【槍ヶ岳に登ってきた】こんな私が槍ヶ岳!

更新にちょっと間が空いてしまいました。今年の9月は「勝手に登山強化月間」と称して、日帰り(蓼科山)一泊(燕岳)、二泊(槍ヶ岳)と3回の山行を実施しました。そして見事に3回とも雨・・・。結構体力を使ってしまったです。10月は後半、「遅すぎた夏休み2016・オーストラリア登山旅行」を計画していましたので、前半はおとなしくしていようと思ったところ、なんと季節外れのインフルエンザA型に罹患。

山に行きすぎて病とはね。。
山に行きすぎて病とはね。。

罹患したのは三連休の土曜日、その前の週からなんとなく調子があがらず、仕事の効率も下がり、やらなくてはいけないことが山積みになり、津軽三味線のお稽古もうまくいかず、のドツボに足を取られたままもがいているような日々でした。週末からだるく、肩こり頭痛がひどく、そして発熱したら40度までまっしぐら。布団から出ることもできず、食欲もなく、いつものちょっとした風邪なら水を飲んで汗をかいて下げられるはずなのに、熱は上がる一方、病院は休み。もしかしたらこれって・・・と思ったらビンゴ。11年ぶりのインフルエンザは非常に苦しかった。

でも山は楽しかった
でも山は楽しかった

でもですね、時々こういうふうにダウンしたほうが良いんじゃないの? と思いました。ひとつは、普段忘れがちな病気のつらさを思い出せるから。休んでいる間仕事の連絡をすると、インフルエンザによくかかる人ほど思いやりのある言葉をくれるもんだと思い感謝しましたよ。ふたつめは、なまじっか元気だから色々なことをやってしまい「やること」を無駄に増やしているような気がして。いざ何もできなくなると、シンプルに「寝ること」くらいから優先度がつけられるので、日々のタスクのデトックスになりました。それにしても旅行前に完治してよかったよ・・・。

と、余談が長くなりましたが、今回は夏休み前・インフルエンザ前に登った「槍ヶ岳」でございます!

ガスっているけれど紅葉シーズン
ガスっているけれど紅葉シーズン

登山を始めたときに、「槍」という名前の難しい厳しい山がある、という話を聞くようになり、そんなところ、よーいかんわ、と思っていたら、登山を始めて三年目にして登るチャンスが。「アルプス一万尺、こやりのうーえで」の槍ですよ。子供の頃、この槍に登ることになるなんて、というか「こやり」が現実の山を指しているなんて、思いもよりませんでした。しかし、まさか、私が槍ヶ岳!? と思わないでもなかったですが、チャンスの神様は前髪しかないというし、思い切ってチャレンジすることにしました。

#Day1

今回、グループは約10人。行程が長いので、午前中のうちに上高地に到着したら、すぐに出発です。
そして今回は、いつもとちがうガイドさんの引率でした。

ざ・上高地というべき風景
ざ・上高地というべき風景

いつも私は、初登山からずっとお世話になっいてる隊長、およびその周りの人たちと一緒に登山をしているのですが、その隊長は、必要最小限のことだけ指示をして、あとは放牧状態で歩かせてくれます。気分は大草原に放たれた牛のよう。自由。しかしそういうガイドさんは珍しいそうで、友人から聞くところによると、他のガイドさんの場合、班分けをして歩く順番を決めて(時々前後を入れ替えるとか)、みんなで輪になって準備体操をして、途中で写真を撮ったりする余裕もなく並んで無言で歩き、「ここで撮りましょう」と写真ポイントを指定される・・とのこと。恐怖におののきました。危険回避とか時間の都合などの理由があればそういった規制も問題ないんですけど、理由もはっきりしない集団行動が昔からダメ、、形ばかりで意味のないルールを守らされるのがブツブツ出ちゃうほど嫌なのだわ。

