【キリマンジャロに登ってきた】#18 Day7 サファリ〜帰国へ

さて、残念ながらフカフカのベッドでぐっすり眠ることはできませんでしたが、新年ということもあって、意外と身体も気持ちもスッキリしています。まずは朝ご飯。ホテルの食堂のビュッフェで、果物やパンをいただきます。インスタントではないコーヒも久しぶりにいただきました。

ホテルのヴィラはこんな感じ。一棟独立型の贅沢な滞在
ホテルのヴィラはこんな感じ。一棟独立型のお部屋で贅沢な滞在
庭にはバナナの花が
庭にはバナナの花が
食堂もこのとおり
食堂もこのとおり
写真で見ると山の食事のほうがずっと豪華に見えます
山の食事もこちらも、同じくらい美味しかった

ご飯の後は割とのんびりしながら出発です。今日は帰国日ですが、午前中の時間を利用して、近くのサファリに行くのです。
まずはホテルに待機しているサファリ専用車の乗り込みます。一見、普通のジープですが、天井がパカッと上にあがって、そこから顔を出すことができます。パーティのみんなと3つの車に分かれて乗り込みます。

庭にあった不思議な花。赤い部分は毛虫のようにモサモサしている
庭にあった不思議な花。赤い部分は毛虫のようにモサモサしている

昨日は暗くてよく見えなかったホテルの周囲もじっくり眺められます。異国の朝って、どんな国でも、日中よりもおっとりした雰囲気で、大好きです。道には、鮮やかな衣装を身にまとった女性が目立つなか、マサイ族が歩いていたりして、今日でここを去るのがもったいなくなる気持ちでいっぱいです。必ずまた、アフリカに来ようと心に決めました。

ホテルの周辺はこんな感じ
ホテルの周辺はこんな感じ

国立公園に到着。大きな象のハリボテを指差して、ドライバーが「ゾーサン!」と言うので、え?マジ? 早速? アフリカだし? とまんまとだまされそうになりましたがハリボテです。しかし、日本人はなぜ象だけ「さんづけ」なのでしょうかね。童謡の影響だけ? だとしたらものすごいプロパガンダですな。

いよいよアルーシャ国立公園へ
いよいよアルーシャ国立公園へ
普段高い建物に囲まれて暮らしていることなんて忘れそう
普段高い建物に囲まれて暮らしていることなんて忘れそう
お山もちゃんと見えます。これはメルー山
お山もちゃんと見えます。これはメルー山
象のハリボテに登ってはしゃぐパーティのメンバー
象のハリボテに登ってはしゃぐパーティのメンバー

国立公園に入ると、早速ルーフが開けられました。立ち上がるとちょうど、ルーフの下から顔を出すことができます。これがものすごく気持ち良い。埃がものすごいので、手ぬぐいを顔の下半分に巻き付けます。今日はそのままシャワーを浴びずに空港に行く予定なので、汚れたら日本までそのままなのですが、そんなの関係ねえ! アフリカの、大自然の空気をたくさん吸い込んで帰りたい! みんなは適当に座っていましたが、私はそんな気持ちから、ずっと立ちっぱなしで外を眺めておりました。風にあたりすぎてさすがに後半はヘトヘトでしたが。

乗っているのはこんな車です
乗っているのはこんな車です
一本道を、いざ、出発 !
一本道を、いざ、出発 !

さて肝心の動物ですが、ここはアルーシャ国立公園。キリンが大勢いるところで、最初からやはりキリンとシマウマの群れに出会いました。しかし小さい。見えない。でもめげない。車はずんずん、国立公園の中を進みます。両脇は木々に覆われ、猿や鳥が見え隠れしています。

まずはヒヒとご対面、ちょっと遠いけど
まずはヒヒとご対面、ちょっと遠いけど
ちっこくて見えづらいけれど、シマウマとキリンが群れています
ちっこくて見えづらいけれど、シマウマとキリンが群れています
木の上にはおさるさん
木の上にはおさるさん

自然の中にいることが普通になっていて、自分が埃っぽいとか、細かいところが薄汚れているとか、正直どうでも良くなってきます。それよりもこの、視界を埋める自然の色と、土と緑の匂いがまざった風と、そんなものたちを惜しむように全身で受け止めたい気持ちが勝ってきます。キリンが近くに見えたときには感動。どこをどう切り取っても絵になるなんて、そうそうあることじゃないです。キリンの他には、カバ、ブッシュバック、カンムリヅルなどを見ました。フラミンゴの群れはお出かけ中とのことで見られなくて残念。そして動物だけではなく、タンザニアで二番目に高いというメルー山の美しい姿も見る事ができました。ちなみに私たちがキリマンジャロでずっと飲みまくっていたお水は、メルー山ウォーターだったそうです。本当にお世話なりましたよ〜。

これぞアフリカの大草原
これぞアフリカの大草原。奥はキリマンジャロだよー
タンザニアで二番目に高いメルー山。ああいつかあそこにも・・・
タンザニアで二番目に高いメルー山。ああいつかあそこにも・・・
この白い部分が針のように鋭い不思議な様相の木
この白い部分が針のように鋭い不思議な様相の木
またキリンの群れがいましたよ
またキリンの群れがいましたよ
一人はぐれてさすらっていたキリン
一人はぐれてさすらっていたキリン
つがいのキリン
つがいのキリン
と、その子供 ! ちっこい!
と、その子供 ! ちっこい!
フラミンゴはお出かけ中だった。普段はここで群れが見られるそう。残念
フラミンゴはお出かけ中だった。普段はここで群れが見られるそう。残念
またしてもキリンの群れが!
またしてもキリンの群れが!
ブッシュバックが佇んでいます
ブッシュバックが佇んでいます
水面に顔を出しているのはカバ。ものすんごい凶暴なんだそうな
水面に顔を出しているのはカバ。ものすんごい凶暴なんだそうな
今回最も絵になったで賞のキリンのつがい
今回最も絵になったで賞のキリンのつがい

さて、サファリは数時間で終了。なぜなら空港に向かわねばならないからです。まずはホテルに戻ってランチを食べることに。実はこの日、ランチボックスを持ってサファリで食べるはずだったのですが、なんとホテルのキッチン担当が寝坊したとかで、ランチボックスが間に合わなかったのです! 外で食べるごはんもよかったのですが、ホテルで結構豪華なランチを食べられたので、かえってラッキーだったかもしれません?! どちらにせよ、登頂を果たした仲間との、アフリカでの残りわずかなご飯ですから、どこで何を食べても満足です。

ご飯を終えたらいよいよ空港へと向かいます。
私は荷物のパッキングがあまり上手じゃないので、予備のバッグと二つに荷物が分かれてしまいましたが、どちらも思い切って預けてしまったので、登頂時と同じサブバッグひとつという身軽なかんじで非常に快適。震災などがあって、もしもの時のためにの荷物を持たざるを得ない反面、やっぱり手ぶらな生き方っていいな! と思う数日間でした。カウンターで荷物を預けていると、突然、天井の灯りが消えました。停電です。でも職員の方々は慣れたもので、ああまたか、という雰囲気でした。そしてなぜか、入国時に記載して提出したカードをもう一度記入し、出国カウンターへ。そしてなぜかここでも、入国時に一度とった指紋をもう一度取られました。タンザニアの入出国管理の仕組みがまったく理解できないまま、この國を後にします。

搭乗まで少し時間があったので、お土産を見繕いました。お店はいくつかあって、品揃えも似ているのですが、なぜかひとつの店舗にみんな集まってしまいます。ちょっと不思議なのですが、よくよく考えてみると、間口がそこそこ広くて、店の中全体が外から見渡せて、品揃えが豊富で一通りなんでもそろっていそうなお店です。そして誰かが入っていると安心して足を踏み入れられるという、相乗効果も生まれています。お店の店員さんも、あまりお客さんに構うことなく、のんびりしているところもよく。みんなここで、Tシャツ、雑貨、CD、マグネットなどを購入。親しいお友達に対するお土産選びは楽しいものてずが、ここらへんでだんだん、日本に残してきた義理も思い出してきて、あああのへんにも買っていかねばとか、なんだかリハビリさせられているような気分になります。

そしていよいよ搭乗時間です。キリマンジャロ→ドーハ便は、タンザニアのリゾート地ザンジバルを経由するため、ビーチリゾートファッションの老若男女が沢山載っていました。登山服にサファリで埃まみれになっている我々とはえらい違いです。隣にはえらく肉付きのよい、お金持ちそうな、中欧ぽい顔立ちのご夫婦。斜め後ろには生成りの衣装をつけたイスラムのエラい人っぽい3人組。かと思えば、ジャージですよねそれ? という格好の(でも顔がちっちゃくてスタイル良いから様になっている!)のカップルも。それぞれがザンジバルで降りていきました。
私たちはそのままドーハまで。そしてドーハでは短いトランジットを経て、一路東京羽田まで帰国の途に着きました。

ああ、なんというエキサイティングな日々だったんでしょう! もう一生忘れられない旅になりました。私たちを安全に、楽しく率いてくれた隊長ならびにガイド・ポーターの皆様には感謝しかありません。この思い出があればこそ、乗り越えられることも今後たくさんあることでしょう!

#19(最終回) 持ち物いろいろ

【キリマンジャロに登ってきた】#17 アルーシャへ移動

山→セレモニー→昼食後、ガイドも一緒にバスに乗り込み、まずは初日に泊まったホテルに向かいました。そこで預けてあった荷物をピックアツプし、今夜の宿泊先であるアルーシャの町に向かいます。
荷物はすべてバスの屋上に載せるので、ガイドやポーターに上げ下ろしをしてもらう必要があるのと、皆、アルーシャに住んでいるからです。

これは私たちのバスではないが、日本の旅館バスだった!
これは私たちのバスではないが、日本の旅館バスだった!

