さて、ポーランド3日目、クラクフという町に移動する日です。
ポーランドの鉄道は、日本からインターネットで予約ができます。日本語ですと、代理店経由になるのでちょっとお高め。私は自他共に認める倹約家なので、本国のサイトを使ってがんばります。
私が予約したのはこのホームページです。日付と行き先を指定して、クレジットカードで簡単決済。少しだけでも英語ができれば簡単よ!
http://www.intercity.pl/en/
知らない国の鉄道に乗るときは、可能な限り高いクラスにしておく派です。状態を知っているなら、低いクラスで雰囲気を楽しむのもアリなんですが、ポーランドの鉄道情報はあまり多くないこともあって、こういうところは倹約<安心を選びます。コンパートメントの席を買いました。イメージは完全にアガサ・クリスティの小説の世界です。
当日、まずは荷物をまとめてホテルをチェックアウト。ワルシャワでの一泊目はメルキュールに泊まりました。駅近で、非常に便利な立地で、綺麗なのにホテル予約サイトに出ていたお部屋はリーズナブル。Wifiも無料です。欠点は、お風呂のお湯がバスタブからなかなか流れないこと・・・。今回のポーランドで唯一悪かったのが「お風呂運」です。この話はこのあとちょくちょく出てくると思います。
ワルシャワ中央駅はとてもきれいで、だだっぴろく、人が少なく閑散としていました。時期によるのかもしれませんが、日本の駅のように、人が集まるところに食べ物屋やお土産やなどを置いておく感じではなく、簡単なキオスクがあるのみ。でも、スリや置き引きもいるというので緊張しながら、まずはキオスクで飲み物とちょっとしたお菓子を購入しました。
プラットホームに行くと、まずはちょっと困りました。といいますのも、ホームNoと、プラットホームNo(両脇)と、車両Noがあって、切符に書いてある番号がそれのどれだかがよくわからないんです。電光掲示板があるにはあるんですが、その番号もどれがどれやら。一応、案内のボランティアが立っていたので聞いてみると、ここでOK! と言ってくれるのですが、掲示板の番号が時々変わって、そのたびに旅行者たちは民族大移動。私は過去に、インドの長い長い鉄道に乗ろうとホームで待っていたら、到着した列車の、自分の席がある車両が、立ち位置からはるか遠くにあることが発覚し、荷物を抱えて出発時間間近に猛ダッシュしたことがあります(出発してしまうと車両をまたいで歩けない)。ここでもそんな目にあうのはゴメンなので、列車の時間まで、電光掲示版とすでに止まっている列車を見比べて、凡例の推理をするしかありません。
なんとか目的の車両に乗り込み、コンパートメント内に席を確保しました。同室には、中年男性と初老の女性が座っています。男性は我々の荷物を上の棚に上げてくれましたが、そのあとは特に喋ったりすることはなく、室内はシーンとしています。列車が動きだすと、ちょっと迫力のある豊満なヤンキー風の女性車掌が、切符のチェックに入ってきました。私たちはeチケットを見せてあっさりOK。ついで女性も問題なし。しかし中年男性はなにやら不備があったようで、ヤンキー車掌に鋭い口調で何か言われています。男性も「だって仕方ないだろう」という風情で反論している様子。なにせポーランド語なので内容はよくわかりませんでしたが、30分くらいやりとりをしていて、結局ヤンキー車掌がぶつぶつ言いながら出ていって、それっきりでした。
ちなみに列車の中はWifi無料です。ポーランドは本当に、どこにいってもSIMカードいらず、たいていのところは無料Wifiで繋げられるのが本当に便利でした。