清流も清々しく、しかしこの時の私の気持ちは清々しくなかった(笑)
清流も清々しく、しかしこの時の私の気持ちは清々しくなかった(笑)

そして今回、「班分け」「整列」が! そして一列で出発とな! (ぎゃー!!)
言い切りますよ。上高地から少なくとも横尾までの2時間は、道が広いので、横に広がったりしなければ一列になる必要なんてないですよ。しかも、私は写真が好きなので、歩きながら見つけたものをパチパチ撮るのですが、「ながら写真はやめてください」「僕が指定したところで撮ってください」と叱られてしまいました! 噂に聞いてたアレね♪「ね♪」じゃねーよ。写真撮っててもちゃんと集団から離れることなく歩いているし。一気にお腹のあたりからブツブツが出て痒くなりそうになりながらも、そこは大人なので、「はーい♪」と空返事。結局最後まで、ガイドさんの目が届かないように最後尾をコソコソ歩くようにしておりました。まるで遠足の時にバスの後方陣取ってたクラスのヤンキーです。

隠し撮りしたくなるほどの景色ですもん♪
隠し撮りしたくなるほどの景色ですもん♪
木の実だって美しく
木の実だって美しく
木々の紅葉も美しく
木々の紅葉も美しく
ちょっぴり雲は多いけれど
ちょっぴり雲は多いけれど
かわいらしいお花も咲いているしね!
かわいらしいお花も咲いているしね!

さて、そんなヤンキーに生まれ変わりながら、2時間ほど歩いて徳沢に到着です。今年二回目の徳沢、5月は雪が積もる上に暴風雨の涸沢で修行のようなテント泊をしたっけ。そして徳沢に戻ってきたら初夏の日差しで・・・と厳しかった過去を懐かしみながらトイレ休憩です。テント客がたくさんいて、秋の自然を楽しんでいる様子を横目に、我々はまた出発です。ここからが長いんだよ行程は。

徳沢のテントは穏やかな雰囲気
徳沢のテントは穏やかな雰囲気
お花がきれいだな
お花がきれいだな
その脇を歩く、あるく・・
その脇を歩く、あるく・・
横尾でははっとするほどの黄色い葉っぱが
横尾でははっとするほどの黄色い葉っぱが
横尾の橋。ここからが本格的な登山道
横尾の橋。ここからが本格的な登山道
ここまでは太陽が射していました
ここまでは太陽が射していました
山からのお水が豊富です
山からのお水が豊富です
槍ヶ岳の看板が!
槍ヶ岳の看板が!
ここから空が少しずつ・・・
ここから空が少しずつ・・・

お天気は残念ながら下り坂。視界いっぱいの紅葉というわけにはいきませんでした。

でも涼しくて丁度良い
でも涼しくて丁度良い
鮮やかのお花も
鮮やかのお花も

5時間ほど歩いて、本日の目的地「槍沢ロッジ」に到着!

今日のお宿です
今日のお宿です

この山小屋にはなんと、お風呂がついていました。このエリア一帯は本当にお水が豊富だと実感できます。お食事も美味しく、ベッドも快適で、最近の山小屋はどこも居心地最高。ヤンキーに変身しつつも夜更かしをすることもなく、消灯前から起床時間まで爆睡でございました。

ひとりひとつのおふとんが!
ひとりひとつのおふとんが!
お夕食はこんな感じ。美味しい。
お夕食はこんな感じ。美味しい。
木陰から槍の穂先が見えました
木陰から槍の穂先が見えました
外観はこんな感じ
外観はこんな感じ

#Day2

本日はいよいよ槍ヶ岳に登頂です。朝起きると雨・・・すごい音がしているのでどれだけ土砂降りなのかと思っていたら、川の音だったので「たいしたことないよネ」と言い聞かせるように、雨の燕岳に同行したメンバーと語っておりました。するとチーム内に究極の晴れ男がいることが判明! 彼の神通力を頼りに出発です。

