよ

緑の絨毯も見えてきて
緑の絨毯も見えてきて
とにかく岩ゴツゴツ
とにかく岩ゴツゴツ

八合目まで戻ってきました!
八合目まで戻ってきました!

八合目まで戻ったら、朝ごはん。お味噌汁を飲んで、元気を補充します。荷物を整えたらまた、すぐに下山開始です。

本日も快晴! ありがたい・・・
本日も快晴! ありがたい・・・

下山のコースは砂走りを利用しました。七合目の休憩時に、ザックにはカバーを、足元にはスパッツをつけ、マスクとサングラスを用意。砂に足を埋めながらずるずると滑り走る、アドベンチャラスな道です。数日前にここを通った人から、砂埃が異常だから気をつけて! とアドバイスをいただきましたが、我々は前日の雨で砂が湿っていて、それほどの砂埃は舞いませんでした。最初は怖々足を進めていましたが、途中から調子付いて、楽しく走りおります。長い長い御殿場口までの道は、これまた見たことのない風景。緑の大地が目の前に広く流れていて、ここは本当に日本なんだろうか?! と思わせられるほどでした。この景色を見るためだけに、また富士山に来たいと思うくらい。本当に美しさに見惚れました。

これはまだ小砂走り
これはまだ小砂走り
これが大砂走り
これが大砂走り
を、駆け下る私達
を、駆け下る私達
眼下に広がる不思議な風景
眼下に広がる不思議な風景
横もこんなに緑が豊富
横もこんなに緑が豊富
日本じゃないみたいだ
日本じゃないみたいだ

というわけで、無事に御殿場口に到着。今回やっと、「これが富士山」ということを知る事ができました。いやー、やっぱりすごい山でした。眺める富士山も美しいけれど、登ると意外な姿をいくつも見せてくれます。それはどの山も同じだけれど、バリエーションとしてはやはり日本一。こんな好天はまたとないかもしれないけれど、またこの景色を眺めに必ず来たいと思います。

忘れられない景色ばかり
忘れられない景色ばかり

【富士山に登ってきた】#1 三度目の正直なるか?!

7月23日、日本はポケモンとフジロックで盛り上がっていましたが、わたくしの週末は富士山登頂という、ベーシックかつ個人的悲願達成の日でございました。今回は、三度目のチャレンジで、ようやっと初登頂。1、2回目は、両方とも暴風雨雨で登頂ならずだったのです。よって、私にとっては実質、富士山頂とはキリマンジャロよりも遠い場所に感じられました。だからもう、静かに大盛り上がりです。
だって、それまで、私にとっての富士山は、「夕食はカレー」「真夜中からの暴風雨が最大のアドベンチャー」「登頂って何ですか」の約3本だったのです。登頂話を聞けば指をくわえて羨ましがり、「ここ富士山の山頂にちょっと似てるよねー」と言われれば「行ってないので知りません」と悪態をつき。それがやっと登頂したらば、「ええー! 富士山の頂上ってこんなだったの〜?!」「ひえー、下山の景色、想像をはるかに超える!」という悲鳴の連発。百聞は一見にしかずとはまさにこのことと実感いたしました。絶大な人気を誇る国民的スターの魅力のひみつに触れたような二日感でした。

今回のコースはこんな具合
今回のコースはこんな具合

■富士宮口五合目
朝8時、新宿を出発し、一路、静岡県側の富士山登り口「富士宮」を目指します。フジロックに向かう人が多いせいか、若干渋滞気味。しかし心配していたお天気も、理想どおり、暑すぎるわけでもない薄曇り。全部が快晴だと景色が良く見えるのですが、反面夏の登山では気温が上がりすぎるので困ります。メインではないところはやや曇っていたほうが涼しく、快適だったりします。

これは昨年の写真。ここまで雨だとへこむ。
これは昨年の写真。ここまで雨だとへこむ。

富士宮口に到着したのが11時過ぎ。まずはトイレに行ったり、荷物や靴を整えます。周囲は霧に覆われて、もやっとしていました。が、あれ・・・雨が(涙)。急いで雨具を身につけます。昨年はここで土砂降りだったのですが、そんなことは思い出さないように。霧粒がちょっと大きくなっただけさと言い聞かせます。ちなみに今回のチームには、私のような3回目のリベンジだけではなく、4回目のリベンジというツワモノもいらっしゃいます。恨み節が再び三たびの雨を呼んできそうなチームですから、ネガティブな要素にはやや過敏になるのも仕方なし。しかし、これだけ悪天候を経験してきましたからこそ、逆に腹も座っています。とにかく今回もまた、雨具を着ての出発となりました。

これは一昨年の5合目写真。一昨年の1日目は快晴だった
これは一昨年の5合目写真。一昨年の1日目は快晴だった
これも一昨年。天気がよければ登り口から山頂まで見渡せます
これも一昨年。天気がよければ登り口から山頂まで見渡せます

■六合目
30分ほど歩いて六合目へ。ここからしばらくトイレがないので済ませておきます。ちなみに富士山のトイレはほとんどが有料で、六合目のトイレに至っては、お金を入れないと個室のドアが開きません。料金は200円。ここから登ると、さらに300円へと値上がりしていきます。富士山へ行くと決まったら、まずは大量に百円玉の準備が必要です。
3回目にもなると、しくみにも詳しくなり、コイン投入口に迷っているグループの人に教えてあげちゃったりする始末。「詳しいですね」と褒められても「ええ、3回目ですから・・・」とやや暗く答えるしかありません。

これは昨年。今年もまったく同じ風景だったけれど、雨量は今年のほうが少ない
これは昨年。今年もまったく同じ風景だったけれど、雨量は今年のほうが少ない

■宝永山へ
トイレを済ませ、水分補給をしたら、出発です。ここから、富士宮ルートを抜けて、宝永山のほうに向かう「プリンスルート」を通ります。
この「プリンスルート」ですが、富士山に数あるルートの中でも新しいもので、平成20年に、皇太子さまが通られたため、この名前がついたようですが、「プリンスルート」という固有のルートがあるわけではなく、富士宮ルートと御殿場ルートをまたがる経路を指して言います。富士宮・御殿場の2ルートの美味しいとこどりをしたかのような、ルートとしての面白さはもちろんですが、人が少ないのも魅力のひとつ。富士山といえば、渋滞するんでしょ? とよく聞かれますが、渋滞するのは主に山梨の富士吉田口から登るほうのこと。あちらは公共交通機関でも行きやすく、神社やお店も充実して観光地としても賑わいがあるため、たくさんの人が訪れます。反対にこの富士宮口は、車やバスチャーターでないとちょっと不便のなので、富士吉田ほど賑わっていないのだそう(「そう」というのは、私が富士吉田に行ったことがないので又聞きだから)。そしてこのプリンスルートも、いわゆる道に名前がつけられたルートではないからか、案内図のルートから漏れていることも多いようで、人は少なめでした。

これも昨年。今年も同じように真っ白でした
これも昨年。今年も同じように真っ白でした

宝永山は、宝永4年(1707年)、宝永大噴火でできた山だそう。富士山を富士宮側から見ると、右側にこんもりちょこっとひっかかりがあるように見えますが、そこがまさに宝永山。ブラタモリでタモリさんが訪れていたので知っている人も多いかと。ここは噴火しただけあって、大きなクレーターが口を開けていて、迫力満点です。このあたりからようやっと雨が止み始め、空と周囲の景色が見えてきました。ナイスタイミング! 今年は持ってる気がしてきます(いや、調子に乗ってはいけないと言い聞かせつつ)。ここからは火山らしく、岩場と砂利道が続きますが、景色が見えていると見えていないのとでは気分も大違い。昨年は足元がすべるし埋まるし進めないしと、大変残念なポイントだったのですが、今年は足取り軽く登り切ります。

