【白峰三山に登ってきた】#1 暴風雨のDay1

6月最後の土日月を使って、2泊3日で白峰三山縦走に出かけてきました。

たなみに「白峰三山」は「しらねさんざん」て読みます。てなことを知ったのは、出発の約2ヶ月前。しらみねとか、はくほうとか、てきとーに呼んで、どれが正しいのかもわからなかったので「北岳縦走」という名前で呼んでました。間違ってはいない。

白峰三山

とにかく、日本で二番目に高い山が「北岳」っていうところだと認識したのは、2013年のキナバル登山のとき。実質、登山靴をはいて始めて登ったのがこの山だったのですが、その時のメンバーに「次は北岳に行く予定」と話している人がいて、その立ち位置や、ちょっとむつかしい山ということも始めて知りました。

登り始めはこんな美しい緑
登り始めはこんな美しい緑

その北岳(3193m)の次、日本で三番面に高いのが「間ノ岳(3190m)」それと、農鳥岳(3026m)をつなぐルートが白峰三山という名前で呼ばれています。
ちなみに、縦走路にはこのほかにも、北岳と間ノ岳の間に中白根山というのがあるし、間ノ岳と農鳥岳の間には西農鳥岳というのがあって、なんかもうアップしてダウンして、ずーっと上り下りを繰り返します。日本一高い、縦走路だそう。

時にはこんなサバイバルな道も・・・
時にはこんなサバイバルな道も・・・

さらに、6月といえば梅雨。ちょうど出発の日は開山祭にあたったのですが、1日目は曇りからの暴風雨、2日目は強風と濃霧。2日目の午後からは晴れ間が見えてきて、3日目は素晴らしいピーカンという天候。最後に景色を堪能できたのは本当にラッキーでしたが、1日目・2日目の体力消耗も半端なく、3日目の10時間近い下山路は、体力がなくなるのと反比例して道は険しくなり続け、狭いガケ道、ロープ場、半分落ちた丸木橋と、サバイバル度がむちゃくちゃ高いルートでドキドキ。しかも、開山直後のため、まだ道が踏みしめられていないので、足元は浮き石が満載。何度も転び、極度の緊張から変な歩きかたをしたようで、足指のちっこいものから絆創膏では覆いきれないビッグサイズまで、足がマメまみれになるという事態に。しかし、「登ってきた感」「やりとげた感」もその分ひとしおで、日本も奥深い、私のサバイバル経験がひとつ増えたと実感する行程でもありました。

しかし花々は咲き誇る
しかし花々は咲き誇る

#Day1

朝7時半に東京を出発し、渋滞にも巻き込まれすに北岳登山口には11時に到着。前述のとおり開山祭が行われていました。そして登山客にも無料でおそばがふるまわれました! このおそば、こしがきいて、絶妙な旨さ。嬉しい反面、持参したお昼が減らせない番狂わせが発生。本日の行動食は、おにぎりやおかずなど、普段よりもややガツンとメガなものになりそうです。

開山祭の真っ最中
開山祭の真っ最中
この木の下を通り抜けて安全を祈願する
この木の下を通り抜けて安全を祈願する

お天気はこの時点でうす曇り。しかし日差しは強く、日焼け止めで厚く塗りこみUV対策を。登山口には着々と公共のバスも到着し、以前の山行でご一緒した顔見知りの方と思いがけない再会をするなど、楽しい出発となりました。

アスファルトの照り返しが熱いぜ
アスファルトの照り返しが熱いぜ

北岳登山道に入ると、いきなりひたすら登りです。本当にひたすら登りでした。登山なんだから登りでしょ!、というご意見もあるかと思いますが、それにしても登りです・・・巻き道がほとんどない。気温と湿度が高いのと、ずっととにかく斜面を歩き続けるのが、登り始めの身体にはこたえます。いつもこのくらいのタイミングで「あー普段の運動が足らない・・」と反省させらるのですが、この日は反省する余裕もなし。6時間ほどの行程でしたが、とにかくずっと登りでした。