私は一番後ろの席だったのですが、座っているガイドたちの後ろ頭の形の良さにしびれました。みんな短髪なのですが、後頭部が出っ張っていて、完璧な形! 凹凸が少ない日本顔に加え、後ろ頭が超絶壁の私から見ると、ほんとうにホレボレするほど。絶景とはまさにこのことです。下山で面倒になって写真に残しておかなかったのが悔やまれるほどです。

またこんな風景の中をバスは走ります
またこんな風景の中をバスは走ります

バスの中では、隣の男子のケータイに何度も電話がかかってきて、彼女じゃないの? と冷やかしたり、ピーナッツを食べていたらみんなが床に殻を捨てるのでどーすんのこれ、と笑ったり。窓の外の風景も見過ごせなく、居眠りをするヒマもありませんでした。おまけに夕方、日本時間で年が明けたと隊長が教えてくれて、盛り上がる日本勢。キョトンとするアフリカ勢。そして事の次第を共有して、あらためて全員でハピニューイヤー! と祝ってみたり。ヘットヘトに疲れているのに、やけにテンションの高い車内でした。

ぼけぼけだけど、日本時間でのニューイヤー記念に撮った写真。夕日の時刻
ぼけぼけだけど、日本時間でのニューイヤー記念に撮った写真。夕日の時刻

立ち寄ったスーパーマーケットでお土産を購入。キリマンジャロコーヒーや紅茶が主流で、お菓子はヨーロッパや中東からの輸入品が主流。かろうじて南アフリカのビスケットがあったくらい。時間もあまりなかったので、パパっと購入。このスーパーはクレジットカードが使えたので、タンザニアでは一切両替をしませんでした。ただし、レジでカードは切れず、出してもらったレシートをカウンターに持って行ってカード処理をしてもらい、またレジに持って帰って商品を受け取る仕組み。久しぶりの消費活動は戸惑う事多しでした。

モシの町にあるスーパーマーケット。いきなり都会で戸惑う
モシの町にあるスーパーマーケット。いきなり都会で戸惑う
コーヒーや紅茶、ビスケットを購入
コーヒーや紅茶、ビスケットを購入

バスは再びアルーシャの町へと走ります。ここらへんから、道路が舗装されていないところが多く、窓を開けていると埃まみれになり、喉をやられました。私の前の席の方がすぐに窓を閉めてくれたので事なきを得ましたが、こういうときに、舗装道路で土がなくなるのを嘆く気持ちと、舗装されていない道の埃で健康を害するのは、背中合わせと気づかされます。こういうことを実感するのも、旅に出る意義というものです。

もう日がとっぷりと暮れ、疲労もピークに達する頃に、アルーシャのホテルに到着しました。ホテルの周りは、まさかここにホテルがあるとは思わないような、掘建て小屋が並ぶエリアでしたが、ちょっと奥まったところにあったのが、ヴィラタイプの広いホテルが出現します。
車から荷物を降ろしてもらって、ガイドとはここでさよなら。本当に何から何までお世話になりっぱなしでした。

まずはお部屋を案内してもらいます。広く、灯りが少ない敷地内に点在するヴィラは、山小屋ライフを満喫したばかりの私たちにはまばゆいばかり。お部屋は広く、天蓋つきのお姫様ベッド、ホットシャワー、広い鏡とアメニティ、なんとも文明のかぐわしい文明の香りです。6日間は乾燥していたので、汗も匂いもほとんど気にならなかったのですが、さすがに下界は気温が高く、汗もかいたので、まずは何よりも、シャワーへ。ホットシャワーのはずでしたが、実際にはぬるーいシャワーでした。しかしそれでも、服も着替えて気分はさっぱりです。

こんな豪奢なホテル。天蓋付きのベッドが !
こんな豪奢なホテル。天蓋付きのベッドが !
数時間しか滞在しないのがもったいない・・・
数時間しか滞在しないのがもったいない・・・

実はこの日、日本出発前からの計画実行の日だったのです。というのも、パーティの中に新婚さんがいまして、今回がなんと新婚旅行にあたるのだそう。という話を、出発前の打ち合わせで旦那様からお聞きし(奥様は欠席)、サプライズでお祝いしようと画策していたのでした。隊長はケーキや何やらを用意してくれ、私はクラッカーが飛行機に持ち込めないので、代わりの蜘蛛の巣テープをアマゾンで調達。サプライズをいつやるかが最初は決まっていなかったので、登山中もずっと鞄に忍ばせていたのでした。さあ楽しみ。新婚さん以外は10分前に集合です。ディナーは庭で、カウントダウンパーティに参加する形となりました。そして私たちのテーブルには、新婚さん用のどでかいケーキと、おのおのにはクラッカーが! せっかくなので蜘蛛の巣テープも有志に渡し、併用することに。これが大成功で、新婚さんがテーブルについたとたん、ハッピーウェディング〜のかけ声とともに
パンパン! とクラッカーがなる中、投げられた蜘蛛の巣テープからは色とりどりの紙テープが流れ、非常に豪華な始まりとなりました!

ホテルが用意してくれた豪華なケーキ。フルーツたんまりで甘くて美味しかった
ホテルが用意してくれた豪華なケーキ。フルーツたんまりで甘くて美味しかった

お食事はビュッフェで、お肉を焼いてもらったり、色々な野菜やフルーツをたくさん食べました。お庭の真ん中では、マサイダンスやファイアーダンス、アクロバットなど様々な催しが行われています。アフリカで年越しなんて、まったく想像していない未来でした。新婚さんのおかげでアフリカのケーキも食べました。これがまた、クリームもボリュームもたっぷりでしたが、濃厚で美味しかった! テーブルにはそれぞれプレゼントの包みがあり、私のところには、木彫りとビーズでできたネックレスが置いてありました。

こんなかわいいネックレスをいただきました
こんなかわいいネックレスをいただきました

そしてほどなくして、カウントダウン! まさかアフリカで新年を迎える日が来るとは、夢にも思いませんでした!
カウントダウンにあわせて、そこらじゅうに置かれた風船が割られるのですが、これがまたアナログで面白かった。勢い良く連続で、とはいかず、ひとつひとつを不器用気味に割っていくので、まばらに割れていくばかりでいつまでも終わらず。そんな中、ダンス大会が始まりました。同じアホなら踊らにゃソン! ということで、生まれた時からリズム感が備わっているようなアフリカ勢に混じって、いまひとつリズムに乗り切れない日本勢もノリで参加! 2016年の幕開けは、アフリカ人とダンスでスタートよ!

スリムなコーラとキリマンジャロビール!
スリムなコーラとキリマンジャロビール!

しかしやはり、このシチュエーションに慣れず、引け際がつかめない日本人。シャワーを浴びてきたにも関わらず汗だくのクタクタで、止められないダンスを体力の限界で止めたとき、アフリカ人たちも一緒にダンスを止めたので、どうやら最後のほうは私たちにつきあってくれていたようです。トホホ。
ダンスを終えてみんなで部屋に戻ると既に1時過ぎ。そこからもう一度シャワーを浴び、パッキングをして、6日ぶりのフカフカのベッドに身体を横たえましたが、な、なんと、ちっとも眠れません。ダンスで興奮してしまったか、それとも固い山小屋のベッドに寝袋でないと眠られない身体になってしまったか。まんじりとしないまま夜明けを迎え、寝るのを諦めて、途切れがちなWifiでネットを覗いたり、実家に電話したりで朝を迎えました。

私のお誕生日祝いではじまり、新婚さんのお祝いで終わるという幸福
私のお誕生日祝いではじまり、新婚さんのお祝いで終わるという幸福

#18 Day7 サファリ〜帰国へ
#19(最終回) 持ち物いろいろ

【キリマンジャロに登ってきた】#16 Day6 さらばキリマンジャロ

登頂アタック後の熟睡から明け、とってもすっきりした目覚めでした。朝方、咳してたよ大丈夫? と同室の方に言われましたが、ちょっと埃を吸ったのかもしれません。しかし、実に日本出発以後はじめて、夜中にトイレに通わない夜でした。そう、既に高度を下げているので、お水を大量に飲まなくても良くなったためです。

ハットの朝もこれが最後。マウェンジ峰が名残惜しい
ハットの朝もこれが最後。マウェンジ峰が名残惜しい

洗面器のお湯を運んでもらうのも、本日が最後です。小枝や砂が入っていても気にしない体質が出来上がっています。そして、新年を頂上で迎えようとする人たちでごったがえすホロンボハット、私たちは朝食を食べたら下山の準備に入ります。

たくさんの登山者、ガイド、ポーターでごったがえすホロンボハット
たくさんの登山者、ガイド、ポーターでごったがえすホロンボハット

アミノバイタルをきちんと飲み続けていたためか、筋肉痛はほとんど感じませんでした。私は下山が大の苦手。キナバルの時も、最後まで下れないんじゃないかと思うほど足か痛くなり、アグン山の下りでは、足が着地しても膝がバウンドしない状態になり、この時はガイドと二人きりだったので泣きそうになりました。富士山の下山でさえも、膝がカクカクしていたことを思い出します。登頂アタック&引き返しの翌日であるこの日も、ゆるやかとはいえ、かなりの長い下りとなるため、日本から用意してきた膝サポータを装着しました。これがかなり良い働きをして、膝が最後までしっかりしていただけではなく、翌日以後もほとんど筋肉痛がない状態に! また今回は、はじめてストックも2本刺しで使っていたので、それも良かった! 道具は活用するが勝ちですね!

看板の裏側は、帰路の距離と時間が書いてあります。時間はあまりアテになりません
看板の裏側は、帰路の距離と時間が書いてあります。時間はあまりアテになりません

名残惜しくも、何度も何度もキリマンジャロ頂上が見える限り、振り返り写真を撮りながら、数日前に登ってきた道を下ります。この日、一緒に登頂したガイドさんがずっと一緒だったのですが、みなさん急に薄着になったため、なんとなく個人の認識ができない状態に。あんなにお世話になっておきながら、私はNさんを見ても「あれ? この人Nさんだっけ???」なんて思ってしまう始末です。他のメンバーも、他のガイドに対して同じような発言をしていたので、私の記憶力低下だけが原因ではないはず! やっぱりアタックの時はかなり着膨れていたのと、頭や首に巻物などをしていたので、それらがなくなるとパターン認識ができなくなるという体験です。あんなにお世話になっておきながら、我ながら薄情なものですスミマセン。

往路は小雨が降っていた道。この日は雲があるものの、景色が見渡せる
往路は小雨が降っていた道。この日は雲があるものの、景色が見渡せる

うっすら下界が見えます
うっすら下界が見えます
あっという間に小さくなるマウェンジ峰。あれを超す高さに行ったんだなー
あっという間に小さくなるマウェンジ峰。あれを超す高さに行ったんだなー
山頂もあんなに小さく! あの上に登ったんだな〜
山頂もあんなに小さく! あの上に登ったんだな〜

この時、全員共通して、下山したら一番先に飲みたいものはコーラでした。普段コーラなんてあまり飲まない私も、やっぱりコーラでした。ちなみにキナバル山に登ったときも、下山後にはコーラが飲みたくなったし、なんだかシュワシュワしたものが欲しくなります。そしてビールよりもコーラ。糖分を欲するからでしょうか? ちなみに私たちが辿ったルートはマラングルーと言うのですが、通称「コカコーラルート」と言うそうです。ゲートの売店にコーラが売っているからなのだとか。

辺りはすっかり緑。往路で出会った花にも再会
辺りはすっかり緑。往路で出会った花にも再会

休憩ポイントで雪をかぶる山頂が最後に見えた! 
休憩ポイントで雪をかぶる山頂が最後に見えた! 
ほどなくして、あのジャングル地帯に
ほどなくして、あのジャングル地帯に

そして下りきり、マラングゲートに到着です!! ああ無事登頂できてよかった。無事に戻れてよかった。本当に楽しい6日間の登山だった。ゲートで記念撮影をして、帰着を祝いました。そして一目散に、売店でコーラ! です。コーラは1US$でした。登山前に世間話をした売店のおねえさんとも再会できて、登頂を報告できました。

ゲートに到着。WELCOME AGAINって書いてあるの!
ゲートに到着。WELCOME AGAINって書いてあるの!