宝永山が見えました! 歩いている人も豆粒くらいのサイズで見える
宝永山が見えました! 歩いている人も豆粒くらいのサイズで見える
豆粒アップ
豆粒アップ

宝永山から「馬の背」と呼ばれるところに出ます。その名のとおり、吹きっさらしの稜線歩きですが一昨年、下山のときに暴風雨の中ここを通り飛ばされそうになりました・・・ああ負の記憶が多すぎる。反面、本日の幸せを噛み締める。雨が降っていない、景色が見える、それだけでハッピーでございます。それと、わたくしこの日、非常にコンデションがよかったんです。前回の南アルプス縦走で、足がちょっとつり気味になったり、疲労が激しかったので、この富士山に向けてはストレッチや筋トレを毎朝少しずつだけど続けていたのです。それが功を奏したのか、足取りがとっても軽い! やはり日々の努力の蓄積って侮れません。

宝永山頂に向けて歩く
宝永山頂に向けて歩く
歩く歩く、歩くよ
歩く歩く、歩くよ
稜線の上のトゲトゲは、人の列です
稜線の上のトゲトゲは、人の列です
空が見えてきた! 山頂も見えてきた!
空が見えてきた! 山頂も見えてきた!
霧に翻弄されながらずんずん登る。傾斜はきつくない
霧に翻弄されながらずんずん登る。傾斜はきつくない
油断するとこんなふうに霧が・・・
油断するとこんなふうに霧が・・・
富士山は基本的にこんな灰色と赤岩で構成されています
富士山は基本的にこんな灰色と赤岩で構成されています
咲いているお花は3種類程度
咲いているお花は3種類程度
これはニョキニョキ咲いていました
これはニョキニョキ咲いていました
雲の間に太陽がうっすらと
雲の間に太陽がうっすらと
とにかく、登る登る
とにかく、登る登る
太陽が! 出てきた!
太陽が! 出てきた!
途端に周囲が明るくなる
途端に周囲が明るくなる
美しい山頂も見える
美しい山頂も見える

■七合目
馬の背を抜けてから、七合目まではアップダウンの繰り返しですが、基本的に富士山はそんなに傾斜が激しくないので、歩くのが本当にらくちんです。写真をとったり、友達とお喋りしながら、余裕の登山。そして7合四勺にある「わらじ館」で最後の休憩。ここでまたトイレに行くのですが(トイレの話が多くてスミマセン)、トイレは個室が2つだけで、すごい行列でした。そのため時間がかかってしまい、並んでいるうちに息を吐くとすでに白い息。標高は3000mを超えているので、気温も低くなってきています。トイレ待ちの間にも身体が冷えてしまい大変でした。そしてなによりも乾燥が激しい。顔もパリパリ、喉が変な渇き方をします。

7合目には国旗が掲揚されている
7合目には国旗が掲揚されている
太陽が近くに感じるけど寒い
太陽が近くに感じるけど寒い

そしてトイレを済ますと、一目散にわらじ館に向かい、、「強力餅(200円)」を購入。昨年食べて美味しかったのでリピートです。くるみの入った、ゆべしっぽいお餅です。しかしここで、私によくありがちな現象なのですが、一度目美味しかったものをリピートすると、一度目ほとの感動がなくて疑問・・・今回もそうでした。想像が味への感動を大きく上乗せしてしまうのだと思います。まあ普通に美味しかったんですけどね。期待ほどではなかったのがやや残念。さて、ここで上着を一枚着こんて、一路、七合九勺の赤岩8合館を目指します。

雲海と青空が見えてきました
雲海と青空が見えてきました

途中、見事な雲海の上に、富士山の影がうつっていました。いわゆる「影富士」ってものですね。これ、キリマンジャロでも同じ現象を見たのてすが、現象の構造は理解できるものの、正直壮大すぎてちょっと感動が薄かったです(あれ、今回こんなテンションの感想が多いな)。

影富士が見えました
影富士が見えました

キリマンジャロでも、同行のパーティのメンバーの一人が「影富士だってめったに見られないのに影キリマンジャロだよ!」と興奮気味に教えてくれたのですが、私の感動の薄さにややがっかりされたかと思います。そして今回の影富士も、たぶんめったに見られないありがたいものなのでしょうが、これも自然すぎてあまり高揚せず・・・テンションが低くてすみません。綺麗は綺麗だったのですが!

■山小屋到着
夕方5時近く、赤岩8合館に到着。まずは寝床を割り当てられるのですが、一昨年は小屋の真ん中あたりの二段ベッドの1階に押し込められて、小屋を閉め切った夜間に酸欠になりかけました。昨年も同様に二段ベッドの1階でしたが、一昨年よりはすこし窓や入り口に近い場所だったためか(それともキリマンジャロに向けて高山病帽子の訓練に入っていたからか)、酸欠の症状は出ませんでした。ただ、夜の眠りは浅く、何度もトイレに行きました。

今年もお世話になります赤岩8合館
今年もお世話になります赤岩8合館

そして今年。小屋のお兄さんが案内してくれたのは、二段ベッドのさらに上の3階。ここは蚕棚のように狭く、窓や入り口からも遠いので、酸欠間違いなしのように見えました。そこでお兄さんに「できれは一階にしてほしい」と相談してみます。最初は渋っていたお兄さんも、私たちのチームにちょっと具合の悪そうなメンバーがいたことから、まとめて一階の、それもベッドではない窓に近いスペースを提供してくれたました。これが本当に効果的だった! 隙間風がほどよく入るので酸欠にもならず、ベッドではないので足も少し伸ばせたし、そしてこれはシーズン始まって間も無いからかもしれないけれど、布団がじゃりじゃりしない! そう、富士山の山小屋のベッドの布団は、乾燥したところから登ってきた人がそのままの服で寝るため、非常にじゃりじゃりなのです。ですので、この日は、過去2回の富士さと異なり、とっても快適な寝床が確保されました。

山小屋からも影富士観察
山小屋からも影富士観察

寝床が決まったら、防寒対策をして、まずは夕食を。ここのカレーは美味しいんですが、高所で食べすぎると夜中に気持ち悪くなってしまうため、八分目で我慢です。天気がよかったので、雲海と影富士を眺めながら、お外で食べることにしました。ちなみに昨年も、夕食時だけは晴れていたので、外でカレーを食べました。絶景を眺めながらのカレーはとても美味しかったのですが、なんと食べている間にみるみるカレーもごはんも冷めていく・・・・最後は悲しい冷たいカレーを口に運びました。絶景の代償です(泣)。そのあと、何杯も暖かいお茶をらもってお腹を温めました。

カレーとお茶と影富士。
カレーとお茶と影富士。
このあと、影富士はどんどん背が伸びて
このあと、影富士はどんどん背が伸びて
向こうにくっついた
向こうにくっついた

カレー後は暗くなるまで景色を眺めたり、トイレに行ったりしながらゆっくり過ごします。外国人率が高く、私たちのチームにもスウェーデンの方がいたし、レンジャーみたいな格好の人がいるので聞いてみたら、日本で働いているザンビアの方でした。そのほかにも続々外国の方が少人数で現れ、小屋の方も英語で対応です。山小屋ではやることがないので、ヒマな私たちは明日の準備を終えたら早々にお布団に。消灯は9時だったのですが、いつ電気を消されたのかわからないほど熟睡できました。1階の寝床を確保してくれた小屋のお兄さんありがとう!