中年男性が数駅で降りていき、さらにいくつかの駅を経たところで、列車は止まってしまいました。アナウンスがポーランド語でよくわからん、と思っていたら、同室の女性が「霧で動かないのよ、今日は飛行機も欠航になったわ」と教えてくださいました。それをきっかけに、女性とは、我々は日本人でこれからクラクフに行って、アウシュビッツにも行くつもりだと話したりしました。女性からは「あなたたちはツアーじゃなくて個人で旅行しているのね、珍しい!」と言われました。ポーランドについては、旅行者ウェルカムな雰囲気ですし、列車もネットで予約できたり、たくさんの土地を効率よくまわるのが目的なのでなければ、個人旅行で十分ではないかと思います。この女性は、クラクフ到着と同時に、他のコンパートメントから見知らぬ男性を連れてきて、私たちの荷物を棚から下させるという、とても親切な方でした。私も日本で、旅人に親切にしようと思う瞬間です。
予定ではお昼前に到着するはずが、3時間以上予定をオーバーしてクラクフに到着しました。
クラクフの駅から宿までは徒歩で向かいます。滞在は、ヴァヴェルという、近隣のお城と同じ名前のアパートメントホテル。義兄がホテル予約サイトのポイントを寄付してくれたので、お安く泊まれたのですが、私の旅史上、最も豪華なメゾネットタイプのひろーいひろーいお部屋。しばらく興奮が冷めず、はしゃいで写真や動画を撮って過ごしました。
この土地での時間も限られているので、ひとしきり興奮したあとは、お散歩に出かけます。お昼を食べてないのでお腹がすき、まずは近くのレストランへ。昔ながらのポーランド料理をセルフサービスで注文するお店に入ったのですが、お皿をどうやってゲットするのかとか、ルールがわからずオロオロ。お店のお姉さんたちは親切なのですが強気でぶっきらぼう。ヤンキー車掌といい、ポーランドの若い女性は美しくかつ強い方が多いという印象です。
ここではビーツのスープとチキンを頼みましたが、それぞれポテトが山盛りで、とても食べきれず、手持ちのビニールでセルフテイクアウトにするハメに。しかしお腹がいっぱいになるとがぜん元気が出てきます。外がものすごく寒くて、私たちは手持ちの服をすべて着用して外に出ている状態でしたから、お食事で身体の中から温まるのは必須です。
まずは旧市街広場へ行ってみます。ここはワルシャワほど規模が大きくないので、結構イメージどおりに歩けました。教会を覗いたり、広場の中心にある織物会館へ行ってみたり、ポーランド来訪目的のひとつ、ボリスワビエツ産の食器専門店をはしごしたり。織物会館のお土産屋さんはいまひとつでした。が、食器屋さんでは大興奮。日本には入ってきていない柄も多く、そのバリエーションの多さに感動。
思えば、このポーランドの美しい食器をかつて日本の雑貨屋さんの隅っこで初めて見つけたときに、いつかポーランドに行ったら買うんだと強く思ったのです。その夢が叶ってしまいました。その時にはまだ、ボリスワビエツ食器は日本でそれほどメジャーではなかったのですが、あれよあれよという間にあちこちのお店で取り扱いが始まりました。私は初志貫徹で日本では手を出さなかったため、この旅での感動もひとしおです。
近くのヤギェウォ大学(コペルニクスやヨハネパウロ2世が学んだ学校)へ行ってみたり、カフェでお茶したり、気がつけばあたりは真っ暗。この時期、日没が16時頃なのですが、まだ残っている霧と、クラクフの街の明かりが幻想的でとても美しかったです。
お昼が遅かったので、晩御飯はパス。小さな食料品店で買ったお水とヨーグルト、そして昼に残ったクラッカーなどをつまんで済ませました。ホテルの部屋は豪華なのですが、バスタブがなく、シャワーだけではとても冷えて眠れないので、ホテルの施設にあるジャグジーを申し込みました。薄暗いタイル貼りでやカビくさい、トルコ風呂のようなジャグジーは、水温が低めで流れも中途半端でしたが、1時間つかっているとあらふしぎ、身体がポカポカしてきました。ポーランドの人はこの寒さの中、シャワーで平気なんだろうか。我々はすっかり温まったので、その夜はぐっすり眠ることができました。