看板にも祝われた
看板にも祝われた

さて下山後、コーラを飲んだら、広場に集合。一緒に登ったガイドやポーターたちが一同に介して、登頂後のセレモニーが始まります。まずは輪になったところで、ガイドやポーターたちが、歌い踊ります。曲は「Jambo Bwana」。スワヒリ語圏の愛唱歌だそうですが、歌詞にキリマンジャロとか、各ハットや頂上ポイントの名前が入っていて、男衆が集団で足を踏みならしながら歌うそれは、大迫力。後にCDを買い求めようとする人と一緒に、お店で聞かせてもらうと、なんともトロピカルな軽い感じで、ここで聞いた曲とはえらい違いでした。
このセレモニーの歌は、帰国後に音源を取り出して、ipodに入れて楽しんでおります。私たちだけのための歌ですから、すごい贅沢!

こんな大勢の人たちと一緒に歌い、踊る
こんな大勢の人たちと一緒に歌い、踊る

歌い、踊る
歌い、踊る
踊る私。Nさんが後ろで笑っている・・・
踊る私。Nさんが後ろで笑っている・・・

歌が終わると、隊長のスピーチで、ガイドやポーターの功績をたたえます。また来年も一緒に働こうというところでは、拍手が起きました。
すごくいいなと思うのが、隊長とガイドが主従ではなく信頼関係で固く結ばれていて、隊長の仕事が「キリマンジャロのガイド」だけではなく、タンザニアのガイドたちのモチベーションを作ることにも繋がっているということ。我々ゲストとガイドも、お互いの目的がはっきり合致して、ガイドがそこだけに集中して全力を尽くしてくれていたこと。ガイドは私たちが安全に登頂できることをサポートするのが仕事で、彼らのホスピタリティもすべてその目的のために費やされます。仕組みがシンプルで、はっきりしていて、必要なことが実践されている。普段の私の仕事(デジタルの色々)を翻ってみると、間接サービスというか、エンドユーザの顔が見えなかったり、本質的な目的に対して、お金の事情、会社の事情、人の事情などが複雑に絡んで、あるべきこと・すべきことがストレートに実現されない、ということが多くなっています。このシンプルな仕組みがうらやましく、帰国後しばらく(今も?)、「デジタルなんてどうでも良い病」
にかかってしまいした。あーあー

登頂証明書も授与してもらいました!
登頂証明書も授与してもらいました!

スピーチの後は、ガイドやポーター、コックなど、職域別に、ギャラを渡す会となりました。ギャラの内訳で言うと、チップの割合が多く、この6日間の働きに準じて加算され、さらに私たちがお世話になった方へ加算していきます。このあたりのお話は、下山中のホロンボハットで、隊長から説明してもらいました。こういうことが、はっきりと、支払う私たちに開示されるのって、考えてみれば当然のことかもしれませんが、普通はないですよね。私たちは航空券も含めて一括手配を依頼している側に支払ったら、その先で何に使われているなんてわかり得ない。しかし今回は、お世話になった方々にどれだけ分配されるのかをちゃんと説明してもらいました。そして、私たちがしてもらったことに対して、この国の基準ではいくらに相当するのかをアドバイスしてもらい、それを気持ちで加算する。私は、次にまた来た人に、彼らが気持ちよくサポートをしてくれれば良いな、という気持ちで、Nさんにチップを支払いました。

ポーターやガイドはギャラを受け取ると、私たち一人一人に握手やハグをしてまわります。3人のコックが2人しかいないので、なぜかと聞けば、1人は私たちがこの後食べる昼食を作っているとのこと! 申し訳なく、ありがたく。コックと言っても見かけは普通の若いお兄ちゃん。ポーターたちもニコニコしたお兄ちゃんたち。この人たちなくしては、私たちは無事に戻ってくることもできなかったはずです。

セレモニーはもう一度、みんな歌って終わり。美味しい昼食をいただき、休憩してから、ガイドたちも一緒にバスに乗り込みます。補助席までぎゅうぎゅう詰めの楽しいバスで、初日のホテルに荷物をピックアップした後、アルーシャの町へと向かいました。

コックさんが作ってくれた最後の昼食。ありがたく、美味しかった!
コックさんが作ってくれた最後の昼食。ありがたく、美味しかった!

#17 アルーシャへ移動
#18 Day7 サファリ〜帰国へ
#19(最終回) 持ち物いろいろ

【キリマンジャロに登ってきた】#15 Day5 頂上からのハードな下山

さて、ウフルピーク5895mは、酸素が地上の半分で、気温もマイナス10度以下なので、長居は禁物です。しかし風がなかったこと、コンデションがよかったことから、なんとしてでもパーティ全員で写真が撮りたいと、1時間ほどを過ごしました。そして、名残惜しいけれど、下山の時間です。

写真は暗いけど、テンション高いのがわかるショット
写真は暗いけど、テンション高いのがわかるショット

ガイドたちは、好きずきに歩き出す私たちをちゃんと見て、塊ごとに分かれてついてくれています。
登りほどではないですが、道は完全な下りだけではないのと、それなりに体力が低下してきているので、普段よりもシンドイです。頭はハイになってるので楽しさでいっぱいなのですが、息はキレるし、氷の上を歩くし、やや思いどおりには足が動きません。これから登ってくれる人もたくさんいて、almost there! と励ますも、登りの人たちに返事をする余裕はありません。私たちも登っているときは、下山者の励ましの声援には心の中でしか応えられなかったもんね。

登りの途中の自分。顔が隠れているので表情はわかりませんが・・・苦しかった
登りの途中の自分。顔が隠れているので表情はわかりませんが・・・苦しかった

太陽が登りきっているので、超厚着+カイロを7つも貼っている私は、だんだん暑くなってきます。そこでスタッフバッグの出番です。途中でダウンベストとインナーダウンを脱ぎ、袋に入れてナップザックのよう背負います。また、さすがにトイレにも行きたくなったので、岩陰で用を済ませました。記念すべきキリマンジャロ頂上での野外トイレです。

天空の白い砂漠といった風情の頂上から見えたメルー山
天空の白い砂漠といった風情の頂上から見えたメルー山

ちなみに頂上の真ん中にはぽっかりクレーターがあって、雪が積もっています。なんと、そこにテントを貼って宿泊する強者もいるとか。どんな風景が見られるのか、真夜中の頂上や氷河はどんなか、思いを馳せます。なんて余裕はちょっとしかなくて、足を滑らせてクレーターに落ちないよう気をつけて歩きます。

下りはじめはこんな感じ
下りはじめはこんな感じ

雪が少しずつ少なくなってきます
雪が少しずつ少なくなってきます

一度通った道は近く感じるもので、ステラポイント、ギルマンズポイントと順調に戻りました。途中何度か休憩を取りながらですが、意外とスムーズに下山できそう、と余裕をかましていましたが、問題はここからです。

ギルマンズポイントふたたび。ここでしばし休憩をした
ギルマンズポイントふたたび。ここでしばし休憩をした

登るときは、斜面をギザギザに登ってくるのですが、下山は斜面をそのまま直滑降で歩くのです。歩くというか、富士山の砂走りに行ったことがある方ならそれを想像していただければよいのですが、踏みしめられない角度の斜面ですから、左右の足を順番に砂にまかせてザザーっ、ザザーっとスケートのように降りていく方式です。
これがまたすごくて。
途中岩がゴツゴツしているので、上手く足を動かさないと足先が激突してしまいます。また、この体力低下状態ですから、足がうまくリズミカルに動くわけはない。へっぴり腰でもゆっくり行こうと考え、落ち着いて足を交互に出していたら、むんずと左腕を何者かにつかまれ、肩を持ち上げられました。びっくりして横を見ると、Nさんが私の横にぴったりくっついて、二人三脚の姿勢をとっています。

小さく人が写っていて、その先に緑屋根のハットが見えます。
小さく人が写っていて、その先に緑屋根のハットが見えます。

後で聞いた話ですが、このように二人三脚で足を運ばせてガイドが下山をサポートするのは、キリマンジャロではスタンダードな方法なのだそうです。もちろん、一人でスピーディーに降りられる人は放っておかれますが、私のようにゆっくり行こうとすると、すぐにサポートが入ります。ここでゆっくりしているほど酸素は濃くないし、第一転んで怪我なんて許される場所ではありません。Nさんは私の倍くらいのスピードで、足を滑らせます。ひー速い! と思いましたが、ちゃんと細かい岩に私の足があたらないようにコントロールしてくれています。さすがプロ!

下山後の一枚。Nさんもこの時ばかりは疲れていた。ありがとう
下山後の一枚。Nさんもこの時ばかりは疲れていた。ありがとう

とはいえ、1000m近くの距離をその調子で降りていくのは非常に苦しく、またまだ酸素が足りない場所なので、少し下がると「Moment! 」と言って休憩を取らせてもらいます。じゃないと息がぜーぜーに切れます。自分で運動している自覚はないのですが、Nさんと足を出して下ると、ほんのわずかな距離で肺が苦しくなってきます。やはりここは、人が長くいては行けない場所です。

しかも、周囲に何もないものですから、山小屋は常に見えているんです。見えるのに、全然到着しない。すぐそこにありそうなのに、ちっとも近づかない。この約1000mの砂走りが、永久に続くんかい、と思ってしまうほどの長さでした。また、砂走りが終わっても、こんどは砂利まじりの道をえんえん下ります。ほんとに見えているのに! 着かない!

そしてやっと、キボハットに到着。下では、キッチンボーイがパイナップルジュースを持って待っていました! 私たちが降りていくと、コップにジュースを注いで渡してくれます。このジュースの美味しかったことといったら! そんなにキンキンに冷えているわけでもなく、水場のないハットだからコップも決してきれいではなかったと思うけど、そんなの関係ねえ! 一生忘れられない! またポーターの一人が、ブラシを持って、砂だらけになった足下をパッパッしてくれました。本当にありがたい。

ハットの部屋に入ると、先に着いていたパーティの人たちとも再会を喜び合いました。みんな元気でなにより。しかし我々は本日ここに泊まれるわけではなく、もう一つ下、3720mのところにあるホロンボハットまで下山しなくてはならないのです。
なので、置いてあった荷物を片付けて、食堂でお昼ご飯を食べたらまたすぐに出発しなければならない。意外と元気だよね、なんて言いながら食堂へと向かいました。
だがしかし。
いつものようにスープと煮込みとごはん、パンが出てきたのですが、私を含めてほとんどのメンバーが食事に手をつけられず。目は欲しているのでお皿には取るのですが、一口食べたらもう食べられない。これは、本当に疲労困憊した証拠です。本当だったら、このまま横になりたいところですが、そうも行かず、食事を取らないまま出発となりました。

また行きと同じ道を戻る。忘れないように目にやきつける
また行きと同じ道を戻る。忘れないように目にやきつける

ここからがまた長い道のりです。来た道を戻るとはいえ、風景は相変わらず素晴らしいので、飽きずに歩くことができましたが、休憩の回数は結構多かったと思います。4000mくらいまでは、風景を名残惜しみながら話しながら歩きましたが、いつまでたっても到着しない。次第に口をきくのも苦痛になり、無言でひたすら歩きました。足下も、砂の道からだんだん砂利が多くなり、疲労がたまった足にはつらい感触です。

ほんと〜に長かった下り・・
ほんと〜に長かった下り・・

そして夕方16時過ぎ。ようやくホロンボハットに到着しました! 行動開始が夜中の0時だったのですから、本日の行動時間は実に16時間。ほとんど歩きっぱなしです。もう、よくがんばりましたよね!