夜がやってきます
夜がやってきます
山小屋内部はこんな感じ
山小屋内部はこんな感じ
お天気が崩れないことを祈るばかり
お天気が崩れないことを祈るばかり

【霧ヶ峰に行ってみた】満開のニッコウキスゲを眺めるハイキング

霧ヶ峰に行ってきました。いちおう、車山という山ではあるのですが、日帰りで時間が限られている関係上、リフトで登ってしまったので、結果的に歩いたところには高低差があまりなく、「登る」という感じではありませんでした。しかし、高度は2000mほどあるため、エアコンの名前になるのが頷けるほど涼しく、夏の花盛りかつ晴天だったため、非常に快適な避暑の1日となりました。

なんとなくイメージどおり
なんとなくイメージどおり

出発は新宿から7:00発の「あずさ1号」で。8:00だったらかの有名な「あずさ2号」になったのですが、残念ながらそれではバスの乗り継ぎもうまくなく、日帰り日程では滞在時間が少なくなってしまうため、5時起きで1号です。しかし、なんと同行の友人が時間を勘違いしていたため、一人での出発となりました。(その友人は、あずさ2号に乗り、バスの行程をタクシーで追いつくという、いわゆる「銭で解決」というソリューションを発動していました・・・)

ウツボグサというのだそう。たしかにウツボチック
ウツボグサというのだそう。たしかにウツボチック

新宿から茅野駅までは約二時間。山梨と抜けて長野に続くあずさの車窓は、だんだん山の景色になっていくのが楽しいです。それをちらちら眺めながら本を読む至福。電車の旅の醍醐味です。もちろん朝早かったのでうたた寝をしながら。新宿からは満席だったあずさも、途中の駅でだんだん人が降りていき、茅野駅では人もまばら。そして降りたらすぐにバスに乗り換えです。

たぶんシシウドのつぼみだと思う(自信なし)
たぶんシシウドのつぼみだと思う(自信なし)

そこから車山高原までバスでさらに1時間弱。途中、白樺湖を経由して、九十九折の道路をどんどんあがっていきました。
到着した車山高原は、なんというかやっぱり観光地。ガチ登山の格好をしている人も少なくありませんが、半分以上は普段着で遠出してきたていです。ここで周囲をうろうろしながら、タクシーで乗り付けた友人と合流しました。その時間はすでに午前11時少し前。登山道はあきらめて、リフトで頂上に直行です。

ビジターセンターのちょっと懐かしい感じのするポスト
ビジターセンターのちょっと懐かしい感じのするポスト

このリフト、席がゆったりで、解放感があって面白かったです。なんといっても景色がよく、高度があがっていくにつれ涼しい風が感じられます。
そして、霧ヶ峰名物のニッコウキスゲも満開で、黄色い花畑を楽しむことができました!

ニッコウキスゲアップ。ユリですねえ
ニッコウキスゲアップ。ユリですねえ

このニッコウキスゲ、鹿の好物らしく、花の群生が見られる場所にはワイヤーが張り巡らされていて、鹿から守っているそうです。なのでどんなアングルでとってもワイヤーが入ってしまうのが玉に瑕です。

お花畑にワイヤーがうつりこんでしまう・・・
お花畑にワイヤーがうつりこんでしまう・・・

まずはリフトを降りてから、頂上へ行き、山頂神社にお参りしてから、車山肩というポイントまで歩きます。石がごろごろでやや歩きにくいものの、やっぱりガチ登山の格好の人もいれば、普段着の人、トレイルランの人、様々なスタイルで歩ける山です。

これが山頂神社
これが山頂神社

さて、なぜ私たちはガチ登山の格好できたか? それは、お昼ご飯を自炊する計画だったからです。食材も含めると、普通のかばんでは到底運べるわけはなく、やっぱりガチ登山リッュックになるし、一番ハイキングしやすい靴といえばやっぱり登山靴。そして天気がよく汗をかくだろう場合を考えると、やはり服装も登山用の機能性の高いものに手が伸びるわけです。結果ガチで。おそらく周囲のガチさんたちもそんな感じなのではないかと推測。

なんとかワイヤーをはずして撮影成功!
なんとかワイヤーをはずして撮影成功!
初夏の花盛りシーズンだったみたい
初夏の花盛りシーズンだったみたい

そして歩く歩く。ほとんど下りなのでとっても楽チンですが、整備された道だけあって、煮炊きができる場所がなかなかみつからず、お腹はすく一方です。この道端で煮炊きすると、まるで露天の焼きそば屋さんのようになってしまいます。まあ、ここ霧ヶ峰は、ポイントポイントに駐車場とレストハウスが完備されているので、お弁当を広げている人も自炊している人もほとんどいません。

シシウドの花が咲いたところ
シシウドの花が咲いたところ

困ったころで車山肩に到着し、ニッコウキスゲの群生を愛でながらうろうろしていたら、やっと道端にちょっと広いスペースを見つけました。日陰ではなかったけれど、もうここで自炊です。本日のメニューは、前回の自炊登山でもチャレンジしたチーズフォンデュ。バーナーで熱したカマンベールチーズに野菜やウインナー、バケットをつけて食べる、オサレな山ごはんです。日差しがカンカンで、時々虫にも襲撃されながらのチーズフォンデュは超おいしかった。けれど写真撮影には失敗したので写真はなしです。途中通り過ぎる人たちに「チーズフオンデュ? おいしそー」と言ってもらえれるのがちょっと嬉しかったです。

なんだかカサカサした花だった
なんだかカサカサした花だった

ほとんど登っていないのでオーバーカロリーの食事を終えてからも、しばらくうろうろと周囲を散策し、無事16時前のバスに乗り込んで帰路につきました。もちろん帰りもあずさです。友人はローカルビール、私は信玄餅アイスやリンゴサイダーを買い込んで、また二時間の電車の旅。登山の疲れはなかったけれど、グローブを忘れて素手で歩いていたため、ばっちり手の甲が日に焼けてしまってアチャーでした。

白樺湖とたぶん八ヶ岳
白樺湖とたぶん八ヶ岳

今回も花畑はとても楽しかったけれど、今度はぜひ泊まりで、もう少し周囲を登ったり下ったりしたいものだと思いました。

【白峰三山に登ってきた】#3 快晴の農鳥岳とサバイバル下山

#Day3

さて3日目の朝。三時すぎに起床です。オヤジさんが起こしにきてくれましたが、もちろん真っ暗。夜明け前に朝ごはんということで、準備してくださったのです。
布団からのそのそ出た私たち。トイレがてら外に出てみると、うっすら明るくなりつつある空の向こうに、大きな大きな富士山のシルエットが見えるではないですか! その姿は荘厳で、まるで精密な絵のようで、でもリアルで。何度も眺めている富士山であっても、これはやっぱり感動してしまいます。

富士山のシルエットが美しすぎ
富士山のシルエットが美しすぎ

外で写真撮影をしたり、空を眺めたりしていたら、まずはメシ食えと呼び戻されました。
朝ごはんはまた鍋いっぱいの炊き立てご飯、あっついお味噌汁。そして生卵とおつけもの。いりこや梅干しも並んでいます。お味噌汁が本当にあつあつで、ちょっと味が濃くて、これから歩くための力が湧いてくるようです。オヤジさんの天気予報によると、朝の気温は2度。霜がおりていますが、梅雨の晴れ間にちょうどあたっているようで、今日は快晴。「よかったな〜、つらい顔して出ていかれるより、みんなが嬉しそうに出かけていくほうが、オレも嬉しい!」とオヤジさん。オヤジさんが喜んでくれて、私たちも嬉しいっす! これぞ嬉しいの連鎖です!