朝ごはん。活動時間が長いのでもりもり食べます
朝ごはん。活動時間が長いのでもりもり食べます

今日は昨日よりも厳しい登り。しかもガイドさんはあまり休憩も取らずにずんずんペースを上げていくタイプ。メンバーのうちのダンディーなおじさまが「そろそろ休憩してよ!」と言ってくださり、やっとのこと休憩です。ありがたや! 朝ごはんも早かったので、やっとこさの休憩で、むしゃむしゃおやつを口にします。

歩くとすぐに穂先が迫ってきます
歩くとすぐに穂先が迫ってきます
ガスガス・・・そして雨
ガスガス・・・そして雨
上のほうが見えないのよねー
上のほうが見えないのよねー
行く手は真っ白
行く手は真っ白
でも黄色と緑が混じった葉っぱはとてもきれい
でも黄色と緑が混じった葉っぱはとてもきれい
だんだん森林限界を超えていきます
だんだん森林限界を超えていきます
もう完全な岩だらけ・・・
もう完全な岩だらけ・・・

登山道には、かつての山岳信仰を彷彿とさせる祠やお地蔵さんが祀ってありました。湧き水も多く、世界がどんどん変わっていきます。

かわいらしいお地蔵さん
かわいらしいお地蔵さん
もうこんな道ざんす
もうこんな道ざんす

そして特別天然記念物の雷鳥が登場! いくつもコロニーがあるようで、集団でわんさかたむろしていました。雷鳥の声って、カエルのよう。広い、何もない山の中で、ゲーー、ゲーーという声が響きます。姿はかわいいが、声はかわいくなかったです。

雷鳥さんが集団で!!
雷鳥さんが集団で!!
最後は階段を登って・・・
最後は階段を登って・・・

そして歩きに歩いて、槍ヶ岳山荘に到着です。ここは頂上直下にある山小屋です。この時点では、ガスがかかっているものの、ほぼ雨は止んでいました。小屋の前に荷物を置いて、ヘルメットをかぶり、槍の穂先に向けて登頂準備です。ちなみに私たちが登るのは「こ槍のうーえ」ではなく、大槍です。そしてアルペン踊りを踊る余裕なんて微塵もありません。槍の穂先は、日本のマッターホルンと呼ばれるだけあり、鋭い先端を天に向けています。

雨でレンズが曇ってしまいましたが槍ヶ岳山荘
雨でレンズが曇ってしまいましたが槍ヶ岳山荘

雨に濡れた岩をよじ登り、3点確保してわずかな足場を探し、ガスがかかって下が見えないのが実は幸いで、足を一歩滑られたら真っ逆さまのところがよくわからなかったので、恐怖心はおそらく晴れの日の半分程度だったでしょう。そして途中からはハシゴです。鉄製のはしごに足をかけるのですが、垂直なのはもちろん、やはり滑るのと、時々ハシゴが岩に近すぎて足が置ききれないのがビクビクものでした。

これは岩登り直前。心はドキドキ
これは岩登り直前。心はドキドキ
友人が撮影してくれた穂先に向かう写真。ピンクが私です
友人が撮影してくれた穂先に向かう写真。ピンクが私です

しかしなんとか登頂! とうとう槍ました!! ここは素晴らしい360度Viewなはずなのですが、白くて何も見えない(笑) 頂上の祠で代わる代わる写真を撮っていたらなんと、頭上の雲が少し切れて青空が見えました!! 景色がまったく見えなくても、青空が少し見えただけでハッピーです。これも同行の晴れ男のおかげでしょうか!