ハット到着が12月30日だったので、キリマンジャロ頂上で新年を迎えようという人たちでごった返していました。そのため、小屋の割当がなかなか決まらず、しばらく外で座って待ちました。もう登頂してきた私たちには、残されたお仕事は本日寝る事、そして明日、麓まで下ることだけです。

小屋は、行きで泊まったキッチン上の広いスペースではなく、6人用の狭い小屋でした。よって、この日ははじめて男女別になりました。すきま風も入り、ベッドもやや祖末ですが、もうどうってことないです。この日の夕食、私は空腹を感じてきて、少しずつ食べられるようになっていました。しかし量は入りません。メンバーも同じような感じでした。ここで持参したインスタントみそ汁などを分け合って飲みました。ここまで疲れると、やっぱり欲しくなったのは日本の味でした。どんなに海外に居続けても、日本食が食べたいなんて思ったことはなかったのに、みそ汁を口にしたとたん、あーーーーと声が出ました。

食事が終わったらトイレに寄って小屋に向かいましたが、キッチン棟から離れると灯りが少ないし、同じような小屋がたくさんあるし、小屋の番号が順番に並んでないしで、道に迷い、このまま戻れないんじゃないかと危惧しました。なんとか無事戻って、ベッドに滑り込んだところ、同じ部屋のメンバーが戻ってくるとき、Nさんに引率してもらったそうです。Nさんは、自分も疲れているのに(下山後一緒に写真をとったりしたけど、疲れていたようで反応が薄かった)、我々がちゃんと小屋を見つけられるように見張ってくれていたのです。隊長からの指令だったそうですが、なんともすばらしいホスピタリティです。
私はこの夜、キリマンジャロに入ってはじめて、トイレにも行かず目もさまさず8時間以上朝まで爆睡しました。

全員、無事登頂できて嬉しい、という気持ちを噛み締めて眠る贅沢
全員、無事登頂できて嬉しい、という気持ちを噛み締めて眠る贅沢

#16 Day6 さらばキリマンジャロ
#17 アルーシャへ移動
#18 Day7 サファリ〜帰国へ
#19(最終回) 持ち物いろいろ

【安達太良山に登ってきた】超レアな無風の雪山山頂へ

安達太良山に登ってきました。今年2度目の雪山登山です。(トレッキングも含めると3回目)

まるでどこかの星のような雪原
まるでどこかの星のような雪原

3月11日は五年前に震災があった日。私はその同じ年に、手術を要する病気をしたので、大きな意味をもった登山ではなくも、歩きながら静かに、自然に、色々なことを思い出す日となりました。とてもナチュラルな形で、この日を過ごせたような気がします。

空を見上げて太陽を感じながら、色々なことを思い出しました
空を見上げて太陽を感じながら、色々なことを思い出しました

まずは7時半に都内出発。その週は、月曜日に日帰り出張、火曜日はライブに出かけ、水・木は月曜日のまとめと前の週から持ち越した仕事とで深夜作業となり、ジェットコースターのような日々でした。なので開放感もひとしお。バスの中でうとうとしながら、二本松に向かいます。

私は実家が東北にあるので、帰省のルートということもあり、それほど遠くに出かける印象はなかったけれど、同行の東京の人たちにとっては大遠征のよう。私にはなじみ深い東北名物のお土産を珍しそうに見ている姿を眺めると、ものごとの距離感てやっぱり主観でどうにでもなるんだなーと思ったりしました。(ちょうと、じゃんぽ〜る西さんのフランスの漫画を読んでいて、人との距離感について考えているところだったりもして)

安達太良山の登山は、スキー場から始まります。今回は安全のためにヘルメットを装着。靴もレインウェアも借り物で済ましたため、後で写真を見ても一瞬自分だと自覚できません。

すべてを借り物で済ませたため、見慣れない自分がここにいます
すべてを借り物で済ませたため、見慣れない自分がここにいます

スキー場からは、軽めの音楽が流れていますが、歩いているうちにそれがだんだん小さくなっていくと、山に分け入った自覚が出てます。世俗から離れたところに入り込む感覚が、なんともいえず今週の忙しい日々からの逃亡にも重なります(笑)。

すばらしいスキー日和でもあります
すばらしいスキー日和でもあります

雪はさらさらなので、アイゼンは装着せず。しばらくの間、雪の坂道を登ります。安達太良山は風が強いことで有名だそうですが、なんと無風&快晴。頭上には冴えた青空が広がっていて、非常に気持ち良い。かつ、歩いていると暑くなり、途中で服を脱ぎました。あったかインナーとメリノウール、その上にレインジャケットのみという軽装です。ヘルメットの下のフリースの帽子やネックウォーマーも外して、これでやっと涼しくなったわ〜なんて、お天気のおかげて余裕の雪山登山です。

快晴の雪山は気持ち良い!
快晴の雪山は気持ち良い!

坂を上りきるとこんどは平坦な道が続きます。遠くに、安達太良山の頂上「乳首」が見えました! 雪山登山は厳しく危険だけれど、こんな景色を見ちゃったらやめられないよなーと思わせられます。はい、ワタクシは、インドには一人で出かけても、高い山には一人で出かけませんのでご安心を。(生命保険には入らないけどアウトドア保険にも入っているよ)

奥に、通称「乳首」が見えるの、わかりますか?
奥に、通称「乳首」が見えるの、わかりますか?

そして雪の中をしばらくトラバース。斜面をゆっくり横断していきます。一歩横に足を滑らせたら転がり落ちそうですが、岩もないのところなので落ちても雪に埋まるだけ。とはいえ落ちるとそれはそれで面倒なので、慎重に足を運びます。

軽いトラバースなので写真をとる余裕もある
軽いトラバースなので写真をとる余裕もある

しばらくすると、本日の宿、くろがね小屋が見えてきました!

くろがね小屋が見えてきました
くろがね小屋が見えてきました

山の中に突然出現する小屋
山の中に突然出現する小屋

くろがね小屋は、これまで泊まったどの山小屋とも違う、物語に出てくるような感じの「山小屋」。一階がダイニングで二階がお部屋。真ん中が吹き抜けて、お部屋も扉や壁はなく、非常に開放感のある雰囲気。そしてなんと、温泉付き! この温泉、濁っていてぬるぬるで、湯の花がたくさん身体につくタイプの、塩分入りの強いお湯。歩いてぽかぽかしているとはいえ、気温は低いので身体はすぐに冷えてきますが、この温泉に入るとしばらくは身体が温かいままキープできます。安達太良山はふもとに岳温泉という温泉街がありますが、この山のお湯を引いているとのことで、下で入ると薄まっていると聞きました。5、6人でいっぱいになる湯船だけで、洗い場はなし。硫黄の匂いが翌日も身体からするくらいに、十分堪能しました。

くろがね小屋の吹き抜け
くろがね小屋の吹き抜け

夜になるとこんな感じで雰囲気◎
夜になるとこんな感じで雰囲気◎

夕食はカレーライス。野菜がゴロゴロ入っていて、美味しい! もちろんおかわりしましたぜ。夕食のあとはお風呂にもう一度入ったり、ダイニングで語らったり。お誕生日の方がいらっしゃったので、ケーキでお祝いもしました! 8時頃には部屋に戻って布団に入ると、私はそこから翌朝の5時まで熟睡。実に週の寝不足を取り戻す爆睡。山に行き始めは、山小屋の雑魚寝で、周囲の音(いびきや鼻をすする音)が気になってほとんど眠れない・・・というデリケートなところがあったのですが、今や耳栓とアイマスクさえあればどこでも熟睡できる身体に成長しました。自分がサバイバル的にランクアップしていくのは快感です。

夕飯はカレーライス。おかわり自由!
夕飯はカレーライス。おかわり自由!

だるまストーブのそばで語らう時間
だるまストーブのそばで語らう時間

夜に外へ出てみたら、月も星もなく、空に雲が広がっていたのですが、朝方は晴れて星が出ていたそう。熟睡したおかげで見逃してしまいました。が、朝日が山の間から登るところはばっちり見えました! 雪に太陽が映り込んで染まっていく様子は、なんとも言えない神懸かり的な美しさです。

星は見えないけれど、素晴らしいブルー
星は見えないけれど、素晴らしいブルー

こういうオレンジの灯りは本当にほっとする
こういうオレンジの灯りは本当にほっとする
夜明け時。山間が染まってきました
夜明け時。山間が染まってきました
どんどんオレンジが広がって
どんどんオレンジが広がって
正面の雪にも太陽が反射して。神が降りてきたようだ
正面の雪にも太陽が反射して。神が降りてきたようだ

朝ご飯もちゃんと食べて、支度してさあ山頂に向けて出発です。夜の間だけ曇っていたようで、なんと二日目も快晴。雲ひとつない青空の下、雪山を登っていきます。なんかもう、違う星にいるようだ。キリマンジャロのときにも思ったけれど、日本の雪山も、また違った異界感があります。

気温はマイナス8度。でも体感はそれほどでもない
気温はマイナス8度。でも体感はそれほどでもない

太陽か登りきったとこ
太陽か登りきったとこ
美しくて見とれちゃう
美しくて見とれちゃう
遠くから見ると、すごいところ歩いてると感じる
遠くから見ると、すごいところ歩いてると感じる

雪の中を登り、トラバース。今度の斜面はけっこうきつくて、注意が必要ですが、天気のおかげで先が見渡せるから安心して歩けます。ここで吹雪やホワイトアウトしたら本当に危険。ましてや単独だったらと、想像するだけでちびりそうです。

目に入るのはこんな景色ばかり
目に入るのはこんな景色ばかり

雪で草木が珊瑚のように
雪で草木が珊瑚のように
岩がごろごろ。なんともいえない火星感
岩がごろごろ。なんともいえない火星感
私のイメージする雪山トレーニング
私のイメージする雪山トレーニング
もちろんサングラスなしでは目をやられます
もちろんサングラスなしでは目をやられます

雪の中をどんどん歩き、頂上のふもと?に到着です。ここからは、12爪のアイゼンをはいて歩きます。それほど必要に迫られたわけではないけれど、持って来たのだからせっかくだし履いてみましょうということで。はじめての本格アイゼンをもたもたしながらつけられるのも、快晴ならではです。これが強風・極寒だったら・・・やっぱりちびりそうです。