太陽のオレンジが青を侵食していく
太陽のオレンジが青を侵食していく
オレンジがどんどん大きくなっていく
オレンジがどんどん大きくなっていく
こんな富士山見た事ない
こんな富士山見た事ない
月がまだ出ている。西農鳥岳はマウェンジ峰のようだ
月がまだ出ている。西農鳥岳はマウェンジ峰のようだ

日の出とともに出かけるのがベストだから、早く準備しろよ〜、と言われたので、ご飯を食べ終えたらすぐに荷物を片付け始めます。そんなことをしていると、オヤジさんに「何やってんだ、今がちょうどいいときなんだよ〜」と外に促されます。どっちやねん(笑)
しかし、オヤジさんの言う通り外に出てみると、空はオレンジ色がどんどん広がる時間。日の出待ちをします。

すっかりオレンジが優勢に
すっかりオレンジが優勢に
富士山もだんだんはっきりしてきました
富士山もだんだんはっきりしてきました
太陽が見えた!!!!
太陽が見えた!!!!
見る見る間に大きくなっていく
見る見る間に大きくなっていく

山の間から太陽が覗いた時には、本当に感動。日の出は何回か見ていても、あからさまに山間がオレンジ色に染まっていき、その真ん中からまんまるの太陽がずずーっと登ってくる風景、はじめてみたかもしれません。

瞬間ごとに色が変わっていく
瞬間ごとに色が変わっていく

しばらく日の出ショーを堪能したら、今度こそ本当に準備をしなければなりません。今は超寒くても、今日は他のどの日よりも気温が上がるはずなので、最初から薄着で出かけることにしました。薄着といっても、シャツ着て、フリース着てって感じです。ただもうフードは不要で、帽子は日よけ用のものを使います。やっとレインウェアからおさらばです。

太陽が登りきるとこんな感じ
太陽が登りきるとこんな感じ

宿を出るときにも、オヤジさんはずっと見送ってくれました。一路平安とか、Good luckとか、世界各国の言葉で見送ってくださるインターナショナルっぷり。登山者は、外国人の方も多いのでしょうね。そして、私たちが進んでいくと、外でテントを張っているグループに「おーい、植物の上に荷物をおくなー、植物だって生きているんだぞ−!」と注意していました。あとで聞いたところによると、私たちのグループの副隊長に、あのグループに注意しなくちゃいけないけれど、あんたたちが楽しく出かけていくだろうから、行ったあとにする、って言ってたそうです。なんかやっぱりいいなぁ、オヤジさん。このあと、登山が終わって帰りのバスの中で、オヤジさんから副隊長に電話が入り、みんな無事おりたかー? って聞いてくださったそうです。いいなぁ! オヤジさん!

太陽が反射した山がみずみずしく美しい
太陽が反射した山がみずみずしく美しい

私たちが登山を終えて、ウイークデーに普段の生活や仕事に戻ったあとも、オヤジさんはあの山の上で、甲斐犬たちと一緒に暮らしているんだろうな。今この瞬間も。私はそういうことを考えるのがすごく好きで、地球上の訪れたことのある場所の人たちが、その人たちの常識や習慣をもって、今も同じ時間を過ごしているってことを思うだけで、ちょっと生きる力が湧いてくるような気がするんです。今回訪れたことで、また想いを馳せる場所が増えました。オヤジさん、マイペースで、ずっとそんな感じでいてほしいなあ。

オヤジさんは毎日見ていても、私たちにこういう空を見せたくなるんだろうな
オヤジさんは毎日見ていても、私たちにこういう空を見せたくなるんだろうな

さて話を戻して、まずは西農鳥岳へ登ります。今日は天気がよくて、遠くの景色を楽しみながらの登山です。振り返れば、私たちが歩いてきた、間ノ岳も全貌が見えます。そして頂上に行けば、真っ白だった北岳までが見えるはず! お味噌汁の力もあって、気温もあがって、身体がどんどんあったまってきます。

この山が西農鳥岳
この山が西農鳥岳
今度はグラデーションから目が離せない
今度はグラデーションから目が離せない
もう神が降りてきてもおかしくない
もう神が降りてきてもおかしくない
登りきるとこんな景色が見えます
登りきるとこんな景色が見えます
山頂に向けて歩く、歩く
山頂に向けて歩く、歩く
お花も光があたってキラキラしている
お花も光があたってキラキラしている
ここも雪渓が残っていました
ここも雪渓が残っていました
気持ち良い稜線歩き
気持ち良い稜線歩き
赤い屋根の農鳥小屋があんなに小さくなりました
赤い屋根の農鳥小屋があんなに小さくなりました

岩場を登りきって、歩いて歩いて、まずは西農鳥岳に登頂です! ここまでくれば、あとは稜線を歩いて農鳥岳へ行くのみ。そしてそのあとは、ずっとずっとの下りが待っています。

朝日を浴びるヒーロー的な
朝日を浴びるヒーロー的な

西農鳥岳の山頂は、360度のマウンテンビュー。富士山はもちろん、北アルプス、八ヶ岳、様々な山が遠近グラデーションになって見えます。北岳・間ノ岳でも天気がよければきっと別の角度からのビューが楽しめたのでしょうが、いえいえ悪天候だったからこその、フィナーレでの好天を噛み締めるように眺められるというものです。負け惜しみなんかじゃないわ!

この時点での富士山はこんなの
この時点での富士山はこんなの
急激に岩場を下ってみたり
急激に岩場を下ってみたり
また登ってみたり
また登ってみたり

そして岩場のアップ・ダウンを経て、最後の山、農鳥岳山頂です。狭い山頂ですが、やはりまだ3000mを超えているので止まっていると身体が冷えてきます。北岳・間ノ岳をバックに記念撮影をし、景色を堪能したら、いよいよの下山です。

太陽がのぼりきったところの富士山
太陽がのぼりきったところの富士山
そしていよいよ下りがはじまる
そしていよいよ下りがはじまる

富士山にも少しずつ雲が出てきました。ちなみに今年は富士山の雪が少ないそうで、農鳥から見ても上のほうが白くありませんでした。7月に予定している富士山登頂、暴風雨で断念が2年続きましたから、今年こそは登頂させてほしいと心の中で祈ります。下りの道は狭く、急激に下がっていきます。

下りが下りすぎる
下りが下りすぎる

下がれば下がるほど、気温はあがって蒸し暑くなり、疲れた身体にとってつらいコンデションになってくるものです。しかし降らなければ帰れませんのて、がんばって歩きます。途中、ロープ場や鎖場がいくつもあり、足元が滑りやすいところが多く、自分も転びそうだし、落石も起こしてしまいそう。しかも道はどんどん狭くなり、一歩間違えると滑落か、、という場所も少なくありませんでした。

ここには鐘があった。周囲はハイジが住んでいそうな感じ・・・
ここには鐘があった。周囲はハイジが住んでいそうな感じ・・・アルプスだけに
だいぶ雲が出てきた富士山
だいぶ雲が出てきた富士山

お昼は大門沢小屋のお庭でいただきます。メニューはインスタントのカレー。お水を入れたアルファ米を、お湯で戻したカレーと一緒にいただきます。辛くて美味しかったわ。やはり、こういうときは、味の濃いものが元気でます。正直、この時点でも膝がカクカクしてきていたし、最後まで無事降りられるかちょっと不安ではありました。歩けなくなることはないにせよ、狭く、片側が崖になっている道が多いので、足をしっかり踏みしめていないと滑落してしまうからです。しかしこの休憩でちょっと体力回復、おやつもいただいて再び歩き出します。

もくもく雲が空を覆ってきた
もくもく雲が空を覆ってきた

休憩のあとは少し身体が重くなるもので、何度か転んでしまいました。厳しかったアグン山の下りを思い出します。ちゃんと足場を確保しようと意識しすぎたせいで、変な歩きかたをしていたようで、足の裏に豆ができて、しかも潰れてしまったのがわかりました。しかし痛いことは我慢できるものです。膝もサポーターをつけて、ゆっくりマイペースで歩きます。とにかく長い長い下りでした。

しかも、下りの途中には、サバイバル極まりない河川の橋がいくつもあって。半分落ちた丸木橋とか、傾いた梯子橋とか、とにかく普通に渡れる橋がほとんどありません。ロープがはってあるのが幸いでしたが、足が疲れているので踏み外しそうで、とにかく慎重に、ゆっくり渡りました。

こんな丸太橋とか
こんな丸太橋とか
足元注意の場所とか(もっと危険な場所があったが写真はもちろんない)
足元注意の場所とか(もっと危険な場所があったが写真はもちろんない)
半分落ちてる橋とか
半分落ちてる橋とか
これはまだマシなほう・・・
これはまだマシなほう・・・

