【山ごはん】北八ヶ岳の縞枯山から茶臼山

天気予報が良い三連休の中日に、北八ヶ岳に行ってきました。
北八ヶ岳は何度か登ったことがありますが、今回は縞枯山から茶臼山をぐるっと回る、初めてのコース。日帰りでの計画です。
今回の山ごはんは、寒くなってきたので汁物が良いなあと考え、なんなら冬先取りでお雑煮を作りました。でも肉っけも欲しくって、調べていたら、ウインナーと野菜にケチャップを入れたスープにお餅を入れるレシピを発見。これをアレンジして山で作ってみることにしました。

  • 北八ヶ岳ロープウェイまでの道
  • 北八ヶ岳ロープウェィのアナウンス
  • 縞枯山荘から縞枯山へ
  • 続いて茶臼山
  • 山ごはんはニセ味噌雑煮
  • さて下山も油断ならない
  • 帰りも北八ヶ岳ロープウェィで・・・

北八ヶ岳ロープウェイまでの道

東京からは、関越道と上信越道を通って向かいました。中央道のような大きな渋滞にもあわず、横川サービスエリアで釜飯を食べるほどの余裕っぷり。横川は1ヶ月前にも同じ時間に立ち寄ったのですが、紅葉シーズンだからか、朝からもんのすごい混雑ぶり。そして釜飯を食べる人よりもフードコートのラーメンを食べている人が多かったのが印象的でした。みんな釜飯食べへんの?

縞枯山〜茶臼山のアクセスは、北八ヶ岳ロープウェイからと、麦草峠からの2つがあります。今回、北八ヶ岳ロープウェィを選択したのは、ひとえに一ヶ月前の白駒池駐車場満車事件があったから。麦草峠も駐車台数はそれほど多くないので、同じ目にあうと、大変な時間のロスが発生します。それに引き換え、スキー場を包括する北八ヶ岳ロープウェイは停められる台数規模が桁違い。そして行動時間もこっちからのほうがちょっぴり短め。ゆっくりご飯を作って、日帰りで、ということを考えて、最良の選択をしました。

北八ヶ岳ロープウェィのアナウンス

ロープウェイを使って山頂駅までイッキに登ります。ロープウェイは大きく書いてないけどJAF割があるのでJAF持っている人は提示しましょうね。ロープウェイに乗ると観光アナウンスが始まります。山頂駅から坪庭あたりまでなら、登山装備でなくてもいけちゃうので、ここらへんではまだ登山スタイルとそうでないスタイルの人々が混ざっています。

観光アナウンスは、北八ヶ岳の素晴らしさを学術的要素をふまえて教えてくれました。縞枯山の名前にもなった縞枯現象というものを、北八ヶ岳三回目にして学びました。100年くらいの感覚で、木々がランダムに枯れていく、世界でも非常に珍しい現象のある山域なのだそう(ウロオボエ)。それを聞いたらもうクチに出さずにはいられなくなり、この後の登山中、山々に生える枯れた木々を見つけると「これは世界的にも珍しい縞枯現象・・・」と呟かざるをえない状態になりました。この情報あふるる社会に生きているにもかかわらず、ロープウェイのアナウンスにいとも簡単に刷り込みをされてしまう私のガードの甘さ。いえ、大切なことなので覚えておくべきですね。

縞枯山荘から縞枯山へ

ロープウェイを降りて山頂駅。天気がよく見晴らしも良く、観光客もみんな楽しそう。私はこの北八ヶ岳に積雪の時期しか来たことがなかったので非常に新鮮です。登山道がこんなふうに、木道が整備されていることも知りませんでした。少し歩くと、以前泊まったことのある青い屋根が特徴の縞枯山荘が見えてきます。私は初めての雪山が北八ヶ岳で、この縞枯山荘に泊まったとき、迎えた朝に、山荘前の静かな白い雪と、月と星が控えめに瞬く藍色の空の美しさを見て、これからももっと冬の山に登り続けようと思ったのでした。

こちらが実物
物語に出てくるような佇まい

山荘を過ぎると縞枯山への登りです。ここからいっきに標高を稼いで、山頂まで登っていきます。台風の影響か少し道が崩れていました。ここも雪道でしか登ったことがないので、狭い岩を登るのが非常に新鮮。といっても大した距離ではなく、気がつくと山頂です。

山頂からは展望台まで左右の眺望を楽しみながらの稜線歩き。北アルプス、乗鞍岳、御岳山、硫黄岳に赤岳と、なんだかもう出玉大サービス。北アルプスは冠雪美しく、赤岳と硫黄はこれからな感じで。この日はなんだか人も少なく、我々の他には1組の先客しかいませんでした。先客の方から「茶臼山の展望もすごいよー」と教えていただきました。心躍る予告編です。

