さてポーランド滞在2日目。ちなみにポーランドと日本の時差は、サマータイム中は-7時間、通常時は-8時間。やや時差ボケで、朝の4:30頃に目が覚めてしまいました。ちなみに日の出は6:30頃。10月後半でも既に冬の空でどんより。ピーカンって天気はほとんどありませんでした。
ポーランドのヨーグルトにはまる
4:30に起きた私たちは、お部屋で朝食を。前日買ったポンチキ(親切なお兄さんオススメのキャラメルとナッツクリーム)、コーヒー、ヨーグルト、オレンジというラインナップですが、十分贅沢です。ポーランドの食べ物で、最もはまったのがなぜかヨーグルト。日本のよりもずいぶん濃厚で、1カップの量が多く、味のバリエーションもたくさんあって、しかもお安いのよ奥さま。あまりの美味しさに、毎日朝と夜の二回食べるという習慣ができました。
トラムに乗って・・・の前に
朝食を済ませたら、早速外出です。今日はトラムに乗って、郊外ののみの市に行くことに。ヨーロッパでのみの市! 私の頭の中には、かつて愛読していた80年代のananやOLIVEのグラビアで、パリののみの市で掘り出し物を見つけるスタイリストやモデルを羨ましく思っていた日々が、走馬灯のように駆け抜けていきます。きっと私もアンティークの置物やアクセサリーなんかを見つけて、ちょっとふっかけられたのを値切って宝物を手にいれたりするんだわ、と乙女な想像に胸を膨らませていました。ヒャハー!
それとは別に、ホテルを出てまず最初にしたかったことがありました。前日、空港からの車が宿泊ホテルに差し掛かった時にみつけた、壁いっぱいの巨大な壁画の写真を撮りたかったのです。この壁画がなんていうか、ちょいヘタウマなタッチのもので、迷彩服で戦っていたりして、しかもその頭には、いわゆる「鎌と槌(ソビエトの国旗に描かれているあれ)」が描いてあったりと、大国に挟まれて翻弄されてきたポーランドの歴史の一部を語っていると考えられるメッセージ性の強いもの。とはいえ首都ワルシャワの駅のすぐそば、日本でいえば東京駅近くの東京中央郵便局の壁みたいなところに、この漫画チックなタッチがこのサイズで描かれているってのもすごい、色使いが薄くてもインパクトでかい、そんな絵だったです。
まあ日本でも、最近アニメタッチの絵があちこちに描かれていて、公共交通機関の広告にさえ使われていたりするわけですから、人のことは言えたもんじゃありませんね。というわけでせっかくなのでこの絵を撮影し、トラムの写真を撮ったり、ポーランドでもちゃんと働いているキティちゃんや、白いベストを着たカラスやらを撮影しておりました。
そしていよいよトラムに乗って郊外へ
そしていよいよ初・トラム乗車です。私が子供の頃、大阪に住んでいたのですが、やはりこんな路面電車に乗ったことを思い出します。車や人と同じ道を走る電車ってなんだか良いですよね。切符の買い方は事前に予習しておき、きっと販売機ならコインが主流だろうとその分のお金も小銭で用意していたのですが、なんと、チケットマシンでは小銭が使えない罠。でもポーランド語・英語の言語切り替えがちゃんとできたので、気を取り直してお札で購入。チケットは、2時間券とか、1日券とか、有効時間で金額が変わる仕組み。1日の行程があまり決まっていない時は、あまり長い時間のものを買ってしまうとやや損をすることもあるので注意です。乗車したら、車内の機械で乗車時間をチケットに自分で打刻します。それだけ。車掌さんがチェックするわけでも、下車時に時間が自動計測されるわけでもなく、完全に信用で成り立っています。しかし、聞いた話によると、かなり頻繁に抜き打ち検札があるそうな。それにひっかかると、結構な額の罰金を払わせられるので注意です。
それにしても。よく、無人販売とか、自己申告でお金を払うシステムとかがあると、「これは日本じゃなきゃ成り立たないよね〜」なんてよく言ったりしますが、ポーランドでも成り立っているじゃん! しかも最もメジャーな交通機関でだよ! 東京メトロやJRなんかがこれやったら結構キセル率高くなると思うけどな〜。ポーランドのトラムのキセル率を知りたいところです。