緑の中をひたすら登り続ける
緑の中をひたすら登り続ける
やや不穏な雲が見えてきた
やや不穏な雲が見えてきた

途中、標高が上がってくると、雪がまだ残っていました。溶けかかっているところもあり、滑りやすいので足元を気をつけながら登り続け、振り返ると遠くに鳳凰山のオベリスクが見えます。それだけ見通しの良い空が背後にはあるのですが、目の前には黒い雲が迫ってきて、いやな予感。一歩進むごとに空気中に雨の気配がしてきて、自分たちがその雲に突入していくのがわかります。

暑い中、ほっとするのは水の流れる音
暑い中、ほっとするのは水の流れる音
とにかく、登る、登る
とにかく、登る、登る
背面にはまだかろうじて青空が
背面にはまだかろうじて青空が
足元の小花を愛でる余裕もあり
足元の小花を愛でる余裕もあり
前日までの雨のせいか、急流がそこらじゅうに
前日までの雨のせいか、急流がそこらじゅうに
遠くに見える雪をかぶった山々
遠くに見える雪をかぶった山々
そんなこと言ってたらとたんに雨雲が・・・
そんなこと言ってたらとたんに雨雲が・・・
足元にはまだ雪渓の名残が
足元にはまだ雪渓の名残が
その真上には桜が咲いている不思議
その真上には桜が咲いている不思議
遠くの緑が目にしみる
遠くの緑が目にしみる

途中からとうとう雨。目印となるトイレスポットは、まだ開山したばかりで設営されておらず、トイレ休憩もなくレインウェアを装着して再び歩き出します。適当に水を飲んだり、残ったお昼を口に入れたりしましたが、最も美味しく感じたのが梅干飴。汗をかき、水分とともに塩分が不足していることがわかります。これまでも、それなりに厳しい山に登ってはきたものの、天候のコンディション×山の環境×自分のコンディションの3つともが同じくらいに作用して、同じような山、同じような天気でも、体感の楽さ・辛さが本当に変わるものです。そして今回は、この湿気とへんな生暖かさと急勾配がかなりキツい。願うは明日の好天と素晴らしい景観のみで、ひたすら足を前に進めます。

花畑もこのとおりガスの中
花畑もこのとおりガスの中
花たちも水に濡れて花びらが透明に
花たちも水に濡れて花びらが透明に

樹林帯を抜けると、岩がゴツゴツの稜線に出るのですが、ここからがまた修行。さえぎるものがなくなるということは、暴風雨直撃です。顔に雨がバシバシあたって痛いし、目の前を歩く友達のザックカバーが風に飛ばされそうになるのを直してあげていたら自分のカバーが飛ばされるし、ちょっと歩みを止めると身体が風に押されて傾斜して、マイケル・ジャクソンのスムース・クリミナルは意外と簡単よねなんて思いながら頭の中で音楽が鳴るし、霧も出て道が見えなくなるし、ああ人はこうやって遭難するんかいな、と悲観的になっていくし。そしてなんとか、一緒に歩いていた友人たちと助け合いながら、北岳の「肩ノ小屋」にようやっと到着です。ああしんど。

豆粒のような可憐な花
豆粒のような可憐な花

小屋ではまず、ずぶ濡れになった服や荷物をストーブのそばに干して乾かし、身体が冷えないように持っていた服を着込みます。身体が冷えていたせいもあり、予想よりもずっと寒く、ダウンやネックウォーマー、帽子までかぶります。食堂もトイレも外に出なくちゃいけないので一苦労でした。山小屋の消灯は夜9時と早いので、早々に布団に潜り込みましたが、外の暴風雨が激しくてものすごい音がするし、小屋が揺れるし、何度も目を覚ましては時計を見ながらの睡眠時間となりました。さて明日はどうなることやら。

ビールを飲む元気な人も、食欲が落ちる人も、みんな無事到着
ビールを飲む元気な人も、食欲が落ちる人も、みんな無事到着

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