展望台からの眺め
絵になる飛行雲
茶臼山も見えます

続いて茶臼山

縞枯から茶臼山はいっかいぐんと下り、鞍部まで下りたらまたいっきに登ります。この途中でも、枯れ木の景色を見ながら、心の中の北八ヶ岳ロープウェィアナウンス嬢が、縞枯現象のアナウンスを繰り返していたことは言うまでもありません。

縞枯・・・縞枯・・・
台風の影響で倒木が多い
鞍部からの登り

茶臼山展望台でも、すんばらしい眺望が待っていました。北アルプスは槍ヶ岳までくっきり。ここでも先客は1組で、バーナーでご飯を作ってらっしゃいました。そういえばお腹もすいてきた、というところで山クッキング開始です。

展望台から最高の眺望
北アルプスーーーっ

山ごはんはニセ味噌雑煮

ケチャップの風味が消えて、なんだか味噌汁っぽくなったのは誤算でしたが、いやそれでもエセ和風になって美味しかった。お餅は案外早く煮えるので、山ごはんにはパスタよりも使い易く、お腹にもたまり易いなあと感じます。お餅推進委員会発足。前に作ったフルーツ汁粉に入れても良いかも、と夢が広がります。

ごはんの後はデザートで。今回は同行者が持ってきてくれたどら焼きとコーヒー。至福のひとときです。

さて下山も油断ならない

名残惜しい

しかしゆっくりもしていられません。だって、本日の行程の半分にも達していないんですものね。食器を片付けたらとっとと出発です。
今回のコースでは、大石峠・五辻経由でロープウェィ山頂駅まで戻るのですが、途中で一度、あわや道迷い、という羽目に陥りました。
というのも、途中、地図では明らかにまっすぐに進むように描かれている道が、実はほぼ90度に曲がるような看板が立っていて、しかも地図に掲載されている地点名がその看板とは異なるのです。一瞬、地図を信用しそうになりましたが、いやいや看板でしょ、と曲がってみて、GPSで確認してみると、はい、看板が正解でした。スマホにGPSをつけてくれた技術者のみなさんに感謝です。ここ、間違いやすいところなんて要注意です。

そして道を曲がってから、森の中を歩くのですが、ここがまた台風の影響か、倒木と道崩れが多くて、道無き道をピンクリボンを探しながら歩くという困難が待っていました。迫り来る下山時間。ドキドキしながら目を凝らしてピンクリボンを探す、まるで難関脱出ゲーム。

こんな感じの道なき道

出逢ノ辻から五辻は余裕で進みます。途中、ガサガサっっと大きな音がしたので、えっっと足を止めると、なんと鹿さんの群れが道を横切っていました! 最後の2頭が立ち止まって、なんだかこっちを怪訝そうに見ています。お尻が真っ白で、ピーーと鳴いてみたり。こちらとしては、お邪魔してますーという立場なので、真似してピーと鳴いてみたり、抜足差足で近寄ってみましたが、近く前に俊足で走っていってしまいました。後で聞いたところによると、ここには熊はいないようで、代わりに鹿が大量に生息しているとのこと。

鹿、見えますか?

帰りも北八ヶ岳ロープウェイで・・・

そして五辻からはまた、苔むす道を通り木道を通りで、山頂駅まで戻ってきました。
山頂駅からはまたロープウェイに乗ったのですが、そこに切符を切っていた男性が乗り込んできました。チロルハットに森の小人のような服装なので目立ちます。そしてそのお兄さん、地上に鹿の群れを見つけてはしゃぐ乗客の背後から「いや〜鹿は怖いんだよね、車にぶつかってきたり、車のミラーを折ったり、道路から突進してきたり、本当に鹿は怖い。あいつら力あるからね、鹿はかわいいなんて寄ってっちゃいけないよ。鹿は恐ろしい・・」と鹿の恐怖を呪いの言葉のようにずっと囁き続けていました。囁くというより結構な大声で。おかげでロープウェイを降りる頃にはすっかり鹿を警戒する気持ちがマックスに高まってしまいました。往路では縞枯知識、復路では鹿の恐怖と、往復で二つの知識を植え付けられる経験。こんなに簡単に刷り込みができるんだから、狭い空間で浴びせられる人の言葉というのは恐ろしいものです。

というわけで、北八ヶ岳の旅は終了です。帰りは数馬の湯という日帰り温泉でひとっぷろ浴び、また上信越・関越を通って帰りました。八ヶ岳日帰り、長距離ですがこれからも何度も行きたいコースです。