ブロッコリーような木々
ブロッコリーような木々

小さいけれど、エビのしっぽ発見!
小さいけれど、エビのしっぽ発見!
うんせ、うんせと歩く。標高がそれほど高くないので苦しくはないです
うんせ、うんせと歩く。標高がそれほど高くないので苦しくはないです
天気ならではの雪の風紋が見られます
天気ならではの雪の風紋が見られます
雲なのか雪なのか
雲なのか雪なのか

頂上に登るところだけは急な登りで、足を踏みしめながら登ります。そして頂上! 雪に染まった美しい尾根、稜線が見えます。木々が生えているところはおとぎ話に出てくる景色のよう。ムーミン谷ってこんな感じかと乙女なことを考えました。

頂上から見た山々の屋根
頂上から見た山々の屋根

木々が生えているところはおとぎの国のよう
木々が生えているところはおとぎの国のよう

登りの途中から、遠くに雲が上がってきたのがわかりました。そこに向けて降りていくので、当然途中で何度か霧に包まれました。しかし流れは早く、振り返ると青空が見えているという不思議な風景。智恵子さんが「ほんとうの空」といった空を、十分堪能することができました。ちなみに、「東京には空がないから安達太良に行くわ」と言っても、若者くんたちには「何スカそれ」とキョトンとされる今日この頃。今の教科書には載っていないのでしょうか・・・私の時代には暗唱させられました、高村光太郎の詩。

なだらかな下りも青空が見えると思ったら
なだらかな下りも青空が見えると思ったら

とたんにあたりが真っ白に
とたんにあたりが真っ白に
クリスマスツリーのような木々
クリスマスツリーのような木々
ザ・雪山といった感じの景色
ザ・雪山といった感じの景色
このくらい薄曇りでもまた違った美しさが
このくらい薄曇りでもまた違った美しさが
町を見下ろす。なんとも言えない気分
町を見下ろす。なんとも言えない気分
シャクナゲが葉を折り畳んで春を待っていましたよ
シャクナゲが葉を折り畳んで春を待っていましたよ

下山後は、再びふもとの温泉に。やっぱりお湯は薄かった! でも十分あったまり、スキー場のレストハウスでカツ丼なんか食べちゃって、バスでは爆睡し、渋滞にも巻き込まれずに帰着するという、ハッピー極まりない二日間でした。雪山シーズンは終わりに近づきましたが、今年は雪山デビューを果たせたことが、とっても幸せです。良い仲間に恵まれたことに、本当に感謝です。

【キリマンジャロに登ってきた】#14 Day5 登頂アタック5895mへ

さて、いよいよ登山のクライマックス、登頂アタックの時がやって来ました!!

ウフルピーク(5895m)の山頂標
ウフルピーク(5895m)の山頂標

※登頂アタックの深夜だったため、夜明けまでは写真がありません。後半に素晴らしい風景をたくさん載せてあります!

まずは夕食まで、キボハットで準備をします。隊長のアドバイスは以下の3点。
・アタック時は非常に寒く、高度もかなり上がるので、防寒はしっかりと。しかし帰路太陽が登ると暑くなってくるので、着脱可能な着方がベスト。
・登山に用いる着圧タイツは止めたほうが良い。血液の循環が悪くなり体温が上がりにくくなるからとか。
・荷物はできるだけ少なく。リュックもできれば持たないほうが良い。ポケットやサブバッグを使うのがおすすめ。またはプライベートポータを雇うべし。

まず1つ目は想定範囲内でした。インナーダウンが薄かったので、いらないかもなーと思いつつも、予備で持って来たダウンベストが活躍しました。また、出発前に先達から教わったとおり、首の後ろや背中とおなか、太ももなど合計7箇所にホッカイロを貼りました。
キリマンジャロ

しかし2つ目はちょっと失敗。普段の登山では、着圧タイツが結構温かいので防寒にもなっていたのですが、たしかに締め付けるのは良くなさそう。しかし荷物を少なくするためあったかタイツは持ってきていなかった(半ズボンタイプのあったか下着は持っていた)。そこで、半ズボン下着の上に、2枚あったトレッキングパンツを両方ともはいて、その上からレインパンツをはくことに。ちょっとモコモコするけれど、下半身が寒いよりは良いと考えました。

3つ目は、どうしようかなとも思いましたが、思い切ってリュックは置いていくことにしました。スマホとカメラはズボンのポケットに、ポットと行動食は上着のポケットに。サブバッグの中には予備の水と、暑くなって脱いだ荷物を入れるスタッフバッグをつめ、もちろん、予備の「写ルンです」も入れて。これで大分身軽になりました。私はこの時の身軽さがあまりに快適だったので、帰国後も普段からなるべく荷物は少なく、山でも荷物をできるだけ少なくするようになりました。案外なくても良いものを持っているものです。

準備の途中でも、ちょっと飽きて散歩に出たり、影キリマンジャロが出てると教えてもらって写真を撮りにいったりと、脱線しながら過ごしました。
ちなみにこの頃になると、メンバーと一緒に楽しむことと、自分一人の時間を持つことが、なにげに上手になっていたような気がします。一人で周囲を散歩することもあれば、こんなふうに写真を撮り合ったりおしゃべりしたりもある。こうやってストレスをためないようにしていたのが、健康にもよかったと思えます。

そして早めの夕食です。キボハットのダイニングはとても狭く、石造りのみっちりした空間はまさにイメージする高地の山小屋そのもの。さすがに4720mは気温が低く、体温保持のためにも意識してきちんと食べることにしました。このあたりから、パーティのメンバーでも、食欲が落ちたり、頭が痛くなったりする人も出てきました。私は幸いにもそのような症状はなく、本当に普段と同じコンディションで過ごすことができたのは、本当に恵まれていたのでしょう。

ごはんを食べ終えたら、早くも就寝。夜中の11時が起床時間なので、暗くして寝袋に入ります。しかしやはりトイレには行きたくなるもので。外に出ると、これまでのどのハットよりもすごい星空でした! 灯りが少なく、空気が澄んでいるからか、星の数が全然違う! ここでも冷たい月明かりが射しているのに、星も負けじと瞬いている! この夜空を見られただけで、もう登頂できなくても後悔はないわーと思ってしまうくらい、すごかったです。

そんな夜空に感心してるなんて、雑魚寝だしあまり寝られなかったのでは? と思うでしょう? ところがどっこい、時間は短かったけれど、結構ぐっすり寝たんです。私の旅の必需品、耳栓とアイマスクをしっかり装着して、寝付きが悪そうならシュラフに潜り込んで持参のキンドルでちょっとだけ本を読む。灯りがなくても読めるのが文明です。

目が覚めると、11時ちょっと前。何人かが起き始めたようで、物音がし始めました。私もシュラフから出て、身の回りを整えます。
その後は出発前の朝食。なんだか食べてばっかりいるようですが、少しでもおなかに入れていくことで、身体も温まります。そしてこんな朝早くから(というか夜中から)、おかゆを作ってもらいました! 昨年はビスケットだけだったそうで、私たちは本当にラッキー! はやりのチリソースで梅干しもどき味にし、温かいおかゆを食べる幸せ。カロリー摂取のために、お茶ではなく強い子のミロまで飲んでしまいます。これが単なるビスケットだけの場合とは、本当にその後のコンデションが異なると思います。

準備が整ったので、予定より少し早く出発となりました。
全員揃ってハットの裏の砂地を歩きはじめます。月明かりでヘッドランプがいらないほどでした。しかし凄い星空でもあります。そして寒い。そんな中をゆっくり、一列になって歩きます。ガイドがだいたい目星をつけて、私たちの途中に入ってくれます。Nさんは私のすぐそばにいて、出しっ放しのカメラを仕舞うように注意してくれました。冷たくなるとデジカメが起動しなくなるためです。
キリマンジャロ

隊長が、それぞれに声をかけていきます。深呼吸しましょ〜とか、いよいよですね〜とか、それはほんとマメに。平地よりもどんどん酸素が薄くなってきているところで、ずっと大きな声を出し続け、前へ後ろへと移動しながら皆の様子をチェックし、ガイドと連携してペースを保とうとしてくれるその能力には本当に驚きました。

30分〜1時間歩くごとに、休憩をとります。そのうち何度かは、大きなポットを持ってきてくれたガイドから、温かく甘い紅茶を注いでもらいました。手袋を2枚重ねていても、どんどん手足が冷えていきます。Nさんをはじめ現地ガイドたちは皆、休憩のたびに私たちの手を触って、冷えていると両手で挟んですごい勢いでさすってくれたりします。砂利の道を蛇腹に登っていくのですが、だんだん足を前に出すのにもものすごいパワーがいるようになります。

周囲にはだんだん、地面に貼付く万年雪も見えてきました。とにかく寒く、苦しい。フラッと列からはみ出してうずくまる人、気持ち悪くなってしまう人、頭痛や眠気に教われる人も続出。高山病症状が出た人にはガイドがついて、列から遅れていきます。私は幸いにも高山病症状が皆無でしたので、隊長の言う「とにかく右足と左足を交互に出していたら、いつか着くから!」の言葉を頭の中で繰り返し、つとめて呼吸を深く行いながら(といっても、息が吸えない!)、左右の足を順番に前に出すことだけに集中しました。

休憩も、一度座ると立ち上がるのに苦労し、でも座らずにはいられず、座っていると寒くなりと、どうして良いのかわからない状態。月も星も綺麗だけど、そろそろ太陽が出てくれないものかと思いました。5000mを超えると、背後にあったマウェンジ峰の後ろ側が見えます。あの高い山の高度を超えたということです。とにかくとにかく歩く。隊長が「声出していくぞー、絶対登頂するぞー」と運動部ばりに何度も声を張り上げ、できるだけの声で「おーー」と言う私たち。はたから見ると何の修行をしに来たんじゃ、という感じです。しかし、隊長がふざけて、「良い子のみなさーん、これが高所登山ですよ〜(笑)」「す、すげーーー(笑)」なんて会話をしながら歩いていたので、いくら苦しくても、テンションが下がるヒマはありませんでした。

マウェンジ峰の上に、明けの明星が見えました。目指すはギルマンズポイント(5685m)。そこで登山を終える人も多い、第一の頂上です。その手前には、よっこらしょと登らなくてはならない岩場があります。もちろん足なんかあがりませんから、ガイドがひっぱりあげてくれます。Nさんは、途中でずっと手を引っ張ってくれたり、休憩中も横にいてくれたり(人が横にいるとちょっと温かい)、もう何人も登頂させているからでしょう、細かい心遣いにものすごく助かりました。そしてそして、やっとこさ、ギルマンズポイントに到着したのは、6時ちょっと前。隊長曰く、想定以上に早い到着だったとのこと。

ギルマンズポイントでの1枚。笑顔ですが号泣しています
ギルマンズポイントでの1枚。笑顔ですが号泣しています

「ギルマンズについたぞー」という声にハッとして、最後の一歩を登り、隊長とハグをして「がんばったねーーー」と言われた瞬間、ビュっと涙が出ました。「着いたよ、やっと着いたよ〜、うえーん」と泣きながら喚いていたら、Nさんがハグしてくれて慰められました。他のメンバーともハグをして喜び、暗い中で感度の良いカメラを持っている方に写真を撮っていただいたり。とにかくこのポイントに到着したときのことを思い出すと、今でもジーンとします。ここで地平線からうっすらオレンジ色の空が見え始めました。

地平線には夜明けのグラデーション
地平線には夜明けのグラデーション

ここで、高山病症状が出た人を待ち、彼らが到着するとともに私たちは、本当の頂上に向けて出発です。ここから200m上にあるウフルピークへ。たったの200mです。しかしここはすでに、酸素が平地の半分しかない。そんな中で200mの高度を上げるのは、普通のことではありません。途中、ステラポイント(5730m)という平地があるのですが、最初はそこを頂上だと思って「案外近い!」と喜んでいたら、ガイドのNさんに「ちゃうちゃう」と注意されました。落胆しつつも、朝日を浴びて茜色に染まる氷河や、頂上エリアの真ん中にでっかく開く雪原のクレーター、日陰の大規模なつらら、半分氷になった雪道を歩きます。平なところはまだましですが、ちょっとでも登りになるともうヒーヒー。いつまでたってもウフルピークには到着しそうにもありませんでした。そんな中、Nさんが私のカメラを手にとり、サービスしようと思ったのか、勝手にそのへんの景色の写真を代わりに撮っていたのにちょっと笑いました。Nさんのこういう、ちょっと行き過ぎた”おもしろサービス”は、後々まで私たちの口の登るネタになりました!