さて、話をトラムに戻して、我々が乗ったトラムは、街の中心からどんどん郊外へと走ります。車内はとっても空いていて、車窓の風景が、中心地のオフィスビルやショッピングモールなどから、住宅エリアへと変わっていきます。その住宅エリアはなんというか、やっぱり東の名残が濃く残っている感じがしました。まったく同じ形状の装飾のない形状の四角いアパートメントがどーん、どーんと並んでいたり。歩いている人々も、ちょっと中心街のそれとは異なってきます。日本でいうなら、銀座の中心から上野・浅草あたりの裏通りに来た感じ。寝癖ジャージで歩いちゃっているような、より私的な生活権というか。しかしそこにヨーロッパの雰囲気を濃く漂わせているのが、日本なら街角にひょっこり現れる小さな鳥居や祠のような感じで、古いマリア像が祀られていたりするところです。やっぱり見慣れないものに目がいきますね。世界の車窓から・ポーランドトラム編は、ちょっと盛り上がらなさそうですがちょっとやってほしいです。
かなりディープな蚤の市へ
さて、目的地のコウォ・バザールに到着しました。ここがなんというか、すごい・・・人の様相がまったく異なっていました。あの、マガジンハウス系の雑誌で有名スタイリストさんが訪れていた蚤の市となんだか違う。まず、ヨソ者はまったくいない感じで、観光客然とした人が誰もいない。当然我々平たい顔族は完全にシカトされています。語気がやや荒い、まさに下町の野外市場という様相。そしてなんだかワルシャワ中央エリアよりも寒い。事前の情報収集では、明るい夏の季節に賑わうバザールの写真を見たはず。もしかして夏と冬でテーマが違う? というか客層が完全に変わる? わ、わからないけど、少なくとも、ようこそ私たちのバザールへ!大歓迎!って風にはまったく見えない。
意を決して、まずはバザールの周りを歩いてみます。地面に布を敷き、その上に商品を出しているのですが、店番がいないパターンも多くて、みんな寒いからか自分の車の中で待機していたです。人がこないかを眺めているだけなんでしょうけど、こちらから見ると鋭い目線で外を見張っているように見えてしまい、ややガクブルでした。
売っていたものは、どうみても家にあった古いものをそのまま持ってきたような感じで、銀製品(スプーン、ナイフ、ティーストレーナーなど)、人形や置物(それ売るんかい、みたいなもの多し)、絵(あまり上手なのはない)、キリスト教的なグッズの数々、毛皮、革ジャン、歯医者道具や手術道具(に見えた)、充電器やスタンド(使えそうもない)、レコード、カセットテープ(かなり大量)、古本、古い絵葉書。中にはポーランド陶器やヨーロッパ風の食器、アンティークアクセサリーもあるんですが、なにせ英語が数字すら通じないので、こちらから話しかけてもニコリともせずにポーランド語で何か答えるか、無視。そして奥に進んでいくと、売っているものがさらにディープに。サーベル、銃(!)、ガスマスク、迷彩服、勲章、ソビエトのバッジ、楽器(バイオリンやフルート、チューバ、ドラム、トランペットなど)、そんな感じの、「それって大戦の頃から家にあったものですよね」みたいなのが多し。よく見てみると、バザールの奥は、人もちょっぴりディープ。パイレーツオブカリビアンのようなアイパッチをしたおっちゃんや、かつてはソレを着るのが日常だったような迷彩服を着たちょっとお年を召した集団、絵に描いたような立派なヒゲを蓄えたふとっちょさん、長いスカートを翻して盛り上がっているロマのグループなど。いや、ちょっとカメラを構えて撮影する勇気は出なかった小心者のわたくしでございます。
もっともシュールだったのが、真っ赤な古い車の上に、ガラクタぽいものをたくさんのせて、最上部には日本のどでかい五月人形が鎮座していて、思いっきり大きな音でポーランド演歌を流していたお店でした。これも写真はありませんすみません。いやー、本当に凄かった。なんで五月人形?
ちなみにバザールの近くのトラムの駅では、チケット販売機が封鎖されて買えなくなっていました。ちょっとこれもコワイ。ていうか、OLIVE的なのにも行きたかったけれど、こんなディープな蚤の市に行くことができてホントよかった。ツィタデラに行けなくたってオッケーよ、という気持ちにすらなりました。
さて、バザールですっかり冷え切った我々は、再びトラムに乗って、旧市街を目指します。