そして最後に、吊り橋が見えました。ああやっと文明的な橋になったと思いきや、この橋が最も恐怖でした。今までの丸木橋は、それほど高い位置にあるわけではなく、川自体もそんなに大きくなかった。もちろん川に落ちると怪我をする可能性はありながらも、ジャンプして飛び降りられる程度の距離でした。
しかしこの吊り橋は、うんとうんと下遠くに広い川が流れていて、しかも橋の幅は両足そろえたの+α。錆びた鉄板を横に二つ並べただけだし、それをワイヤーでとめているだけ。ところどころガタガタ傾いているし、横に柵なんてないし、一度に渡れるのは定員2名だし・・・。足がガクガクに疲れている最後にこれは本当に恐怖でした。

この橋を経れば、あとはちょっと歩いて発電所に出ます。これで登山自体は終わりで、一路温泉に向かいました。この頃になると、すでに歩いてきた山の上には厚い雲がかぶっていて、天気が悪くなっていることがわかります。本当にオヤジさんの言ってたとおり、ちょうど梅雨の晴れ間のグッドタイミングだったということです。

オヤジさん、ありがとう!
オヤジさん、ありがとう!

あとは温泉に入って、バスで一路東京まで。バスの中ではもちろん爆睡でした。
アルプス初体験でしたが、この縦走はやっぱりハードでした。何の訓練よ、と思わせられた前半と、オヤジさんとの出会い、そして後半の景色とサバイバルな下山。私の中では、海外登山と並んで、思い出に残る登山経験となりました。決してラクではないけれど、まだ見ていない景色があるので、またの機会には縦走に再度チャレンジしたいと思います。

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【白峰三山に登ってきた】#2 真っ白な縦走から青空の農鳥へ

#Day2

二日目の朝も暴風雨でした。雨は大分小降りになりましたが、風がねえ。
朝ごはんを食べた後、予定出発時間を少し遅らせることになりました。本日の行程はかなり余裕があって、予定では朝の7時前に出発して、日本で二番目に高い北岳を登頂したあと、日本で三番目に高い間ノ岳を経て、農鳥岳のふもとにある農鳥小屋に泊まるというもの。農鳥小屋には、お昼ちょうどくらいに到着する予定です。

こんな感じで真っ白い朝・・・
こんな感じで真っ白い朝・・・

それならもっと遅くに出発しても良いんじゃないかって?
いえいえそれはなりませぬ。農鳥小屋は、仙人のようなオヤジさんがお一人でやってらっしゃいまして、このオヤジさんが、話に聞くと、むかーしながらの山小屋のおやじさんで。山を舐めた行為をとっていると、雷オヤジに変身するのだそう。聞いたところ、オヤジさんの逆鱗に触れるのは以下の三点。
1)山小屋への到着時間が午後3〜4時になる。
山の夕暮れは早く、午後から天気も変わりやすいので、夕方になれはなるほどリスクがあがります。
2)山小屋からの出発時間が遅れる。
日の出とともに出発するのが理想。というのも、農鳥岳から下山する道は険しく長く、ぼやぼやしていると天候が変わって遭難のリスクがあがるから。
3)軽装での登山。これは言わずもがなです。

私たちの隊長の前振りもあって、今日到着の山小屋についてはみんな興味津々・戦々恐々。
結果的には1)〜3)をクリアしたこともあって、まめまめしく世話をやいてくださったオヤジさんは人気沸騰、非常に素敵な滞在になったのですが!

雨の中でも目に楽しかったハクサンイチゲ
雨の中でも目に楽しかったハクサンイチゲ

さて、話を戻して、私たちの出発時間は7時半まで延期となりました。まずは小屋の中で仮眠して体力を温存です。そして出発時刻近くになって小屋から外に出てみると、なんと厚い雲の間から青空が覗いているではないですか!
結果的には、つかの間の晴れ間だったのですが、天気図によるとこのあと高気圧がやってきているということで、この雲が去った後に期待大です。

一瞬だけ見えた小屋からの青空ショット
一瞬だけ見えた小屋からの青空ショット

朝早くに登頂に出かけたほかのチームの方が下山してきたので、様子を聞いてみると、やっぱり真っ白で何も見えなかったとのこと。しかも彼らはヘルメットにロープとハーネスまでつけています。我々はレインウェアのみですが、まあ大丈夫でしょう。雨がほぼ止んでいるので気分は上々。小屋の前で記念撮影したりで朝から元気です。

肩ノ小屋記念写真
肩ノ小屋記念写真

その行程はといえば、出発から急坂を登ります。朝イチだし標高も高くて寒かったけれど、歩いている間にどんどん暖かくなってきました。ゴツゴツした岩を登りに登って、まずは北岳山頂に無事到着です! 富士山に登頂できていない私にとっての、現在のところ日本の最高地点に到達! です。

お花の山であったことが幸い
お花の山であったことが幸い
本当にこんな白モヤの行軍
本当にこんな白モヤの行軍
北岳登頂記念。本当に真っ白で看板しか見えない
北岳登頂記念。本当に真っ白で看板しか見えない
山の上には山岳信仰の名残と思われるものがあって、それを見るのも楽しみ
山の上には山岳信仰の名残と思われるものがあって、それを見るのも楽しみ

山頂は真っ白で何も見えなかったのが本当に残念。晴れていれば大きな富士山が見えるそうなのに! しかしこんな日もある! ということで、次の目的地は稜線を歩いての間ノ岳です。

お花に励まされての稜線歩き
お花に励まされての稜線歩き

風が強い中を歩くのは、本当に体力がいることです。ましてや、景色が見えているならまだしも、周囲は真っ白で何も見えない=この先の行程が読めないところを、目の前に出現する道のままに登ったり降りたりを繰り返します。梯子もたくさんあり、道も狭くて、岩はすべりやすいし、なかなか神経を使いながらの登山でした。次の岩場を登れば山頂かと思えば、また下る道に続いていたりで、エンドレスかと思われるようなアップダウンが続きます。ひー。
途中、雨に濡れた花々が目に入るのがせめてもの慰めでした。景色を眺めながらなら楽しいはずの稜線歩きは、白いガスの中の彷徨い歩きに変わってしまい、この時間が永遠に続くかと思われました。。

雨の日は白い花びらが透明になって美しいことも知りました
雨の日は白い花びらが透明になって美しいことも知りました

途中にある、北岳山荘の前でトイレ休憩。ここで行動食を食べて、体力を回復させます。北岳山荘の前には雪が積もっていました。この小屋は、10名未満は予約不要とのことで、人気の山小屋のようです。

お花の写真が続くのは景色が見えないからです
お花の写真が続くのは景色が見えないからです
笑っていますが目の前は崖です・・・
笑っていますが目の前は崖です・・・

北岳山荘を経て、また白い道を登ったり降りたりしながら、約1時間で中白根山(3055m)の山頂を越え、そのあとまた約1時間でようやっと、間ノ岳山頂に到着でございます〜! ふー、ハードだった! もちろんここでも白いモヤの中で景色はまったく見えませんでしたが、今日の目的を達成できたので、それだけで元気がわいてきます。

中白根山を経て・・・
中白根山を経て・・・(これも3000m超え)
マジこんな道を歩き続けて
マジこんな道を歩き続けて
ついたぜー、間ノ岳!
ついたぜー、間ノ岳!
山頂標はこちら。日本で三番目に高い山です
山頂標はこちら。日本で三番目に高い山です

ゆっくりする間もなく、間ノ岳から農鳥岳方面へは岩場を下ります。ここいらへんは、岩にペンキで「農鳥小屋→」なんて書きつけてあります。赤や黄色でペンキがしたたった跡のあるそれは、まるで呪い文字のよう・・・。

今度は下りです。こんな岩場をずっとずっと
今度は下りです。こんな岩場をずっとずっと
白モヤでやっぱり前は見えないけれど・・・
白モヤでやっぱり前は見えないけれど・・・

大きな雪渓を経て、岩の道をずんずん下りに下っていき、また登ったり下りたりを繰り返していると、突然! 本当に突然に! ぱーっと雲がはけて周囲の景色が見えました。な、なんと、まるでマチュピチュのような山間の景色が広がっているではないですか! (マチュピチュ行ってないけど) ここは本当に日本!? と思うような、壮大な景色が目の前に。これが南アルプスだったのか!