Nさんが撮ってくれたつららの横のわたくし
Nさんが撮ってくれたつららの横のわたくし

(Nさん撮影)朝日が反射する雪の山壁
(Nさん撮影)朝日が反射する雪の山壁
やっと朝日が出てきた!
やっと朝日が出てきた!
見とれていたら、Nさんに「サングラスかけとけ!」と言われました
見とれていたら、Nさんに「サングラスかけとけ!」と言われました
ステラポイントから見た氷河
ステラポイントから見た氷河
雪がだいぶん少なくなってきているそうです。あと20年で消える説もあるらしい
雪がだいぶん少なくなってきているそうです。あと20年で消える説もあるらしい
朝日が登りきりました! こんな色、見たことない
朝日が登りきりました! こんな色、見たことない
ステラポイントで記念撮影。はしゃいでるように見えますがカラ元気です
ステラポイントで記念撮影。はしゃいでるように見えますがカラ元気です

途中から隊長が私の前についてくれたので、隊長の足元を見ながら真似して自分の足を出すようにしたら、若干進みやすくなりました。色々話してくれるのですが、もう返事もできず、ただ呼吸をするのが精一杯。まさに右と左の足を交互に出すことに集中。そして、やっとやっと、ウフルピーク(5895m)が眼の前に現れました! ギルマンズから2時間弱!

ウフルピークのあたりはこんな感じ。もう違う星に来たみたい
ウフルピークのあたりはこんな感じ。もう違う星に来たみたい

山頂に着いたらとたんに元気になって、山頂板の前で順番に写真をとりまくります。さっきまで泣きそうになっていたのに、みんな良い笑顔! ガイドのみんなとも登頂を喜びあい、はしゃぎました。ふとみると、隊長の持っていたウォーターキャリーの水が凍っています。登頂したては歩いてきたのと興奮しているのでそんなに感じませんでしたが、時間がたつにつれ、寒さにブルブル。同じパーティの友達と肩を寄せ合い体温をシェアしました。ただし天気が良く無風だっただけ、ラッキーです。

ウフルピークで。ポーズがステラポイントと同じところがカラ元気ぽい
ウフルピークで。ポーズがステラポイントと同じところがカラ元気ぽい

山頂には他のパーティもいましたが、混雑というほどでもない
山頂には他のパーティもいましたが、混雑というほどでもない
気圧で測るので高度がちょっとずれます
気圧で測るので高度がちょっとずれます

高山病症状が治まらず、ガイドに身体を支えられ、少し遅れてきた人もいましたが、パーティ全員が登頂という快挙です! キリマンジャロの登頂率は50%とのことですから、全員というのはほぼ奇跡! 遅れた人が登頂する瞬間は、まさに24時間テレビのマラソンのゴールのようで、ガイドは歌い、私たちは拍手し、その瞬間を撮影した動画があるのですが、何度観ても涙でちゃうです。ほんと、隊長とガイドの素晴らしさよ! 我々は全員が揃うまで息苦しさも忘れて一時間くらい山頂に滞在することにし、揃ったところで記念撮影ができました! 本当に幸せなことでした。なにせ、全員で登頂したおかげで我々は最終日まで、山頂の素晴らしさや登頂の感動を、気兼ねなく喜びあうことができたのですから! これ重要!!

真っ白の中に透き通る水色が見える氷河
真っ白の中に透き通る水色が見える氷河

真っ青な空と太陽と山頂。余計なものが何もない世界
真っ青な空と太陽と山頂。余計なものが何もない世界

頂上の景色は今まで見たどんな景色とも違う、地球を感じる風景でした。これを見るために、色々とがんばってきたんだなぁと、そこでまた涙。苦しい道のりでも、写真に写っている自分は常に笑顔なのですから、本当に素晴らしい経験をさせてもらったと、「させてもらった」以外の言い方がしっくりこないほど、この登頂はみなさんのお陰だったと感じています。

苦しいことなんて忘れちゃう
苦しいことなんて忘れちゃう

#15 Day5 頂上からのハードな下山
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#19(最終回) 持ち物いろいろ

【キリマンジャロに登ってきた】#13 ガイド&ポーターのこと

キリマンジャロ登山には、ほとんどの場合ガイドやポーターが同行します。

一番お世話になった、Nさん
一番お世話になった、Nさん

あのイモトアヤコさんのキリマンジャロ登山で、たくさんのタンザニア人チームが同行していましたが、今回、我々のパーティも、たくさんの方に支えてもらいました。彼らがいなければ、私たちの登頂は不可能だったと言っても過言ではありません。

私たちを支えてくれた方々。ただただ感謝。
私たちを支えてくれた方々。ただただ感謝。

まず登山ガイド。現地ガイドさんは全部で7名。
最初は正直、なかなかお顔の識別ができず(おそらくあちらから見た私たちもそうであったでしょう・・・)、洋服の色が変わるとわからなくなっちゃったり。彼らは機能性の高い「薄くて温かい」素材の服なんて持っていないので、寒くなるととても着膨れるのです。なので、何度も喋っている人なのに「あれ? こんなに痩せている(または太ってる)? 別の人かも・・・」と思うことも多く。もちろん最後には、ちゃんとみんなの名前と顔が一致するようになっていましたが!

そこで、今回私たちを支えてくれた素晴らしい面々をちょっとご紹介。

まずは、全体オーガナイザーのDさん。ケニア人だそうで、アサインやフィーを取り仕切る役割。隊長が数年一緒にお仕事をされているとのこと。道中の勝手インタビューによると、もうすぐご結婚ですって。彼女の年齢から職業、結婚時期など根掘り葉掘りワイドショーばりに聞いてしまいました。オメデトー!

いつも細やかに気を配ってくれていたDさん
いつも細やかに気を配ってくれていたDさん

そしてガイドリーダーはFさん。とても若い方です。毎日、私たちが疲れないように、歩くペースに気を使ってくださいました。
登頂アタックの際、弱っているとガイドさんが腕や肩を貸してくれるのですが、このFさんにサポートしてもらったメンバー曰く、選ぶ道といい、支え方といい、他の誰にサポートされるよりも歩きやすかったと言っていました。さすがリーダー!

いつも先頭を歩いてペースを作ってくれて、こんなふうに道中、動物を見つけて教えてくれたり。
いつも先頭を歩いてペースを作ってくれて、こんなふうに道中、動物を見つけて教えてくれたり。

その他に、ガイドさんは5名。私が一番お世話になったのは、一番年齢が上と思われる、ちょっと恰幅の良いNさんでした。登頂アタック時に、冷たくなってしまった手をさすって温めてくれたり(ジーン)、登頂時に一部、岩を登るのですが、息苦しくて動きづらい私をひっぱりあげてくれたり(ジーン)。しかし私が案外元気だなと判断すると、弱っている子のほうへささっと行って励ましたりしていました(ジーン)。そして最も辛かった下山時にはずっと腕を貸してくれたり(ジーン)。また、下山後の山小屋泊では、トイレからかなり離れた小屋をあてがわれたのですが、道に迷わないように外でガードマンまでしてくれていた!(ジーンばかりや) ちょっとちゃっかりしたところもあって、苦笑するシーンもいくつかありましたが、そこがまた正直くさくて良いのです! 頼りになるにーちゃん、という感じでした。

いつも遠くからも手をふってくれるNさん。
いつも遠くからも手をふってくれるNさん。

ほんと感じが良い人。何かというと「フォローミー」と言って連れて行ってくれる
ほんと感じが良い人。何かというと「フォローミー」と言って連れて行ってくれる

他の4名ももちろんとっても親切極まりない方々でした。トイレに行くたびに、最後尾のガイドさんはのんびり待ってくれたり、それをきっかけに自己紹介をしあったり。6日間の行程は決して楽ではないので、「ポレポレー(ゆっくりゆっくり)」「アクナマタタ(なんくるないさー)」と言い合うだけでもホッとするものでした。

頂上で記念撮影。彼もいつもニッコリ、ホスピタリティの塊だった
頂上で記念撮影。彼もいつもニッコリ、ホスピタリティの塊だった

よく私のトイレ待ちをしてくれていた二人・・・はぐれずに済んだのはあなた方のお陰です
よく私のトイレ待ちをしてくれていた二人・・・はぐれずに済んだのはあなた方のお陰です

毎日のお食事を作ってくれたコックは3名、ティータイムから食事時までテーブルセットをしてくれるキッチンボーイは2名。そして朝夕、熱いお湯を入れた洗面器を持ってきてくれる方がいて、そしてそして、我々が1日3リットルのみ続けるお水、料理用のお水、食材、そして我々の荷物を運んでくれたポーターさんたちがいます。最後のセレモニーでは全員集合で、こんなにたくさんの人たちに助けられていたのだと実感しました。

お昼ご飯のときにいつも熱いお茶を入れてくれた彼。まめまめしい方だった!
お昼ご飯のときにいつも熱いお茶を入れてくれた彼。まめまめしい方だった!

