さて、いよいよ最終日。そして最終日もやはり、超早朝から行動です。
君の旅行はなんだかいつもすごく脅迫的に活動してるように見える、と人に言われますが、こうやって振り返ると自分でもそう思います。いや、いつもそうなんじゃないんですけどね。今回はそうでした。
この日は、ウルルの日の出を見に行って、そのあとウルル周囲のトレッキングという予定です。
そしてほとんどの人は「ウルルに登る」ということを目的としている日でもあります。
しかし私は、登山愛好者でいながらも、ウルルに登る気は最初からありませんでした。そのわけは・・・
ツアーの中には「ウルル登山」とうたっているものが多くあります。が、ガイドブックや案内にもよく書いてあることなのですが、ウルルに登ることはあまり推奨されていません。そもそもウルルはアボリジニの所有物であり、アボリジニの方々かオーストラリア政府に「貸している」ものです。そしてそのアボリジニの方々は、ウルルに人々が登ることを、良く思っていません。
ひとつ目の理由は、アボリジニにとって、ウルルは非常に神聖なものにあたるということ。
そしてもうひとつは、滑りやすく、風が強く、滑落事故が多発しているということ。
私個人としては、ひとつ目の理由で十分「あ、行きません」と思いました。たとえば、日本人にとって馴染みのあるお寺や神社とか、はたまたお墓なんかに、外国人の方が土足でどかどか踏み込んで大声で話しながらばちばち写真を撮っていたりしたらあまり良い気持ちはしません。楽しみのために、誰かの大事にしているものに踏み込むという行為は、したくないものです。
二つ目の理由もよくわかります。急登に鎖が一本、頂上は地上よりもかなり風が強く直射日光も強いと聞くし、だいたいの人は登山靴なんて履いていないから、百発百中で滑るってば。
というわけで、私は最初から登る気はゼロ。でも意外と、あちらで会った人も、帰ってから話す人も、みんな「登りたい」「登った」でした。私自身は登る気はなかったし、それが正しいと思っているけれど、人の考えはそれぞれ。そして何よりも、気象条件が揃わないとゲートが開かない上に、最近ではあまり開くこともなくなっているそうです。
ちなみにゲートがクローズする条件とは、
・救助活動中
・12〜2月
・気温36度以上の時(だいたいこのへんは40度)
・雨または降水確率20%
・強風
・雲が頂上より下にある時
・アボリジニの祝日や儀式が行われているとき
そしてゲートが封鎖されているときに、こっそり登っている人がいると、(ここらは丸見えなので)あれよあれよという間にマッチョなレンジャーがやってきて連行されてしまうそうですのでお気をつけて。
さて、話を戻してウルルの日の出です。
日の出が見られるロケーションまではバスで移動します。朝食は前日までにスーパーで調達しておきました。といっても、クラッカーとリンゴ、ジュースなどかんたんなもので。日の出観察ポイントにはすでにたくさんの人がいました。
残念ながら雲が多くて、ご来光という感じではなかったのですが、そのかわり、朝のウルルに虹がかかっているという、とってもラッキーさ溢れる景色を見ることができました! ウルルに虹! なんだか幸福の象徴のようで、本気で感動。
朝食の後はそのままウルルに向かいます。ウルルの周囲をまずはバスで回るのですが、写真禁止のポイントがいくつかあって、ガイドさんがその旨を教えてくれます。そして途中、登山ゲートのチェツクをしてくれるのですが、やはりこの日もゲートは閉まっていました。
ふもとは「マラウォーク」という名のトレッキングコースになっていて、ウルルのすぐそばを歩くことができます。
カルチャーセンターに立ち寄ったり、ガイドさんの説明を聞いたりしながら、ウルル周囲散策を堪能しました。
アボリジニの壁画は、意味を知らないで見るとただの記号にしか見えないのですが、たとえば渦巻きは水場を表しているとか、文字を持たないコミュニケーションの方法としてみると、とてもシンプルに情報がつまっていて、興味深くなってきます。まったく知らない国の言葉を、旅先で少し覚えると、その国の映画を見たときに少し聞き取れたりする、あの感覚によく似て、理解できるとちょっと気持ち良いです。
ウルルの散策が終わったら、一度ホテルに戻って、荷物を受け取り、チェックアウトです。
ああ、なんだか本当に「どすこい」な旅が終わります。そして、ウルルからシドニーに戻ったら、その日に私は帰国便。ウルル便が遅れたり欠航したら、そのまま帰国できなくなる、いちかばちかの賭けでしたが、無事に戻ることができました。ところが次の日はウルル便が欠航になったとか! 1日ずれていたら運命の分かれ道でした。冷や汗。
シドニー空港ではそのまま国際線ターミナルへと移動し、お茶したりりお土産をみ見たりしながら、飛行機を待ちました。今回の旅は、前半の雪山登山に後半の砂漠探索と、ひとつの国でありながら環境がまつたく違う滞在でした。一粒で二度美味しい。登山やっててよかった、旅ができてよかった。今回も心からそう思える夏休みの冒険となりました。あーまた旅したい。