持ち上げようとしているのではなく、つかまっている
持ち上げようとしているのではなく、つかまっている
ちょっと青空が見えました。「みんな見てる〜?!」と他の山に向かって叫んでみました
ちょっと青空が見えました。「みんな見てる〜?!」と他の山に向かって叫んでみました

そんなこんなしていると、他の人が何人か登ってきたので、下りです。ちなみにここは、天気が良いときには、渋滞することがあるんですって。私の知り合いは、順番待ちをしている間に下山のタイムリミットが来て、とうとう登頂できずに帰ってきてしまった人もいます。我々は悪天候ながらも登頂でき、しかも青空も見えたのでめちゃくちゃハッピーでしょう。

だってね、こんな梯子を上ったのよ・・・
だってね、こんな梯子を上ったのよ・・・

下りは登りよりもさらに足がすくみます。外に身体を向けて下りていくのですが、足場がよく見えないし、すべるし、時々身体の向きを変えなければならないしで、前の人と少しでも離れるとどうして良いかわかりません。しかも登りと下りで道が分かれているはずなのに、下り道を登ってきちゃった人と鉢合わせになったりして、ドキドキがとまりません。でもラッキーだったのは、きつい下りが終わったあたりから雨が降り始めたこと。ここまできたらもう降っていただいて構いませんことよウフフ。急に余裕に。

小槍が見えます。アルペン踊れないよね
小槍が見えます。アルペン踊れないよね

小屋についてから、軽く着替えて、もう3時近くになってしまったですが、手持ちのお弁当を食べ、コーヒーを飲んだりしてゆっくり過ごします。ここのコーヒーは大変美味しかったのですが、ドリップがスローモーションで、注文してから飲むまでに大変時間がかかります。でも美味しい。もう登頂もしたし、目的は達成したので、あとはゆっくりです。気温が想定よりも低くなく、小屋の中はストーブが炊いてあったので、ダウンも不要でした。夕食も美味しくいただき、本日も爆睡・・・と言いたいところですが、この日は興奮しちゃったのか、コーヒーを飲みすぎたためか、あまり眠れませんでした。

晩御飯。3時にお昼だったので若干お腹いっぱい。
晩御飯。3時にお昼だったので若干お腹いっぱい。

#Day3

翌日は最終日、水道水(雨水)を分けてもらって、下山です。いっきに槍沢山荘から槍沢ロッジを超えて上高地まで、約9時間の道のりを歩き続けます。考えてみるとすごい距離。災害地の訓練のようです。

朝ごはん。お腹はちゃとすきました
朝ごはん。お腹はちゃとすきました
また雷鳥が。ゲーゲー鳴きながらお見送りしてくれました
また雷鳥が。ゲーゲー鳴きながらお見送りしてくれました
ガスが少しずつ薄れて、斜面 紅葉が見えてきました!
ガスが少しずつ薄れて、斜面
紅葉が見えてきました!
なんかもう、ガスがあがっていく景色に見とれちゃう
なんかもう、ガスがあがっていく景色に見とれちゃう
熟しすぎたブロッコリーのような紅葉
熟しすぎたブロッコリーのような紅葉
空の明るくなってきた!
空の明るくなってきた!
木々も光を受けてキラキラ
木々も光を受けてキラキラ
ああやっと青空が!
ああやっと青空が!
うわー美しい山が!!
うわー美しい山が!!
飛び込んで泳ぎたい!
飛び込んで泳ぎたい!
いきなりこんな空ですよ!
いきなりこんな空ですよ!
美しくて疲れもふっとぶ?
美しくて疲れもふっとぶ?
雲さんさようなら、青空さんこんにちは!
雲さんさようなら、青空さんこんにちは!

いやあ長かった。徳沢あたりからまた、ガイドさんが歩き方講座を始めてしまいましたが、もう私は大丈夫よ! 最後尾でヤンキー化して自由に歩くのは変わりませんが、このチーム全員が登頂できたんだから、引率してくれてありがとうという気持ち。でも次からはまた放牧が良いけどね(笑)

今回が今年の登山クライマックスだったのかな。また槍に行くことがあるかどうかはわからないけれど、天候がよくなくてもやっぱりお山は楽し、と思う次第です。

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