あれ? 少し雲が薄くなってきたような?
あれ? 少し雲が薄くなってきたような?
アレレーー−? 見えてきた??
アレレーー−? 見えてきた??
行くての山の輪郭も少しずつ
行くての山の輪郭も少しずつ
おおおーー、向こうの町まで見えてきたよ
おおおーー、向こうの町まで見えてきたよ
おわーーー、こんな山だったのか!!
おわーーー、こんな山だったのか!!

景色が見えてきたら、だんぜん歩く気分があがります。写真を撮りながら、岩場を越えながら、素晴らしい景色を堪能。ああ、間ノ岳より前の、あの厳しいアップダウンも、こんな景色が見えていたらサイコーだったんでしょうね! しかし山登りは時の運。白いモヤの中をやみくもに歩く経験も、選んでできるものではない。それはそれで、経験のひとつとして宝になりましょう。

赤い屋根が農鳥小屋!
赤い屋根が農鳥小屋!

農鳥小屋が眺められる広い場所で休憩がてらお昼です。肩ノ小屋で作ってもらったお弁当は、この低気温の中で凍らんばかりに冷えていて、正直味わうという感じではありませんでしたが、山の中の貴重なお食事ですのでできるだけ食べました。その丘から見下ろす農鳥小屋は、まるでアルプスの少女ハイジが住んでいるような赤い屋根の山小屋。そこには噂の仙人が住んでいるとのことで、期待と不安が両方ともふくらんできます。

雲の上の空も見えてきたよー!
雲の上の空も見えてきたよー!
そんな中を歩く、歩く
そんな中を歩く、歩く
農鳥小屋に向けて歩く!
農鳥小屋に向けて歩く!
すっかり雲も薄くなってきたよ
すっかり雲も薄くなってきたよ
小屋が近づいてきた・・・!
小屋が近づいてきた・・・!
西農鳥岳の頂上も薄く見えてきた
西農鳥岳の頂上も薄く見えてきた
太陽の光がまぶしくなってきた
太陽の光がまぶしくなってきた

農鳥小屋に到着。まず最初に迎えてくれたのは、黒くたくましいお犬様でした。オヤジさんの飼っている猟犬だそうで、種類は甲斐犬というのだそう。小型室内犬なんて、尻尾を巻いてピューと逃げていきそうな、オオカミのような風体の猟犬ですが、名前がかわいくて「もみじ」と「カラブラン(=黒い嵐)」。我々を不審者と思ったようで、最初はワンワン吠えまくってオヤジさんに怒られていました。番犬としても機能している!

農鳥小屋にやっとこさ到着!
農鳥小屋にやっとこさ到着!
オヤジさんの優秀な右腕くん
オヤジさんの優秀な右腕くん
ウケツケ。途中のペンキ文字と筆跡が同じ。
ウケツケ。途中のペンキ文字と筆跡が同じ。

そのオヤジさん。お昼ちょっと過ぎという優秀な時刻に到着した私たちをにこやかに迎えてくれ、また、みんなで「おとうさん、おとうさん」と懐いていったこともあって、あっと言う間に仲良しに。親切、かつ楽しく、お話好きで、本当に素敵なオヤジさんでした。決して設備が新しくはない、本当に昔ながらの山小屋ですが、広さも十分、布団もひとりひとつ用意されていたし、寒いからといってこたつ(電気じゃなくて中に燃料を入れるタイプのもの)やストーブも用意してくれるし、そのストーブの上でお湯を沸かしてコーヒーを飲ませてくれたり、ビールもたくさん用意してくれて、思わずオヤジさんに何かしてあげたくなって、バンダナをお土産に買ってしまいました。

山小屋の中はこたつがあったかい。
山小屋の中はこたつがあったかい。

ネットでは小屋やオヤジさんの悪評も見られるけれど、アジアの国々を旅してきた私はたいていのトイレはへいちゃら。ここんちのは、穴が空いたところに他人の落し物が見えて、鍵もなく扉も穴が空いているようなトイレだったけれど、電気や設備のない山の中はこんなもんで十分です。おやじさんの作ってくれた夕ご飯も、塩漬けの山菜を戻して、きのこと一緒に煮たものや、大釜で炊いたごはん、具だくさんの味噌汁など、すべて保存食になる前からオヤジさんの手作りで、「食物繊維がいっぱいで女性には特に良いんだよー」なんて言ってくれます。本当に暖かくて美味しかった。

農鳥オヤジさん手作りの夕食。おいしい!
農鳥オヤジさん手作りの夕食。おいしい!

ネット上では、食器の状態なんかをクドクド書く人もいましたが、山の中では水も貴重、自然環境を守るためには人間側もデリケートさを少しは捨てるべきと私は思います。お風呂がなくても、トイレがなくても、綺麗な水がたくさんなくても生きていけるサバイバルな心身を作ることって、現代の日本の都会では必要ないかもしれないけれど、私は世界の多様性を愛する立場として、過剰な衛生礼賛な感じがどうにも苦手なので、このオヤジさんの心のこもったお食事は、大変美味しく、ありがたくいただきました。本当は食欲が落ちていて、全部食べきる自信はなかったけれど、お気持ちと暖かいごはんを食べられることが、本当にありがたかったので、がんばって完食しました。これが結果的に翌日の体力保持につながったんだと後になって思います。オヤジさんのトークを聞きながらのお食事も、お台所の風景も、本当に忘れられないものになりました。

オヤジさんのお台所。惚れ惚れするな。
オヤジさんのお台所。惚れ惚れするな。

夕食の後は、歯を磨いて早々にお布団に入ります。雲が出てきたので、夕日のご褒美もなし。いちおう、自家発電のランプはついていたのですが、みんな疲れていたので、なんと7時前には布団に入って寝てしまいました。私はちょっと寒かったのですが、こたつのそばだったので、ちょっと足を入れながら寝たら、体ごとぽかぽか。夜じゅうたびたび目を覚ましながらではありつつも、明日の天気を祈って眠りについたのでした。

日の沈む前に眺めた景色。明日は晴れるといいなー
日の沈む前に眺めた景色。明日は晴れるといいなー

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#Day3を読む

【白峰三山に登ってきた】#1 暴風雨のDay1

6月最後の土日月を使って、2泊3日で白峰三山縦走に出かけてきました。

たなみに「白峰三山」は「しらねさんざん」て読みます。てなことを知ったのは、出発の約2ヶ月前。しらみねとか、はくほうとか、てきとーに呼んで、どれが正しいのかもわからなかったので「北岳縦走」という名前で呼んでました。間違ってはいない。

白峰三山

とにかく、日本で二番目に高い山が「北岳」っていうところだと認識したのは、2013年のキナバル登山のとき。実質、登山靴をはいて始めて登ったのがこの山だったのですが、その時のメンバーに「次は北岳に行く予定」と話している人がいて、その立ち位置や、ちょっとむつかしい山ということも始めて知りました。

登り始めはこんな美しい緑
登り始めはこんな美しい緑

その北岳(3193m)の次、日本で三番面に高いのが「間ノ岳(3190m)」それと、農鳥岳(3026m)をつなぐルートが白峰三山という名前で呼ばれています。
ちなみに、縦走路にはこのほかにも、北岳と間ノ岳の間に中白根山というのがあるし、間ノ岳と農鳥岳の間には西農鳥岳というのがあって、なんかもうアップしてダウンして、ずーっと上り下りを繰り返します。日本一高い、縦走路だそう。