現地ガイド&ポーターの給与体系は、フィー+チップなのですが、我々の隊長(日本人のほうね)は、そのチップの配分を私たちに開示し、アドオンしたい場合の相談にものってくれたので、今回の登山は、そういった現地の経済状況や仕組みも学べる本当に良い機会でした。旅行会社が決めてしまうと何も見えないまま終わってしまうこと。隊長のおかげで、今回の企画がより深みのあるものになりました。

また、ガイドは資格が必要で、ポーターの中にはそれを目指している人が多くいるけれど、必ずしも全員がそういうわけではなく、ゲストと余計に関わらず(ガイドには必須の英語を話すこともなく)荷物を運ぶ仕事に満足している人もいるとのことです。そんなことも知って、色々なことを考え話しながらの登山は本当に充実したものでした。

たくさんのポーターさんに、荷物も食事もお水も持ってもらっていました
たくさんのポーターさんに、荷物も食事もお水も持ってもらっていました

各ハットは、たくさんのガイドやポーターにあふれていました
各ハットは、たくさんのガイドやポーターにあふれていました
重い荷物を運んでいるのに、多くの方はとても感じよく挨拶してくれた
重い荷物を運んでいるのに、多くの方はとても感じよく挨拶してくれた

他のパーティのガイドさんポーターさんすべてがこんなに良いチームではなかったようです。残念ながら、他のパーティでは、荷物の盗難が発生したり、全員登頂が果たせなかったりということもあったそう。我々は体調・天候も、メンバーにも恵まれていたのかもしれませんが、責任感のあるガイド&ポーターであったことが何よりも幸せなことだったのだと思います。だって、山小屋を出た後、ちゃんと忘れ物を点検してくれていたり、鍵をかけろとか、カメラはしまっとけとか、荷物をちゃんと持ってるか? とか、何度もチェックしてもらいました。彼らは安全に登頂させることがお仕事、私たちも登頂することが目的で来ているので、最初からバランスはとれているはずですが、思惑やら何やらで上手くいかないパターンもあるでしょう。しかし、それがなかった。最後の最後まで彼らは親切で、親しみやすかった。これが今回の最大の私たちの幸せだったと感じています。

これは下山時。カメラを向けたらポージング!
これは下山時。カメラを向けたらポージング!

また私見ではありますが、東南アジアの人たちの人なつっこさ、親しみやすさと、アフリカ人のそれとは、やはりベクトルが違うもんだなあと感じました。東南アジアと一口にいっても、すぐに親しくなれそうだけど最後の壁が固いとか、細かく分けると様々なのですが、キリマンジャロで出会ったアフリカ人の方々は、もちろんシャイな方もいますが、余計な思惑なく接することができたように思えます。彼らがとてもホスピタリティを意識しているせいか、ちょっとそれは言い過ぎ! やり過ぎ! みたいなこともありましたが、それが彼らの仕事ですから、良いのです。来年も再来年も、彼らがゲストに対して、私たちに対してと同じように親切にし続けてくれたら良いな、と心から思いました。普段の生活で、お店の店員さんやら何かをお願いした人にそんなことを思ったことはなく、このキリマンジャロ登山の経験は、仕事や人間関係って私たちが考えるよりももっともっとシンプルな構造なんじゃないかな、と考え直すきっかけでもありました。

下山後、Nさんと。ウルルン滞在記を思い出させる別れの光景
下山後、Nさんと。ウルルン滞在記を思い出させる別れの光景

#14 Day5 登頂アタック5895mへ
#15 Day5 頂上からのハードな下山
#16 Day6 さらばキリマンジャロ
#17 アルーシャへ移動
#18 Day7 サファリ〜帰国へ
#19(最終回) 持ち物いろいろ

【キリマンジャロに登ってきた】#12 Day4 いよいよキボハット(4,720m)へ

高度順応を終え、いよいよ未到達の高度へと登る日となりました。

キボハット
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私の人生最高到達地点は、チベット青海鉄道の唐古拉峠、5072m。ただし、列車から下車はしておらず、窓から外を眺めながら通り過ぎただけなので、実感値はありません。言ってみれば、飛行機のトランジットで立ち寄った空港がある国みたいな位置づけで、自分が「存在した」とは言えませぬ。
自分でちゃんと登り、その場に立った最高地点は、マレーシア・キナバル山4095m。この日はいよいよ、その高度を超えるということで、ワクワクしていました。

これはマレーシアキナバル山のピーク4095mから眺めたセントジョーンズピーク(ゴリラ岩)
これはマレーシアキナバル山のピーク4095mから眺めたセントジョーンズピーク(ゴリラ岩)

二日間滞在したベッドを片付けて、いよいよ出発です。ハット後方にある砂利の坂道を登っていくと、ホロンボハット全景が見えました。山小屋は、上に行くほど人が多く、どんどん雑多な雰囲気になっていった気がします。上に行くほど緑が少なく埃っぽくなっていくのも一因だと思いますが、なんとなーく、自分も含めてそこにいる人たちが、やや「むきだし」になっていく気がしました。

ホロンボハット全景。無事登頂してここに戻りたいと祈る
ホロンボハット全景。無事登頂してここに戻りたいと祈る

青空の行く手には雪をかぶった山頂が
青空の行く手には雪をかぶった山頂が

ゼブラロック行きの時に眺めていたジャイアントセネシオの群生を横目に歩き続けていくと、どんどん緑が減っていくのがわかります。草木も乾燥してくるし、どんどん視界が空の青と地面の茶系に浸食されていきます。

空に近づいていく気分
空に近づいていく気分

マウェンジ峰の岩肌もくっきり見える
マウェンジ峰の岩肌もくっきり見える
でました! ジャイアントセネシオの群生
でました! ジャイアントセネシオの群生

坂を登って降りて、が何度かありつつも、ずっとずっと、だだっ広い、乾燥しつつある場所を歩きます。途中、ヘリポートがありました。これは世界で活躍するスポーツ選手が作ったものだとか。それを抜けると、水場があり、「LAST WATER POINT」と書いてあります。私がアドバイスをもらっていた先達の女性は、「お水はそこらへんで汲んできたものを飲んでいた」と仰っていましたが、こういうところの水を活用していたんですね〜。そのときも、他の登山者が何人かが水を調達していました。本当にストイックな旅なら厭いませんが、私の目標は「登頂」なので、できるだけそれを脅かすリスクは下げていきたいところ。おなかを壊しては元も子もありませんので、味見も控えました。

まだ両脇には緑が見えます
まだ両脇には緑が見えます

でもかなりあけっぴろげ
でもかなりあけっぴろげ
Last Water Point。この先は水がありません・・・
Last Water Point。この先は水がありません・・・
水場で休憩する旅人の食べこぼしを狙う子が
水場で休憩する旅人の食べこぼしを狙う子が

さて、最後の水場を超えると、もうそこは砂漠。「火星みたいな道を歩く」と話に聞いていましたが、本当にそんな感じ。見渡す限りの茶色い地面に、広い一本道がずっと続いている風景は「アフリカの道」そのもののイメージどおりです。ホロンボハットから遠くに見えていたあのキリマンジャロ山頂へのこんもりとした山が、眼の前から左手側にいくまで、ずっとずっと見えています。

キリマンジャロ
人生最高地点を超えました

草木のない砂漠を歩きます
草木のない砂漠を歩きます
マウェンジ峰は登れないそうです
マウェンジ峰は登れないそうです

草木がなくなる→視界を遮るものがない→そこで苦労するのがトイレポイント探しです。前述のとおり、ダイアモックスと大量の水を飲み続けているわたくしたちは、当然トイレとお友達。トイレがなくてもお尻が隠せるポジションがあれば、素晴らしい景色を眺めながらの用足しはバッチ来い、なのですが、ここに来ると、大きな岩を見つけたらとりあえず済ませておくのが得策です。とはいえ、最後のほうは、もうどこかからは丸見えでしか場所がなくなり、まあもうこんな風景珍しくもないでしょ、と開き直ることができますわ。健康第一、生理現象万歳です。

もう隠れるところがありませぬ・・・
もう隠れるところがありませぬ・・・

行った事ないけど火星のような道
行った事ないけど火星のような道

お昼ごはんはマウェンジ峰とキボ峰(目指す頂上があるところ)に挟まれたポイントでいただきました。ここでも温かい紅茶をガラスのコップで出してもらい、ランチボックスをいただきます。この日は、いつものチキンとケーキの他に、ポテトチップスやピーナッツの小袋(工業製品ではなくビニールでパックされたもの)が入っていました。全部は食べられないので、同行の方と一緒にひとつ開けて味見をしましたが、塩がきいていてすっごく美味しかった。チキンも一日目よりもずいぶん柔らかく食べやすくなっていて、また食欲旺盛にパクパク食べてしまいました。隊長曰く、ここまできて、(高山病症状にあるように)食欲が落ちないのは珍しいとのこと。えーだって美味しいじゃないですかーと論点のズレまくった返事をする私。ほんと、今考えても普段の生活よりも身体のコンデションはよかったです。

お昼ごはんはこんなところで
お昼ごはんはこんなところで

高山病症状もなく、のんきに記念撮影をするわたくし
高山病症状もなく、のんきに記念撮影をするわたくし
こんなところでも熱いお茶を入れてくれます。ほんと、ありがたい・・・
こんなところでも熱いお茶を入れてくれます。ほんと、ありがたい・・・

ごはんを食べたら再度出発。もう遠くにキボハットの緑の屋根が見えているのですが、なかなか近づいてきません。この現象は、ホロンボハット以後ずっと続くのですが、あまりに周りに何もなさすぎて遠くにあるものが見えるのに、全然近づけない。こういったことも、4000m超えの世界ならではだと思います。
そんな中、ガイドさんの一人(後でとってもお世話になる一人)が、ずっと軽快なアフリカン・ミュージックをポータブルスピーカから流してくれていて、一緒になってリズムをとったり、呑気に歩きました。

左手側の緑の屋根がキボハット。周りに何もなさすぎて、見えるのにぜんぜんたどり着かない
左手側の緑の屋根がキボハット。周りに何もなさすぎて、見えるのにぜんぜんたどり着かない

そんなこんなで、キボハット4720mに到着しました!
緑がひとつもないこの山小屋は、これまでのところとはまるで別世界。とっても大勢のポーターさんガイドさんが地べたにしゃがみ、くつろいでいます。山小屋もこれまでのような、一人ひとつベッドではなく、狭い建物の中に上下段のベッドがどんと押し込まれていて、そこに雑魚寝状態です。そして寒い。トイレは変わらずきれいでしたが、ちょっと遠くて、さすがにここまで来るとトイレに行くだけで息が切れます。まずは荷物を整理して、深夜の登頂アタックの準備をし、ティータイム。似たような建物が多くて、道に迷ってはそのへんにいる人に教えてもらっていました。

キボハット
到着しました〜4720m!!

