【Daily Life】ホワイトデー

旅行記をだらだらと書き続けてきたこのホームページですが、今年から、日常生活のことも書いていきたいと思います。
日常生活だって旅の一環よね、と思うがために、そして文章として思考を組み立てるトレーニングのためにも。

さて。昨日はホワイトデーでしたが、昨今、仕組みや趣が変わってきたように思えます。ご存知のように、かつて日本においては女子がバレンタインデーでチョコを片手に告白し、ホワイトデーには男子がクッキーやマシュマロを女子に捧げるという構図が描かれていました。それが、義理チョコ・友チョコというカスタマイズを経て、バレンタインデーは順調にマーケットを拡大していきました。対して、ホワイトデーは「お返し」という控えめな立場を長年崩さす、いまいちパッとしないように見えたのですが、ここ数年、男子諸氏からこの日にお菓子をもらうことが多くなってきました。いよいよホワイトデーの逆襲がはじまった!

しかしそれは告白という甘やかな行為ではなく、わたしの周囲の場合では、仕事上のグループの中で、男子がそれぞれにチョコやクッキーを調達し、関係者女子に配布するという、かつてバレンタインデーに行われていた仕組みの男女逆転現象。というより、どちらかというと、お中元やお歳暮が、世代交代をしてホワイトデーを利用するようになったというほうが自然かも。しかも、その日の男子には、「女子の機嫌をとる絶好の機会を逃さないぞ」という若干小賢しい気概が見て取れます。ホワイトデーでありながら若干ホワイトではないような。黒くはないけれど潤滑油としての油っ気が滲んでいます。

「白いブラック」というのが意味深

いえ、ありがたいんですよ! その、ありがたくいただいたホワイトお菓子を見てみると、ここにも個性が現れています。チープなところでは”一目で義理とわかるチョコ”でおなじみのブラックサンダーの白いやつ「白いブラックサンダー」。若手の草食イケメンが袋を持って配布しにきました。開けてみると、白いのは表面のチョココーティングの部分のみで、中身のゴツゴツしたところは元祖ブラックサンダーと同一のそれ。生産ラインの最後のチョコ付けのところだけホワイトに変更したということですね。”形状が変わらず味だけ変える”という点では、バリエーション豊かなキットカットもその延長線上にあるといえましょう。対して、中にもちやグミを入れたり、ガナッシュやチーズケーキ風味を極めたりというチロルチョコの体当たり感は別格です。

ブラックサンダーの対局を成したのが、大ボスが大盤振る舞いしたピエール・エルメの!マカロン! しかも1人2個! マグネットのちょっと大きいくらいの大きさ、小さめのヨーヨーくらいの厚みでありながら、お値段は1つ500円でちょっぴりおつりが出るくらいの高級品。味も「ライムとエスプレッソ風味のホワイトチョコガナッシュドライフランボーワズ」とか「グリオットチェリー、レモン、トンカ豆風味のホワイトチョコガナッシュ」とか、食べただけでは何味からわからないけれど聞いてもよくわからん、というフレーバー。せっかくなのでコーヒーを入れなおして美味しくいただきました。ちなみにこの大ボスからは、過去にブルガリのチョコレートをいただいたことがあります。えげつないところがあるわたしは、その帰り道に「ブルガリ チョコ」で検索し、その一粒が1500円もすることを知りました。1500円て! しかし、残念なことに、そのチョコの味を覚えていません。確か、ちょっともったいぶって冷蔵庫に数日間入れて、余裕のあるお休みの日に丁寧にお茶を入れていただいたのですが、そのシチュエーションはくっきりと思い出せるのに、肝心の味はひとつも思い出せません。わたしの雑な味覚がうらめしい。

PIERRE HERME

最後に余談を。「チョコレート」といえば、ハル・ベリーとビリー・ボブ・ソーントンの映画が印象に残っています。でもこの邦題、どっからきちゃったの? とも思いました。最後のアイスクリームのテイストでわかりやすいといえばそうなのですが、原題は「MONSTER’S BALL(怪物の舞踏会)」で、死刑の執行前に看守が行う宴会のことらしい。余韻を味わう日本人と、中核を凝視する欧米人のものごとの捉え方を象徴しているように思えるネーミングだなあと。ポリスの名曲「Every Breath you take」の「見つめていたい」が是か非か? という論争を彷彿させます。まあ、「モンスターズ・ボール」がタイトルだったら、ディズニーかアニメかと想像されてしまうからってところもあったんでしょうね。