時にはこんなサバイバルな道も・・・
時にはこんなサバイバルな道も・・・

さらに、6月といえば梅雨。ちょうど出発の日は開山祭にあたったのですが、1日目は曇りからの暴風雨、2日目は強風と濃霧。2日目の午後からは晴れ間が見えてきて、3日目は素晴らしいピーカンという天候。最後に景色を堪能できたのは本当にラッキーでしたが、1日目・2日目の体力消耗も半端なく、3日目の10時間近い下山路は、体力がなくなるのと反比例して道は険しくなり続け、狭いガケ道、ロープ場、半分落ちた丸木橋と、サバイバル度がむちゃくちゃ高いルートでドキドキ。しかも、開山直後のため、まだ道が踏みしめられていないので、足元は浮き石が満載。何度も転び、極度の緊張から変な歩きかたをしたようで、足指のちっこいものから絆創膏では覆いきれないビッグサイズまで、足がマメまみれになるという事態に。しかし、「登ってきた感」「やりとげた感」もその分ひとしおで、日本も奥深い、私のサバイバル経験がひとつ増えたと実感する行程でもありました。

しかし花々は咲き誇る
しかし花々は咲き誇る

#Day1

朝7時半に東京を出発し、渋滞にも巻き込まれすに北岳登山口には11時に到着。前述のとおり開山祭が行われていました。そして登山客にも無料でおそばがふるまわれました! このおそば、こしがきいて、絶妙な旨さ。嬉しい反面、持参したお昼が減らせない番狂わせが発生。本日の行動食は、おにぎりやおかずなど、普段よりもややガツンとメガなものになりそうです。

開山祭の真っ最中
開山祭の真っ最中
この木の下を通り抜けて安全を祈願する
この木の下を通り抜けて安全を祈願する

お天気はこの時点でうす曇り。しかし日差しは強く、日焼け止めで厚く塗りこみUV対策を。登山口には着々と公共のバスも到着し、以前の山行でご一緒した顔見知りの方と思いがけない再会をするなど、楽しい出発となりました。

アスファルトの照り返しが熱いぜ
アスファルトの照り返しが熱いぜ

北岳登山道に入ると、いきなりひたすら登りです。本当にひたすら登りでした。登山なんだから登りでしょ!、というご意見もあるかと思いますが、それにしても登りです・・・巻き道がほとんどない。気温と湿度が高いのと、ずっととにかく斜面を歩き続けるのが、登り始めの身体にはこたえます。いつもこのくらいのタイミングで「あー普段の運動が足らない・・」と反省させらるのですが、この日は反省する余裕もなし。6時間ほどの行程でしたが、とにかくずっと登りでした。

緑の中をひたすら登り続ける
緑の中をひたすら登り続ける
やや不穏な雲が見えてきた
やや不穏な雲が見えてきた

途中、標高が上がってくると、雪がまだ残っていました。溶けかかっているところもあり、滑りやすいので足元を気をつけながら登り続け、振り返ると遠くに鳳凰山のオベリスクが見えます。それだけ見通しの良い空が背後にはあるのですが、目の前には黒い雲が迫ってきて、いやな予感。一歩進むごとに空気中に雨の気配がしてきて、自分たちがその雲に突入していくのがわかります。

暑い中、ほっとするのは水の流れる音
暑い中、ほっとするのは水の流れる音
とにかく、登る、登る
とにかく、登る、登る
背面にはまだかろうじて青空が
背面にはまだかろうじて青空が
足元の小花を愛でる余裕もあり
足元の小花を愛でる余裕もあり
前日までの雨のせいか、急流がそこらじゅうに
前日までの雨のせいか、急流がそこらじゅうに
遠くに見える雪をかぶった山々
遠くに見える雪をかぶった山々
そんなこと言ってたらとたんに雨雲が・・・
そんなこと言ってたらとたんに雨雲が・・・
足元にはまだ雪渓の名残が
足元にはまだ雪渓の名残が
その真上には桜が咲いている不思議
その真上には桜が咲いている不思議
遠くの緑が目にしみる
遠くの緑が目にしみる

途中からとうとう雨。目印となるトイレスポットは、まだ開山したばかりで設営されておらず、トイレ休憩もなくレインウェアを装着して再び歩き出します。適当に水を飲んだり、残ったお昼を口に入れたりしましたが、最も美味しく感じたのが梅干飴。汗をかき、水分とともに塩分が不足していることがわかります。これまでも、それなりに厳しい山に登ってはきたものの、天候のコンディション×山の環境×自分のコンディションの3つともが同じくらいに作用して、同じような山、同じような天気でも、体感の楽さ・辛さが本当に変わるものです。そして今回は、この湿気とへんな生暖かさと急勾配がかなりキツい。願うは明日の好天と素晴らしい景観のみで、ひたすら足を前に進めます。

花畑もこのとおりガスの中
花畑もこのとおりガスの中
花たちも水に濡れて花びらが透明に
花たちも水に濡れて花びらが透明に

樹林帯を抜けると、岩がゴツゴツの稜線に出るのですが、ここからがまた修行。さえぎるものがなくなるということは、暴風雨直撃です。顔に雨がバシバシあたって痛いし、目の前を歩く友達のザックカバーが風に飛ばされそうになるのを直してあげていたら自分のカバーが飛ばされるし、ちょっと歩みを止めると身体が風に押されて傾斜して、マイケル・ジャクソンのスムース・クリミナルは意外と簡単よねなんて思いながら頭の中で音楽が鳴るし、霧も出て道が見えなくなるし、ああ人はこうやって遭難するんかいな、と悲観的になっていくし。そしてなんとか、一緒に歩いていた友人たちと助け合いながら、北岳の「肩ノ小屋」にようやっと到着です。ああしんど。

豆粒のような可憐な花
豆粒のような可憐な花

小屋ではまず、ずぶ濡れになった服や荷物をストーブのそばに干して乾かし、身体が冷えないように持っていた服を着込みます。身体が冷えていたせいもあり、予想よりもずっと寒く、ダウンやネックウォーマー、帽子までかぶります。食堂もトイレも外に出なくちゃいけないので一苦労でした。山小屋の消灯は夜9時と早いので、早々に布団に潜り込みましたが、外の暴風雨が激しくてものすごい音がするし、小屋が揺れるし、何度も目を覚ましては時計を見ながらの睡眠時間となりました。さて明日はどうなることやら。

ビールを飲む元気な人も、食欲が落ちる人も、みんな無事到着
ビールを飲む元気な人も、食欲が落ちる人も、みんな無事到着

#Day2を読む
#Day3を読む

【ポーランドに行ってきた】#6 ワルシャワ旧市街観光案内

さて、旧市街については観光案内風にまとめたいと思います。

ワルシャワ旧市街の建物
ワルシャワ旧市街の建物

旧市街広場
ヨーロッパは広場文化ですよね。Wikiperiaによると、「歴史的に都市住居が密集しているため、教会や宮殿、市場などの前に一定の空地を確保し、政治的に重要な儀式を行ったり、コミュニティの中心機能を持たせた事例が見られ、現在でも祭事のほか、民間の各種イベントにも使われている」んだそうです。アジアではあんまり「広場」って見ないですね。もっと小さい単位の「寄合所」みたいなものは色々な国で様々な形で見られるのですが。

ワルシャワ旧市街広場
ワルシャワ旧市街広場

ワルシャワの旧市街は、地図を見て想像していたよりもずっとずっと広くて、なかなか目的地に辿り着きませんでした(逆にクラクフは地図を見ての想定どおりの広さだった)。なので、広場に着いたときは「やっと!!」という気持ちでした。

ヨーロッパは広場文化かつ生首文化・・・
ヨーロッパは広場文化かつ生首文化・・・
それぞれの入り口は真っ暗で入りにくい。看板はイデオロギー色が濃い
それぞれの入り口は真っ暗で入りにくい。看板はイデオロギー色が濃い
中にはこんなにかわいらしいレストランも
中にはこんなにかわいらしいレストランも

建物が美しく、観光用の馬車がパカランパカランと走り抜けていくし、シーズンオフだからか人は少なく、ひとつひとつの建物をじっくり見て回りました。広場の真ん中には、手回しのオルゴールを鳴らしているおっちゃんがいて、もの哀しげなBGMが気分です。数少ない観光客は、お年を召した方が多く、杖や車椅子の遭遇率が高かった。うちの親もそうなんですが、日本人だと、足の自由がきかなくなったりすると、とかく引きこもりがちになります。しかし、こんな風景を見ていると、杖だって車椅子だってガンガン出掛けりゃいいんだわ、と思ってしまいます。これから日本も超高齢化社会ですからね、いろんなところにお出かけが可能になる「状況」を作っていかないと、経済がまわらなくなっちゃいますから!