この地区だけは山小屋が石造りで雑魚寝部屋でした
この地区だけは山小屋が石造りで雑魚寝部屋でした
そして変わらず美味しいごはん。ありがたや
そして変わらず美味しいごはん。ありがたや

そんな中、挨拶の言葉を教えてもらいました。ご存知のとおりスワヒリ語でコンニチハは「ジャンボ」で、すれ違う人とは「ジャンボ」と言い合います。しかしその後「マンボ」って言う人がいるのです。トイレの前にいた男性に「マンボ」と言われ「マンボ」とマネして返したら、「違うよ〜マンボの返しはポアだよ!」と教えてもらいました。語呂合わせの一種かと思っていましたら、帰国後調べてみたところ、これスワヒリ語で「元気?」「ええ!」の意味だったんですね。私はどこかの国を訪れると、ああここの言葉を勉強したいと思うたちです。いつかスワヒリ語も片言で良いから知っていきたいものです。

いよいよ登頂アタックはここから出発するのだ(ちょっと予習)
いよいよ登頂アタックはここから出発するのだ(ちょっと予習)

イッテQのイモトアヤコさんが、この道を歩いている映像を、帰国してから見ましたが、非常に苦しそう。イモトさんは食事もこちらの郷土料理のようなものを食べていたし、高度順応日もないみたいだったので、大変だったと思います。もちろん体力とバイタリティのある彼女は元気に登頂していましたが、このキボハットへ続く道も、コンデション次第ではつらい時間になったのでしょう。幸いにも私は、息苦しさも感じず、写真を撮り仲間としゃべり倒しながら水を飲み、てくてくと楽しく歩くことができました。これもそれもサポートしてくれたポーターやガイド、パーティのみなさんと隊長のおかげで感謝しかありません。

夕方に姿を見せてくれた、雲に映り込む「影キリマンジャロ」。感動
夕方に姿を見せてくれた、雲に映り込む「影キリマンジャロ」。感動

#13 ガイド&ポーターのこと
#14 Day5 登頂アタック5895mへ
#15 Day5 頂上からのハードな下山
#16 Day6 さらばキリマンジャロ
#17 アルーシャへ移動
#18 Day7 サファリ〜帰国へ
#19(最終回) 持ち物いろいろ

【キリマンジャロに登ってきた】#11 月明かりの影ができる場所で

ここで、高度順応で2日間、下山後1日と、通算3日間滞在したホロンボハットからの絶景をお届けして参りましょう。

朝日を受けるホロンボハットの山小屋
朝日を受けるホロンボハットの山小屋

言うても3720mですよ、奥さん。富士山に迫る高度なわけで、おのずと空気も違ってきます。気温は低く、朝夕は特に冷え、乾燥しています。しかし、そこまで登ってこないと見えない景色があります。私が登山にはまった理由は、この、日常では絶対に見ることのできない景色に感動したからです。

朝は空が眩しくて気分も高揚する
朝は空が眩しくて気分も高揚する

まず、到着直後は小雨がぱらつき、周囲がガスって白くなっていたのですが、夕方雨が上がったとたんに、虹が見えました。しかもその虹は、二重。地平線から二本の虹がすうと出て、眺めているうちにどんどん上に伸び、最後は完全な虹になりました。そんな様をずっと眺めているほど、山小屋ではすることがなく、これぞ贅沢と思ってしまう日本人。虹を見ると、何か良いことがありそうな気がするものです。

二重の虹ができ始めたところ
二重の虹ができ始めたところ

雨があがって青空も見えてきました
雨があがって青空も見えてきました
みるみる間に虹がつながった
みるみる間に虹がつながった

その後、どんどん明るくなっていき、眩しい夕日が空をオレンジ色に染めました。まだ空に広がる雲に太陽の光が映り、それは美しい夕刻となりました。太陽が近く、もったいないくらいに空の色が移り変わっていきます。

この空をずっと眺めていられる贅沢
この空をずっと眺めていられる贅沢

グラデーションが美しくて、ああ来てよかった
グラデーションが美しくて、ああ来てよかった

太陽が完全に沈んでも、少し雲が出ていました。ホロンボ1日目はそのまま就寝時刻を迎えたのですが、夜中に何度かトイレに行くために外に出てくると、なんと満天の星! ラメのブラシを何度も掃いたように、広い夜空に星がちりばめられています。もう感動! ダイアモックスの利尿作用もあり、空を見とれている余裕がないほどトイレに行きたくなるのですが、ちょうどトイレのあるあたりは灯りが少なく、自分のヘッドランプも消して、寒さに耐えられる限界まで夜空を見上げていました。

不思議なことに、自分の影ができるほど月が明るいんです! それなのに、ちゃんと星も見える。普通、明るいと星はあまり見えないものですが、灯りの総量が少ないことと、星があまりに多いことで、月と星の両方を楽しめるんじゃないかな。とにかく、トイレに行くたび星空鑑賞と月光浴の、一粒で二度美味しい時間を味わうことができました。

朝日をあびて光る遠くのテント群
朝日をあびて光る遠くのテント群

みんな起きてきて空を眺めています
みんな起きてきて空を眺めています

夜が明けてくる頃、我々が目指す先に、白い雪をかぶった山が見えるではないですか! キリマンジャロ山頂です!
夕暮れ時をちょうど逆回ししたように、薄暗い中に太陽が顔を出し、だんだん明度を上げていって、暖色から寒色へと風景を変えていきます。

遠くに見える雪をかぶった山頂と、月
遠くに見える雪をかぶった山頂と、月

太陽がどんどん大きくなっていきます
太陽がどんどん大きくなっていきます
どんどん、どんどん
どんどん、どんどん
太陽がのぼりきると、青い世界に
太陽がのぼりきると、青い世界に

夜空の月は煌々と照っていましたが、朝になっても月は色を薄めながら空にかかっていて、これがほぼ一日中空にそのままありました。キリマンジャロでは常に、月と太陽を同時に見ていた気がします。なんとう贅沢。

オレンジからブルーへ
オレンジからブルーへ

こんな天体のダイナミックなショーはやはり圧倒的。最近は、季節によらず工夫をこらしたイルミネーションを目にすることも多いですが、正直勝てない、ていうか負け! 勝負になってない! (そもそも勝負なんてしていないと思うけど) 夜空の星を写真に納める技術は残念なことにないけれど、目に脳に焼き付けておこうと、外に行くたびに首が痛くなるほど空を見続けたホロンボハットの日々でした。

#12 Day4 いよいよキボハット(4,720m)へ
#13 ガイド&ポーターのこと
#14 Day5 登頂アタック5895mへ
#15 Day5 頂上からのハードな下山
#16 Day6 さらばキリマンジャロ
#17 アルーシャへ移動
#18 Day7 サファリ〜帰国へ
#19(最終回) 持ち物いろいろ

【キリマンジャロに登ってきた】#10 Day3 高度順応日のゼブラロック・ハイキング

3日目は高度順応日でした。

3日目ホロンボハットの夜明け
3日目ホロンボハットの夜明け

私は富士登山で高山病症状を体験しています。が、富士山よりも高いキナバル山では症状が出ませんでした。
高地に強いのか弱いのか、まったくわかりませんが、6000m近いキリマンジャロではやはり高山病が心配でした。しかし、幸いにもひとつも症状はありませんでした。

隊長曰く、富士山は一日でぐわっと登り、8合目では人が多く閉め切った酸欠状態の山小屋で過ごすため、高山病になりやすく、キリマンジャロやキナバルのような赤道付近では、かなり高所まで緑があるし、地球が自転しているので遠心力で酸素が押し上げられているので、緯度の高いところよりは高山病になりにくいとのことでした。
ましてや、ダイアモックスを飲んだり、お水を飲んだり、十分な対策をしていますし、このように高度順応日ももうけてあるので、富士山よりは本当に楽でした。パーティの中には高山病症状で悩まされた方もいますが、それも5000mを超えるまではそれほどでもなかったように思えます。

下山前に歌って踊るパーティの人々
下山前に歌って踊るパーティの人々

高度順応日は、往復2時間ほどのハイキング。キリマンジャロでゆったりハイキングなんて、なんて優雅なんでしょう!

言うても3720m。看板の向こうに頂上が見えるよ・・・
言うても3720m。看板の向こうに頂上が見えるよ・・・

朝ごはんを食べたあと、荷物も置きっぱなしでゆっくり出発します。

今日もパンにはピーナッツバターをたっぷりと
今日もパンにはピーナッツバターをたっぷりと

ゼブラロックはこちらという案内板
ゼブラロックはこちらという案内板

ジャイアントセネシオの群生を横目で眺めたり。

ガスって見えにくいけど群生が・・・
ガスって見えにくいけど群生が・・・

こんな小さな高山植物発見
こんな小さな高山植物発見

お天気がイマイチぱっとは晴れていない状態でしたが、ほぼ平坦な道をゆっくり歩いていきます。余裕です。

すこしずつガスが晴れてきました
すこしずつガスが晴れてきました

高山植物には黄色い花が多い
高山植物には黄色い花が多い
これも黄色い花。若干みずみずしい
これも黄色い花。若干みずみずしい
ジャイアントセネシオがまばらになってきたところに・・・
ジャイアントセネシオがまばらになってきたところに・・・
見えてきたよ〜
見えてきたよ〜

目的地はここ、ゼブラロック。本当にゼブラ模様でちょっと感動。

本当にシマウマ柄!
本当にシマウマ柄!

正面から見るとこんな
正面から見るとこんな

お向かいには、マウェンジ峰が近く迫ってきます。

こちら側は青空!!
こちら側は青空!!

と思ったらこちらにも青空が広がってきた!
と思ったらこちらにも青空が広がってきた!

地層は横の縞模様なのに、なぜここは縦の? と思っていたら、黒い部分は上から水が流れているのでした。

これがゼブラのアップ。黒い部分は濡れてます
これがゼブラのアップ。黒い部分は濡れてます

ゼブラにタッチして記念撮影。

タッチ! で記念撮影
タッチ! で記念撮影

ゆっくり戻っても、まだお昼ちょっとすぎ。美味しいご飯が待っているという贅沢です。

ジャイアントセネシオの上にも青空が
ジャイアントセネシオの上にも青空が

お昼ご飯はポテトフライとクレープと
お昼ご飯はポテトフライとクレープと
大好物のスイカが出ました! うひょー
大好物のスイカが出ました! うひょー

このスイカも、ポーターさんが持って登ってきてくれたんですね。感謝しかありません。

栄養満点、大満足です
栄養満点、大満足です

そしてこの日、頂上から下山してきた日本人の男性2名に会いました。
どうだった? どうだった? と話しかけて、色々アドバイスをもらっちゃいました。
疲れるから水はちゃんと持っていかなきゃだよ、帰りが砂走りで埃が入るからサングラスとマスクは必須!、頂上付近はやっぱり苦しかったよ、でも人が多くて写真撮影がちょっとしたなわばり争いだったよ、とか。
行ったばかりの人と話せて、それはとても刺激になりました。絶対に私も登頂するどー! ってね。

ティータイムには隊長持参のバームクーヘンまで! 贅沢!
ティータイムには隊長持参のバームクーヘンまで! 贅沢!

#11 月明かりの影ができる場所で
#12 Day4 いよいよキボハット(4,720m)へ
#13 ガイド&ポーターのこと
#14 Day5 登頂アタック5895mへ
#15 Day5 頂上からのハードな下山
#16 Day6 さらばキリマンジャロ
#17 アルーシャへ移動
#18 Day7 サファリ〜帰国へ
#19(最終回) 持ち物いろいろ