こんな家族連れ? をよく見かけた
こんな家族連れ? をよく見かけた
レストランは戦前から。戦中はさぞかし苦労されたろうと・・・
レストランは戦前から。戦中はさぞかし苦労されたろうと・・・
パカランパカランとやってきた馬車軍団
パカランパカランとやってきた馬車軍団
古びた窓や壁の装飾を眺めていると飽きない
古びた窓や壁の装飾を眺めていると飽きない
手回しオルゴールのおっちゃん
手回しオルゴールのおっちゃん
ふいうちのように馬車が出てくる
ふいうちのように馬車が出てくる

ショップいろいろ
旧市街はお土産屋さん・食べ物屋さんがたくさんあって、ポーランド名物の琥珀のアクセサリーや宗教色の強い置物のほか、ベタな観光地みやげ屋さんも少なくありません。

これはお土産じゃなくて薬屋さん。錠剤のディスプレーがシュール
これはお土産じゃなくて薬屋さん。錠剤のディスプレーがシュール
古本市が出ていた
古本市が出ていた
タバコ屋さんの店先。喫煙率はそこそこ高かったような気がしました
タバコ屋さんの店先。喫煙率はそこそこ高かったような気がしました
これはキリスト生誕のお人形
これはキリスト生誕のお人形

その中で私が最も心惹かれたのは、「ショパンが「I❤️PL」と書いたTシャツを着た絵が書いてあるエコバック」です。ショパン+I❤️PL+エコバック、って組み合わせ、なんかすごくないですか。これがまた、縫製や素材が雑で薄汚れているのが物悲しい。このシュールなバッグ、もう少し綺麗な状態だったら買ってしまったかもしれません。しかし店先にひっかかっているその現品のみ・・・残念ながら購入は諦めました。

右端のエコバックが問題のショパン
右端のエコバックが問題のショパン

キュリー夫人博物館
ポーランドの偉人の一人が、アナタも小学校の時に伝記を読んだであろう、キュリー夫人です。ラジウムを発見した人で、確か子供の頃に家の中が騒がしくても人並み外れた集中力で本を読み続けた、とかいう伝説が残る、ノーベル賞の人。あのキュリー夫人もポーランド人ということを、旅に先立って情報収集している中で知りました。

そのキュリー夫人の生家が、博物館となって保存されているとのこと、旧市街広場のすぐ近くにあるのですが・・・ここにも「ポーランドのトンデモアートシリーズ」に加えたくなるような壁画が。味があるっちゃああるし、単なる絵として見せられたら「ふーん」くらいのものなんですけど、キュリー夫人の偉業を語る施設としての絵ではないような。まあそれだけ「自由」があるのは素晴らしいこと。しかし我々は、それほどここに時間をかけたくもなかったので、中には入らないで外から見学するのみでした。

キュリー夫人博物館の壁画
キュリー夫人博物館の壁画

旧王宮広場
ポーランド王宮の周囲にも広場があります。ここまでくると、人出もややあって、遠足か社会見学なのか子供たちが集合していたり。家族連れも多く、観光地としての賑わいが感じられました。

旧王宮広場の様子
旧王宮広場の様子

そういう状況ですから、当然物売りもいるわけですが・・・ここでもけったいなものから目が離せませんでした。ひとつは写真を一緒にとってくれるパンダの着ぐるみくん。これがまた、なんだかやる気があんのかないのか、頭を抱えていたりもじもじしていたりで、ディズニーのそれとは演技力の面でえらい違いが。このパンダくん、しばらくすると、履いていたインラインスケートですささーとどこかに消えてしまいました。

「うわあああああ」
「うわあああああ」
「どよーん」
「どよーん」
「ああああああ」
「ああああああ」
「お仕事はするぜ❤️」
「お仕事はするぜ❤️」

もうひとつは風船売り。結構繁盛していましたが、ちょっとアレなキャラクターがちらほらと。

夢ふくらむ風船売り
夢ふくらむ風船売り
あ、どこかで見たような人たちが・・・
あ、どこかで見たような人たちが・・・

ポーランド料理レストラン「ポルカ」
考えてみたらファストフード的なものばかりを食べていた私たち、ランチはせっかくだからちゃんと地元料理を食べんと入ったのが、老舗有名店「ポルカ」。お店の中は昔のお屋敷を改造した感じで、インテリアも雰囲気も素敵です。

我々が通されたお部屋には8テーブルほど。他にもたくさん部屋がある。とにかく広い
我々が通されたお部屋には8テーブルほど。他にもたくさん部屋がある。とにかく広い

トイレを借りようと尋ねたら、地下にあると言われ、地下に下ると扉がたくさんあってどれがトイレだかわからない状態に。仕方ないのでひとつずつドアを開けると、個室? 会議室? 控え室? みたいなのがいくつかあり、それと同じくらいの大きさの個室トイレがありました。なんと贅沢なつくり。

真ん中のはポーランド 餃子「ピエロギ」
真ん中のはポーランド
餃子「ピエロギ」

そして肝心の料理はどうだったかというと、チョイスが悪かったのか、なんだかいまひとつでした。ウエイトレスのお姉さんがなんだかすごい迫力ある人で、注文を聞く時も運んでくるときも挑戦的でちょっとビビりました。ザビエカンカ屋のやる気のないお姉さんたちとはえらいちがいです。

その他の見所
王宮はなんだかものすごい行列で、とても中に入ろうという気にはなれませんでした。残念。

行列がとんでもない王宮入り口
行列がとんでもない王宮入り口
通りすがりの君。おしっこかけられそうで戦々恐々
通りすがりの君。おしっこかけられそうで戦々恐々
ワルシャワの象徴、人魚をあしらった看板
ワルシャワの象徴、人魚をあしらった看板
それにしてもコカコーラやペプシが似合わない街だ
それにしてもコカコーラやペプシが似合わない街だ
右側の人は何をしているのだろう
右側の人は何をしているのだろう

広場を抜けると、大統領官邸、コペルニクスの像、ワルシャワ大学(本館)、科学アカデミーなどがありました。

大統領官邸前の警備の人。
大統領官邸前の警備の人。
の横にはワレサ議長のポスターが!
の横にはワレサ議長のポスターが!
ワルシャワ大学の門
ワルシャワ大学の門
東っぽい建物がずーっと続いている
東っぽい建物がずーっと続いている
コペルニクスの像
コペルニクスの像
古い建物を見るとドキドキする
古い建物を見るとドキドキする

ショパン関係の家やら何やらもあって、ショパンを目的としてきた人には感動モノの地区だったかもです。しかし我々の優先度からすると、ショパンを見ていると目的の場所に行く時間がなくなってしまうため、今回はスルーで。なぜならこの日、私たちは、ワルシャワでのクライマックスのひとつ、「ワルシャワ蜂起博物館」へ行く予定があったのです。
ということで、旧市街を後にし、地下鉄とトラムを乗り継いで、ワルシャワ蜂起博物館に向かうのでした。